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異世界筋肉〜筋トレがしたいだけなのに異世界が放っておいてくれない〜  作者: プロテイン長田
第7章「模擬戦」

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第31話「騎士団VS闇の盗賊団」

## 第31話「騎士団VS闇の盗賊団」


### 【本文】


「壁が崩れたぞ!!者どもかかれェ!!!」


 ユージが騎士団施設の剛健な壁をブチ抜き去っていく。


 それと入れ替わるようにして侵入してきたのは闇の盗賊団。


「この暗黒の装束……闇の盗賊団か!?なぜ……」


 リディアは状況が飲み込めない。


 彼女はユージが魔術派ではないと考えていた。そうでなくては、“筋肉の賢者”として教会から狙われるのはおかしい。


 現に彼がザハリエルに襲撃された現場を彼女は見ている。


 しかし、眼前に広がるのは明らかに彼によって仕組まれた盗賊団の襲撃……。


 そんなことをするメリットは、騎士団の権力を疎ましく思っている教会の魔術派の人間しか考えられない。


「ユージ、君は……」


 リディアは呟く。彼の姿はもう見えなくなっていた。


「団長!指示を!」


 カイルが叫ぶ。


「あ、ああ!まずは教皇様の安全を!」


 教皇は何が起こっているのかわからない様子で、連れてきた私兵達によって撤退していく。


 盗賊団員は手当たり次第に騎士団員を攻撃していき、教皇の私兵も攻撃を受けている様子だ。


(教皇に刃を向けるのか……?やはり魔術派の刺客ではない)


 リディアも応戦するが妙なスキルを使う相手に苦戦を強いられる。


「オイオイ!一体どうなってんだ!?」


 カイルも苦戦している様子だ。


 しかし模擬戦開催に伴って多くの騎士団員がこの施設に来ていたため状況は騎士団が優勢。


「マルティナ!いい加減正気に戻れ!」


「……ハッ!だ、団長!?私は一体……」


「話は後だ!こいつらを片付けるぞ!」


「これは……闇の盗賊団ですか?どうして施設内に……いえ、これは……」


 マルティナは自身の結界魔術で直ぐに状況を把握する。壁に大きく空いた穴。この場から消えているユージ一行……。


「なるほど、そういうことですか」


 マルティナは杖を構え、盗賊達を退けていく。


「……まさか、団長様までいるとはなぁ」


「ッ……!!団長!下がってください!!!」


 マルティナが防御魔術を展開し、それに何かがぶつかったような衝撃が加わる。


(ッ……!やはりハンクと同じ暗殺術スキル――。私の結界内でもほとんど捕捉できないと言うことは同等レベルの――)


 そこまで思考した瞬間、マルティナは膝をつく。


(何……?体に力が――)


 腹部に違和感を覚え手で押さえる。


 不快感のある水気を手に感じ取り見てみると、マルティナの手は真っ赤に染まっていた。


「マルティナ!!!!」


 リディアの叫び声がこだまする。


 止めを刺しにきた刺客の攻撃をギリギリで防いだリディア。しかしその衝撃で持っていた剣を弾かれてしまう。


「おっとぉ――!随分と余裕だな団長サン……!」


 そう言いながら盗賊団の男が姿を現す。


「その女を見捨てれば俺に一撃入れられたかもしれないぜ?」


「貴様……何が狙いだ」


 リディアはものすごい剣幕で男を見る。


 倒れたマルティナの前に立ち、一歩も引かない姿勢だ。


「狙いだぁ?んなもん王国への復讐以外ねえだろ。まあ温室育ちの団長サマにはわからん話かもな!」


「……。」


 リディアは依然マルティナを庇うようにして退く様子はない。カイルも離れている。


 まさに絶体絶命。


「まあいい。さっさと終わらせようぜ」


 そう言って男は再び姿を消す。


 しばらく間を置いて、極められた“暗殺術”による死角からの攻撃がリディアを襲う。



「……おお、これはすげぇな」



 直後、再度姿を見せた男はその短剣をリディアに素手で握られていた。


「あまり舐めるなよ」


 そう凄むリディアの目からは光が消えている。


 手からは大量の出血。地面が鮮血に染まっていく。


「まいったなこりゃ……それに、時間切れか」


 王都にはこの訓練施設以外にも騎士団の施設は多く存在している。事務方を担当する本部は訓練施設の近くにあるため、すでに援軍が到着したようだ。


「まぁ、戦果にしちゃ上々だ。あんたらも大したことねえって分かったしな――」


 男はそう言うと姿を消す。それに準ずるように盗賊達は続々と撤退していった。


「すぐに救護できるものを集めろ!」


 戦闘が落ち着くとリディアが叫ぶ。


「彼女を運ぶのを手伝ってくれ――!」


 そう言って駆け寄ってきたカイルに助けを求める。


「何言ってんだ!アンタもそのままだとヤベぇぞ!」


 カイルにそう言われ、彼女は初めて自身の手の状況を認識する。


 深く斬られ――正直目も当てられぬ状態だ。


 騎士団はしばらくこの事件への対応に追われることとなる。

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