第39話「女神教のやりかた」
## 第39話「女神教のやりかた」
### 【本文】
「ちゃんとした女神教の説教なんて初めて聞くけど、こんな感じなのね」
リネアとノエラは、大聖堂で行われているという朝の説教を興味本位で聞きに来ていた。
朝起きると、ユージとルノアは出かけてしまったようで部屋を訪れたが誰もいなかった。
どうせ筋トレにでも行っているのだろうと考えどうしようか迷っていると、教会のご厚意で朝食の準備があると聞いた二人は、それまでの間の時間潰しに来たのだ。
今朝は先日一行を大聖堂へと導いたシスター・クラリスが説教を行っている。
透き通るような美しく、落ち着いた声で読まれる女神教の教えは、ここ最近の慌ただしい出来事を忘れ安らぎを得る良い機会だった。
「しっかし、あの格好だけは何とかならないのかしらね」
「な、なかなか際どい衣装ですよね……」
彼女が着ている修道服は胸元が大きく開き、騎士団長にも負けず劣らずの魅力が強調されている。
脚にも横側に物凄い位置までスリットが入っており、激しく動いたら色々見えてしまいそうな危うさがある。
「これ、あのシスターを見に来てるやつも大勢いるわよね。多分」
「どうでしょうか……見る限り皆さん真面目に説教を聞いている様子ですが……」
「まあ、その辺は腐っても教会ってことかしらね……」
しばらく説教を聞いていると、区切りがついたらしく一度休憩のような時間になった。
「な、なんか始まるみたいですよ?」
説教を聞いていた信者達が続々と列を作り始める。
「それでは、先頭の方どうぞ」
そう促されると、先頭にいた信者がクラリスがいる壇上に上がる。
クラリスが軽く挨拶をし握手をすると、信者はそのまま壇上を降りていく。
並んでいた信者達は続々とそれを繰り返していくようだ。
「……握手をするために並んでるってこと?これ」
「そうみたいですね……」
傍から見ると少々奇怪な様子だが、信者達は小慣れたつつがない進行で“握手会”をこなしていく。
「私たちも行きますか……?」
「遠慮しとくわ」
リネアは冷めた様子で見ているが、ノエラは興味があるようだ。
「気になるなら行ってみれば?」
「い、良いんですかね?」
「ダメってことはないでしょ。朝食もサービスしてくれるみたいだし」
「それじゃあ……!」
ノエラが信者達の列に加わる。
しばらく待っていると、彼女の番が来た。
「あら、賢者様のお連れの……」
クラリスはノエラに気づくと声をかけてきた。
「ど、どうも……!」
「お越しいただき嬉しいです。この後もぜひ聞いていってくださいね」
クラリスはノエラに微笑みかけ、握手を促す。
「は、はい!」
ノエラは恥ずかしそうに答えると、握手をしてから逃げるように壇上を降りていく。
「……どうだった?」
「す、すごいお綺麗な方ですよね……すこしドキドキしちゃいました」
「ノエラ、意外とそういうところあるのね」
顔を赤くするノエラを見て、珍しそうにしているリネア。
(まあ確かに、あの女と交流できるなら人も集まるわよね……あの教皇が考えそうなことか)
よく観察してみると、列に並んでいるときに巡回しているシスターにお布施を払うとクラリスと話せる時間が長くなるようだ。
「リネアさん……もう一回行ってきて良いですか?」
「やめときなさいよ。ああいうの、わかんないけどハマると大変よ。多分。」
若干引きつつも、教会のやり方にすこし感心したリネアだった。
「そろそろアイツも戻ってきてるかもだし、いなかったら探しにでもいくわよ」
そう言って、少し名残惜しそうなノエラを連れていくリネアだった。
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