第3話
目の前の視界が瞬時に移り変わる。家にいたはずだった俺は、アリスの能力によって王都に移転した。
「到着いたしました」
「相変わらず便利な能力だな」
アリスの能力は『次元』だ。様々な場所、時間に自由に行き来できる。アリスのみならず、他者まで一緒に移動できるのだから便利な力だ。
「自由奔放な暦様に一番対応しやすいという理由で私が専属になりましたからね」
アリスはニコッと笑う。
「ハハッ」
苦笑しかでねぇよ…
「しかし、久々にここまで来たな。何年振りだ?」
「私の記憶が確かでしたら10年振りかと」
「そんなに経つのか」
10年前って事は、俺が10歳の時だな。なんの用事で来たかは忘れたが、親父に連れられてここまで来た覚えはある。
「ここから王城まではどのくらいかかるんだ?」
「だいたい、五分です」
近!そこそこ近いじゃん。五分歩くぐらいならなんで王城まで移転してくれなかったんだよ。その疑問が聞こえていたとばかりにアリスは苦笑している。
「王城には結界が張られているのです。ですので私の能力で王城まで移転する事は出来ないのです」
「なるほどな、てか、なんでバレた?」
「顔に出てますよ…」
あちゃ〜、これはこれは、流石アリスとしか言えないな。
「暦様、このまま真っ直ぐ行っていただければ」
「ん」
俺はアリスに言われた通りに真っ直ぐ歩いていく。しかし、流石王都だな。人口密度が高い。これ、一度迷ったら絶対に出てこれないだろ。大きな城が見えてきた。俺とアリスは門前の衛兵に会釈をして、中に入る。
「お待ちしておりました。神木暦様」
くぐった門の前で厳つい執事が立っていた。
「お久しぶりです。ライドさん」
「お久しぶりでございます。では、参りましょうか」
ライドさんの後について行く。今から向かうのは王城の中の玉座の間。帝と唯一会える場所だ。
「他の方々はこられているのですか? 」
「ええ、神木様で最後になります」
あちゃ〜、これは帝に会った瞬間謝らないといけないな。親父と喧嘩したのが時間を潰してしまったか。
「まもなく、玉座の間です。お付の方はこちらでお待ちください」
どうやら、アリスはここまでの様だ。俺はアリスに手を振り、そのままライドさんについて行く。
「失礼いたします。神木 暦様到着です」
玉座の間につきライドさんに案内されたど真ん中の席に座る。こんな時に限って真ん中かよ。本当にもっと早く来れば良かったな…
「到着遅れたことお詫び申し上げます」
「良い、席に座りなさい」
言われた通り座り、帝の顔を見る。17代目皇帝ルーベルト・デューラ・フェルトス歴代最強と言われた初代に肩を並べるバケモン。全くやだな。
「皆を呼んだのは他でもない伝承と言われた厄災が復活した。皆にはそれを倒していただきたい。そもそもだな厄災というのは…」
皇帝の話はだいたいオカンから聞いた話と一緒だ。厄災を倒すために俺達を呼び、今のままでは経験も少ないという訳で稽古をつけるという話だ。
「皆には最高の教師をつける。では今から名前を呼んでいく。その者たちは余が呼んだ者について行くように」
淡々と読み上げられていく名前、あっという間に俺と女の子だけになった。
「神木暦、柊奏は余に着いてくるように」
はい〜?何故、アンタが稽古をつけるんだよぉ。一体俺どうなるのぉぉぉぉ




