第4話
皇帝に連れられやってきたのは玉座の間からだいぶ離れた王城内の庭。
「ここは王城唯一の外で訓練出来る場所だ」
皇帝はこちらに振り向き、目を合わす。
「確かに、ここは魔素の揺れもなければ、自然エネルギーの断絶もない」
「で、俺達2人だけあなたなんです?」
苦笑しかできないが聞かなければいけない。何故、俺と柊奏だけ皇帝であるのか…
「ふっ、愚問というものよ。お主達はわかっているのであろうよ。唯一家督を継いでいるのであるからな」
おいおい、バレてたのかよ。家督を継いでいたこと。三英傑、四神、五王の家督の継承は普通の家督とは違い、皇帝に報告の義務がなくいつの間にか交代している事がある。また、家督交代の条件も厳しくそれぞれが冠している2つ名に関わる試練を与えられる。その為、家督を継ぐには絶対的自信と強さが必要である。
「へぇ〜、バレてたんだ。ボクが継いだ事誰も知らなかったのに」
「風が余に伝えてくれたからな」
風がね…これは想像以上にバケモノかもしれないな。
「堅苦しい言い回しは辞めるが、一体俺達をどう鍛錬するつもりで?」
フォルトロスはニヤリと笑い、腰に掛けている剣を抜く。
「簡単だとも、余自身が相手するに決まっているであろ?」
「これはこれは、光栄な事で」
身体全身にビリビリとした殺気を感じる。はっ、流石は皇帝平然と親父以上の殺気を出すよなぁ。
「先手は譲ろうではないか、お手並み拝見と言うことでな」
「お言葉に甘えて、そうさせてもらおう」
「暦君、どうする気なの?」
「簡単だ、俺が全面に出る。奏は後ろからフォローを頼む」
「了解」
拳を握り、脚に力を込める。フォルトロスの感知できない速度を出し、そのままの速度でぶっ飛ばすそれかねぇ。
「後悔するなよぉ」
第二宇宙速度でフォルトロスに近づきそのままフルスイングするが、空を穿つ。
パァン!
「遅い」
上から声がするが、俺は気にせず地面を殴る。そこを陥没させ、後ろに飛ぶ。意味ねぇの事だって言われるだろうな。だが、アイツがいる場合そうじゃねぇ。俺が後ろに飛ぶと同時に陥没した所から大量の水が湧き出てきた。
「海剣」
湧き出た水が剣の形になり、フォルトロスに飛んでいく。
「そのまま維持!」
フォルトロスがいる上空まで一気に跳躍し、海剣を取る。
「万龍流 覇海」
大体のものはこの技で切ることが出来る。自らが扱う剣に己の魔力、霊力などを纏わせ一体化し神剣でさえも断ち切ることが出来る。唯一の欠点それは
「この技と同じ、剣ってかァ!?」
同じく一体化した剣、杖などは切ることが出来ない。
「フッ、まだまだ小童だな。『Der König mit dem himmlischen Mandat』」
「アァ゛!?」
身体が一気に重くなり急スピードで落ちていく。
「暦!!これに!」
奏が水を操作し、俺の着地点まで移動させてくれる。
パチン その音が聞こえると、水は意志を持ったかのように、奏の魔法操作が効かなくなり水が消える。
「なっ」
ッチ!!一か八かでやるしかねぇな。あんましやりたくはなかったが。
「『トリックスター』!!」
俺がいた位置に、フォルトロスがいた。
「空間転移か…」
「合明察、ただの空間転移とは思うなよ」
「暦!」
奏がフォルトロスに向かってナイフ無限に飛ばす。しかし、当たっても傷は負わず幻のように消えていく。
「これが主の能力か。」
「そう、ボクの能力『幻夢』。だけど、彼がいる事によりその能力は変わる」
「devenir une réalité」
フォルトロスの頬を通った幻のナイフは、消えることは無く、頬に傷をつけた。
「ぬ?これは本物…」
心臓目掛け飛んだナイフを剣で弾くがそれは歪み消えていく。
「気づいたか、本物と幻影のナイフに。このトリック見破れるか?」
「その様なご細工で余を倒せるとでも?」
フォルトロスは落下していくままにしたへ、剣を向ける。
「『雷霆万来』」
突如として現れた雷雲はフォルトロスに雷鳴りを落とす。
「おいおい、そんなのありかよォ」
俺と奏の合作実影のナイフはこの一撃にて破れた。
「そなたにはそう言って欲しくないぞ。しかし、少しばかり本気になっても良さそうだ。」
「ハァ!?」
今まで本気じゃねぇのかよしかも少しばかりってなんだ!?
「『Der König mit dem himmlischen Mandat』全権解放」
なんだ、この辺りに漂う全てのエネルギーがフォルトロスの元へ向かっている。
「『跪け』」
重力が重くなる。先程俺が受けたのと同じだ。これがフォルトロスの能力。バケモンだな。
「フッ、この状態でもまだ気絶せぬか。彼の王達は倒れたというのに」
「重いが、まだいけるぜェェ!」
無理くり起き上がりフォルトロスの体をフルスイングで殴る。
「見事、この状態で動けるとは。賞賛しよう」
ハッよく言うわ。
「ここまでにしよう」
俺と奏にかかっていた重力はなくなり呼吸もしやすくなった。
「さて、お主らの採点をしようか」




