大胸筋
女王と王配が仲良くしています。
女王は何故か上半身裸の王配の隣にいた。
「筋肉って柔らかいのね。硬いのだと思っていたわ」
女王は王配の大胸筋を触っていた。
「ああ、そうだな。だが、力を入れれば硬くなる」
「!!」
女王は今まで柔らかかったのに突然硬くなったので、目を丸くして驚いた。
「全然違うわね!さっきまで柔らかかったのに、今はカチカチよ」
女王はペタペタと王配の大胸筋を触った。
「凄いだろう。こんなことも出来るぞ」
「!!」
王配は大胸筋を交互に動かしてみた。
女王はまた目を丸くした。
「な、なんで動くの?動かせるものなの?」
「ふふふ。凄いだろう」
王配は女王が想像していた通りの反応を示したので、得意気に笑った。
余程嬉しかったのか、大胸筋は交互に動かしたままだ。
「私も動くのかしら……」
女王は王配の胸板から視線を顔の下に移動させた。
とても真剣な顔で、睨みつけるかのような視線を自身の胸に向けたのだ。
「んんっ…。はぁ、無理みたいね」
女王は頑張って力を入れてみたが、どう頑張っても動かなかった。
どのように筋肉を使うのかさっぱり分からないのだ。
「……鍛えていないのだから無理だろう」
王配も鍛える前には動かせなかったなと思った。
「鍛えたら出来るようになるかしら?」
「ならなくていい」
王配はきっぱりと言い放った。
「えー、動かせたら楽しそうじゃない」
「エレオノーラの胸は俺が手で動かすから平気だ。さあ、汗疹対策のために粉を叩いてあげよう」
「自分で出来るから平気よ」
「ならば、俺がエレオノーラの胸を持ち上げてあげよう」
王配は弾力を味わいたいようで、怪しげな手つきをした。
「前にも断ったじゃない。アレクセイは自分の大胸筋にすればいいでしょう?」
「冷たいなぁ……」
「冷たくないわよ。効率を考えただけよ」
「それが冷たいんだ。俺は悲しいよ」
王配は明らかに嘘泣きと分かる演技をしていた。
女王はいつ終わるのだろうと、彼の様子を窺ってみた。
「……」
「……」
「……アレクセイの胸に粉を叩いてあげるわね」
王配も女王が何と返すのか窺っていたようなので、女王は自分から折れることにした。
長引いたら変な空気になってしまうと思ったのだ。
「いいのか!」
王配の表情は瞬く間に明るくなった。
「いいわよ。それくらいでアレクセイの機嫌が良くなるのならお安い物よ」
「一言余計じゃないかな?」
「……アレクセイの大胸筋っていつからこうなの?子どもの頃から?」
女王は王配の大胸筋にポフポフと粉を叩いた。
女王はいつしか覗き見た時より王配の大胸筋が発達しているような気がした。
あれだけ訓練に参加していれば発達しないわけないか、と女王は考えた。
「成人したときにはすでにこうだったかな?」
「十五歳くらいから?凄いのねぇ」
セマルグル王国の成人は十五歳、ケレース王国の成人は十七歳だ。
「凄いだろう。エレオノーラの胸がそうなったのはここ二年ほどだな」
「そうね。きちんと食事が出来るようになったからかしらね?」
「よい重量感で俺は好きだな」
「邪魔なだけよ。それこそ重いし……。ちゃんと固定しないと揺れて痛いし……」
女王は王配がいない時にこっそりと走る練習をしたが、胸がちぎれるかと思うほどの痛みを味わったのだ。
「エレオノーラ、俺の前以外では走ったりスキップをしてはいけないぞ」
「え?アレクセイってば、突然どうしたの?」
「駄目だからな?」
王配の目は真剣そのものだった。
彼がこんな顔をするのだから、ちゃんとした理由があるのだろう。
「え、ええ。分かったわ」
女王は理由を知りたかったが、王配の顔を見ると理由は聞けない気がした。
いつ、女王が王配の大胸筋を覗き見したのか。それは前作、二人で乗馬をした時です。
次回からは通常通りの投稿になります。




