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『記憶を喰らう暗殺者の冷徹な復讐劇』  作者: beck2026
第1章:【王都暗闘と、悪逆の契約 編】

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【第22話:「暴走の夜空と、光を喰らう無双」】

ドォォォォンッ!!!

王都の地下深くから轟いたその地響きは、百の雷が同時に落ちたかのような衝撃となって街全体を激しく揺らした。

深夜の王都。静寂に包まれていた街は、突如として夜空を覆い尽くした『巨大な光の魔法陣』の禍々しい輝きによって、真昼のように照らし出された。

「な、なんだあれは!?」

「空が……空が燃えているぞ!」

家々から飛び出してきた一般市民や貴族たちは、頭上に浮かぶ異常な魔力の奔流を見上げ、パニックに陥って逃げ惑う。

王都の魔力網の心臓部【星天の羅針盤】。その絶対的な制御キーを持たない枢機卿ザカリーが、数十人の部下の命を生贄に捧げて強行した『禁呪の暴走』である。

大聖堂のバルコニーからその光景を見下ろしていたザカリーは、狂気に満ちた笑い声を上げた。

「素晴らしい……これぞ神の威光! 愚かな民草どもよ、神の怒りにひれ伏すがいい!」

ザカリーは直ちに、待機させていた異端審問官や国家騎士団に向けて布告を放った。

「聞け! この異常事態は、東区に潜む不浄なる異端者どもが引き起こしたテロ行為である! 直ちに王都全域に最高レベルの戒厳令を敷き、怪しい者は一人残らず捕らえよ!」

羅針盤の暴走という自らの凶行すらも『敵のテロ』へとすり替え、さらなる強権を振るおうとする教会の悪辣なプロパガンダ。

だが、その目論見は、王都の表社会で暗躍する一人の『悪逆令嬢』によって、瞬く間に粉砕されることになる。

「……ザカリー枢機卿。あなたは本当に、政治という盤面を理解していないのね」

東区にあるローゼンバーグ公爵邸の執務室。

ルナは夜空の魔法陣を冷ややかに見つめながら、手元の魔道具(通信機)へ向けて静かに、だが絶対的な権力者の声で指示を飛ばしていた。

「――ええ、王都中の情報屋と貴族のネットワークをすべて使いなさい。公爵家の名のもとに、真実をバラまくのよ。

『あの魔法陣は、枢機卿ザカリーが権力欲しさに部下を生贄にして暴走させた禁呪である』と。教会の連中がプロパガンダを広める前に、真実の炎で奴らの信用を焼き尽くしなさい」

「はっ! 直ちに手配いたします、ルナ様!」

ローゼンバーグ公爵家の莫大な財力と、バルガスから奪い取った裏の情報網。

ルナが放った情報戦のカウンターは、教会の発表よりも遥かに速く、そして正確に王都中へと拡散されていった。

『原因は教会側にある』という情報に触れた貴族や市民たちは、次第に教会に対する疑念と怒りを募らせていく。

ルナの表社会での『情報戦争』は、完璧にザカリーの首を絞め上げていた。

だが、羅針盤が暴走したことによる物理的な被害は、情報だけでは止められない。

「グルルルル……ッ!!」

「ひぃっ!? ば、化け物っ! 地下から化け物があふれてきたぞ!」

異常な魔力に当てられ、王都の地下下水道や封印指定区域から、かつての失敗作であるキメラや異形の魔獣たちが次々と地上へとはい出してきたのだ。

魔獣の群れは、怒り狂ったように東区の市街地へと雪崩れ込んでくる。

さらにその混乱に乗じて、教会の異端審問官たちが「異端者を狩れ!」とばかりに、アッシュたち【夜鴉(クロウ)】の拠点へと奇襲をかけてきた。

「くそっ、次から次へと! 防衛線を下げるな! 魔獣の足首を狙え!」

夜鴉のリーダーであるアッシュが短剣を振るい、シオンが巨体で魔獣の突進を止め、リアが異端審問官の首を刈る。

二十四名の子供たちは必死に抗戦するが、魔獣と教会の挟み撃ちという絶望的な物量に、徐々に体力を削られ、陣形が崩れかけていた。

「アッシュ、右から大きいのが来る!」

「しまっ――」

三メートルを超える巨大なキメラが、鋭い爪を振り上げてアッシュへ襲いかかる。

万事休すかと思われた、その瞬間だった。

『――随分と、騒がしい夜だな』

虚空から響いたその冷酷な声とともに。

キメラの巨体が、頭上から降り注いだ『純白の光の巨大な槍』によって、一撃で地面へと縫い付けられ、絶命した。

「なっ……光の魔法!?」

異端審問官たちが驚愕して見上げる先。

月明かりを背にして東区の時計塔の上に立っていたのは、漆黒のスーツを纏ったノアだった。

ノアの掌には、教会が絶対の信仰対象としているはずの『神聖なる光の魔力』が、禍々しいほどの密度で圧縮されていた。

【冥界神の捕食】によって聖騎士から奪い取った、最高峰の光の魔法。

「神の意志だと? ……笑わせるな」

ノアが右手を静かに振り下ろす。

瞬間、無数の『純白の光炎』が雨のように降り注ぎ、東区に群がっていた魔獣たちと、教会の異端審問官たちを区別なく蹂躙し始めた。

「ギャアアアアッ!?」

「ば、馬鹿な! なぜ悪魔が神の光を……っ!!」

自分たちが信奉する光の力によって、身体を焼かれ、塵へと還っていく教会の兵士たち。

アッシュたち夜鴉は、その圧倒的な暴力と、敵の力すらも奪い尽くして蹂躙する自分たちのボスの姿に、再び狂信的な熱を宿してひれ伏した。

ノアの懐にある通信用の魔道具から、ルナの艶やかな声が響く。

『……情報戦でザカリーの息の根を止める準備はできたわ。あとはあなたの好きになさい、私の共犯者』

「ああ。ここから先は、俺の狩場だ」

ノアは深海の瞳に極寒の殺意を宿し、王都の夜空に浮かぶ巨大な魔法陣へと視線を向けた。

表の権力を掌握する悪逆令嬢と、裏の暴力を極めた復讐鬼。

最強の共犯者たちによる、教会への本格的な反撃(蹂躙)が、いま始まったのだ。

お読みいただきありがとうございます!

ついに羅針盤が暴走し、地下から魔獣があふれ出す大パニック!

しかし、そんな絶望的な状況でも最強の共犯者たちは揺るぎません。

表ではルナが公爵家の財力と情報網をフル活用し、教会のプロパガンダをへし折る「情報戦カウンター」をキメる!

そして裏路地では、ノアが敵から奪った『神聖なる光の魔法』をぶっ放し、魔獣も異端審問官もまとめて蹂躙する圧倒的な無双劇!

「敵の力(光)で敵を焼き殺す」という、ノアの容赦ないダークヒーローっぷりを全力で書かせていただきました。

もし「ルナ様有能すぎる!」「ノアの光魔法無双スカッとした!」「この二人のタッグ最高!」と少しでもワクワクしていただけましたら、

ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】をタップして応援していただけると、めちゃくちゃ執筆の励みになります!

反撃の狼煙は上がりました。次回、ノアはこの暴走を止めるため、ついに教会の奥深くへと足を踏み入れます。引き続きよろしくお願いいたします!

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