どうも射出されます
アルクは束ねられた髪の上に立っていた、いや、立っているのはランシアだ、その背中にアルクは担がれている………………ドデカい槍の陰に隠れて。
「………………私は若干無理があると思うぞ、槍の陰に隠れて私だけが突進しているように見せるのは」
「………………これでも頑張って考えたんですよ、ダメだったら覚悟を決めます」
「………………そうか、ダメだったときは存分に相談をしてくれ、トラウマ克服の手伝いをしてやる」
「………………ありがとうございます」
そうしたやり取りをしたした直後だった。コープルからの合図が出た。
「……準備万端、いつでも射出できる……」
足元の髪を指さして言う。
「我も準備万端です、一撃なら多分……いや、必ず火球を防ぎます」
ジャンニャーは杖を掲げてそう言う。
「っすね、私は何とか横を並走するっす」
キチリーは爪を装備して小さくジャンプをしている。
「………………じゃあコープル、頼んだ!」
「……了解……!」
髪がナイフを飛ばした時と同じように高速でアルク達を押し出し、空へと放つ。そのタイミングでランシアもジャンプし加速する。
「さてと、まずは黒い槍だな」
ランシアはアルクの剣を使って、邪魔をしてくる槍をいなし、距離を詰める。
「ッつ! 火球が来る!」
アルクが叫ぶが、当然ジャンニャーが対応する。
「超力水弾!」
ジャンニャーの魔法ではるかに強力な火球を消滅させる、出来るはずがないのに無理をする、そのせいで顔の穴という穴から血が噴き出る。
「ッつ」
アルクの心にチクリッとした罪悪感という痛みが走るが、そんなことはお構いなしにまた黒い槍がアルク達を襲うが………………。
「まあ、そんなもの通す訳がないっすよねぇ」
キチリーが黒い槍を爪で打ち払い、いなし、アルク達には一つも近づけない。
「流石だなキチリー!」
ランシアがキチリーを褒めるが、その気を抜いた一瞬だった、龍種の頂点が火球をレーザー状にし、ランシアへと狙いを定め、そして放射する。
「ッつ!? 危ない!」
それは不可避の一撃だった、ランシアが躱すのは不可能だ。だが、キチリーが庇った、庇ってそのレーザーをランシアへと届かせまいとした。
「「ッつ!?」」
落ちていくキチリーに対して、アルクは身を乗り出す。
「(俺のせいで………………俺のみみっちい心のせいで!!!!!!!!!!!!!!!!)」
アルクの心にチクリッどころではない、黒い感情が渦巻く。そしてその感情が思考さえも塗りつぶしていく………………。
「アルク!」
落ちていくキチリーが言った。
「感情に飲み込まれるな! これは私の選択だ…………………………っすよ!」
ウインクをしながら落ちていく、語尾を忘れた愛すべき馬鹿の言葉でハッと我に返る。
「………………まあ、あいつも通った道だ気にすることは無い!」
「………………すまない!」
龍種の頂点はもうすぐ、目の前だ。




