第44話「情報収集in王都」
## 第44話「情報収集in王都」
### 【本文】
「あなたがユージと別行動なんて珍しいわね」
時は遡り、ユージが女神の間で異空間へ飛ばされる前の出来事。
リネアとルノアは奴隷商に関する情報を集めに王都の商業区に来ていた。
「ん。おとうさん、おかあさんのことわかるかも」
「まぁそうよね。私たちのことなんだからしっかり自分たちで頑張りましょ」
商業区はトレヴィルと比べ物にならない規模で発展しており、目新しいものがたくさん売っている。
「……これが気になるの?」
しばらく歩いていると、ルノアが歩みを止めて何かを見ている。
(尻尾が揺れてるわね……)
リネアはルノアの感情を読み取る時、尻尾を見るとよくわかることに最近気付いた。
「ん、でもがまん。ルノアたちおかねない」
(あぁ……尻尾がぺしょってなった)
「大丈夫よ、どういうわけか臨時収入があったみたいだから」
リネアはユージから受け取っていたいくつかの銅貨を取り出す。
「これ、いただけるかしら」
ルノアが見ていた魚の串焼きを二本購入する。
「ほら、食べるわよ」
「ありがとう。リネアやさしい」
(また尻尾が元気に……見てて飽きないわね)
しばらく歩いていると、どうやらそれらしい店を見つけることができた。
「これ、奴隷商店って堂々と看板出してるのね」
「ルノア、ここきらい」
(尻尾が体に寄ってる……これは警戒してる時になるのね)
「トレヴィルでグラートさんの奴隷商は隠れて営業してたけど、何か違いがあるのかしらって……この子に聞いてもしょうがないわね」
ルノアは顰めっ面で魚の串焼きを食べている。
「入ってみても……いいわよね」
二人が恐る恐る店に入ると、想像を遥かに超える綺麗で整頓された店構えだった。
「これはこれは、珍しいお客様だこと」
出迎えたのはこれまた身なりのいい店員。
「悪いけど冷やかしよ。ごめんなさいね」
「とんでもございません!ぜひご覧になっていってください」
(檻に入れられた奴隷がいるかと思ったけど、そういうわけじゃないのね)
店内にはいくつかの魔導書が置かれている。
手に取ると、どうやらここで取り扱っている奴隷はこの魔導書で確認できるらしい。
「見てもいいかしら」
「もちろんでございます」
魔導書にはさまざまな種族、年齢、性別の奴隷が記されている。
(このページ数……この人数だと恐らくここに奴隷はいない可能性が高いわね。購入してからどこからか連れて来られるか、あるいは……)
リネアは熱心にページをめくるが、探している人物は見つからない。
(ダメ元で聞いてみるしかないか)
「特定の人物を探す……なんてことはできないわよね」
「申し訳ございません。そのようなサービスは」
「良いのよ。わかってて聞いてるから」
引き続き魔導書のページをめくっていると、ルノアの様子がおかしいことに気づくリネア。
「……どうしたの?」
ルノアは黙って何かを感じ取るように目を閉じている。
その直後。
「リネア!ご主人様が!」
激しく動揺しながら叫ぶルノア。
「えっ!?何?どうしたのよ!?」
見たことのないルノアの様子に慌てるリネア。
(ユージに何かあった?少なくとも私は何ともないから万が一ってことはないはずだけど……)
狼狽するルノアに引っ張られながら店を後にするリネアとルノア。
◇◇◇◇◇◇
ドタバタと二人が店を後にしたあと、奴隷商店の店員は「ふぅ」と軽いため息をついた後、小さな手帳を取り出した。
「捜索対象のリストに確か……ああ。やはりありましたね。赤髪の剣士と猫獣人の少女……剣士の方は行方不明から随分と経って成長してますが特徴は一致……猫獣人は不治の病で重篤とありますからこちらはハズレ……?」
「――いや、“筋肉の賢者”絡みなら、あるいは……」
奴隷商店の店員はパタリと手帳を閉じる。
「これは商会長に知らせなくてはなりませんね……まあ何と厄介なお客様だったのでしょう」
毎日20:00更新中!ブックマーク・評価いただけると励みになります!




