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異世界筋肉〜筋トレがしたいだけなのに異世界が放っておいてくれない〜  作者: プロテイン長田
第16章「王都大動乱」プロローグ

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第68話「ある冒険者ギルドでの密談」

## 第68話「ある冒険者ギルドでの密談」


### 【本文】


「おう、戻ったぜ」


 トレヴィルの町、冒険者ギルドにある来客用の部屋。


 ただならぬ雰囲気の男たちが卓を囲んだ。


 豪傑というべき大柄な男、その横には聡明そうなエルフの男。反対側に座ったのは初老のドワーフとサングラスをかけた細身の男だ。


「ご苦労様でした。それで……王都はどんな様子でしたか?」


「どうもこうもねえよ。大方の予想通り"筋肉の賢者“様は一躍人気もんだ」


「ガハハ!大したもんじゃねえか。さすがは俺の斧を拳で破壊した男だ」


「笑い事じゃないですよ……我々の計画は彼のためにほとんど白紙状態なんですから」


「それでよ……奇妙なことがあったんだが――」


 そう言うドワーフの男に部屋の注目が集まる。


「“筋肉の賢者“は伝説の勇者パーティーと我々の共通点に気付いてるかもしれん」


「……バカな」


 そう呟いたのはサングラスの男。


「嘘じゃねえぞ?面と向かって本人から聞かれたんだからな」


 しばし沈黙が広がる。各々が今後どうするべきか思索に耽っている様子だ。


「この件は……今話し合うべきこととはありませんね。今は――」


「――我々の復讐計画、そのシナリオ修正について話し合いましょう」


 エルフの男がそう言うと、またしばしの沈黙


「“シナリオ修正"……とおっしゃいますが――」


 口を開いたのはサングラスの男。


「――もうキリがないのでは?彼がトレヴィルにいる時から何度目の“シナリオ修正"なのか。もう数えるのもやめましたが……」


「……計画が大きく狂い始めたのはあなたが勇者の素質がある奴隷をみすみすこの町から逃したのが原因だったと記憶していますが?全く……あなたのわがままで資金調達が難航していると言うのに――」


「ふむ……そうは言いますが、こちらは厳重に戸締りをしておりました。事務所には空間固定魔術をかけておいたのを無理やり突破されたのです」


「彼の実力を考えればそれでは不十分だと――」


「では、魔術派の騎士団第三隊隊長、イシュルド・フェルンハイトを誘い出し手柄を上げさせ、王都における魔術派の発言力を増加させる計画はどうしたのですか?」


「あ、あれは……イシュルドという男が工房の器具製作をそれと勘違いしただけで私の落ち度では――」


「おいおい!ウチの工房のせいにされちゃ困るぜ!もともと嬢ちゃんの監視役を押し付けたのはアンタらだろ?その仲間からの頼まれごとじゃ断る方が不自然だろ!」


「そうは言いますがね!?あなたが軽率に内乱時代の装備をあんな子供に持たせるから巡り巡って闇の盗賊団ですら彼らに手出ししづらくなってしまったんですよ!?」


「知るかってんだ!盗賊団の連中が勝手に勘違いしてるだけだろ!」


「なんとか女神教が働きかけて彼らが教会魔術派に接触したから良かったものの、正直どう転んでもおかしくなかったんですからね?」


「そうは言うがな――アンタらがやったのは妙ちくりんな賢者の名前とその仲間の噂を王国中に広めて回ったくらいじゃねえか!」


「まぁまぁ、落ち着けよお前ら。な?」


 リーダーらしい大柄の男が三人を嗜める。


「要するに、だ。あの男がトレヴィルに現れて、使えそうだからってこちらの思惑通り動かしてやろうってのが間違ってたって話だ」


 ぐうの音も出ない。と言った様子で、またもや部屋には鈍重な空気と沈黙が広がる。


「ま、悪い話ばっかじゃねえと思うがな」


 ドワーフの男が再び話し始める。


「どういうわけか、勇者候補だった嬢ちゃんは王都でその才能を爆発させたらしい。今は王国お抱えの二枚看板。賢者と勇者の夫婦コンビで人気をどんどん押し上げてる」


 その話を聞いて嬉しそうに頷いているのはサングラスの男だ。


「正直、評価としては元々のシナリオの本筋だった王国内の勢力図を不安定にさせて転生勇者ども……もといアスレイド聖統国が付け入る隙を作るってのはそこそこ上手くいってると思うがな」


「――ただ問題は賢者の方だ。"龍の加護“……。要は剣術派にとって都合のいいスキルを取っちまったってのと、王国の特務戦力になっちまったってのは悪い要素だな」


 その話を聞いて、エルフの男は頭を抱えた。


「ギルド長のおっしゃる通り、彼を我々の思惑通りに動かそうというのは烏滸がましい話だったようですね……」


「まぁ、そう言うこった。奴はまさに“制御不能“だ」


 大柄な男はまた豪快に笑って見せる。


「……で?どうする。まさか諦めるってわきゃねえよな?」


「まさか。次の手を考えましょう」


「おう!そうだそうだ大事なことを忘れちまってた。王都で妙な魔術の動きを感じてな……」


 そう言うと、ドワーフの男は何やら王都で見つけた魔術の痕跡のことを話し始める。


「――それが本当なら、これから王都で面白いことが起こりそうですね」


 エルフの男は何かを考えるそぶりを見せながら呟く。


「今度は我々が彼を動かそうとするのではなく、彼の動きに合わせて、我々が動くことにしましょう」


 その意見は、聞くまでもなく皆々同意といった様子だ。


「では、その方向で。引き続き、動向を探るのを怠らず、逐一報告してください」


 各々が席を立つ。会議は終わったようだ。


「――必ず復讐を成し遂げましょう」


「我々の同胞。伝説となりし真の勇者のために」


「その存在と記憶をこの世界から奪った転生勇者どもに、死を――」

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