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異世界筋肉〜筋トレがしたいだけなのに異世界が放っておいてくれない〜  作者: プロテイン長田
第7章「模擬戦」

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第29話 「ルノアvsハンク」

## 第29話 「ルノアvsハンク」


### 【あらすじ】


 カイルVSノエラは力と防御のぶつかり合いとなった。


 結果は攻撃の隙をついたノエラの攻撃魔術でカイルの大剣を破壊したノエラの勝利。


 これで一勝一敗に追いついたユージパーティーだが……。


### 【本文】


 これで一勝一敗。


 最後の大将戦まで行くことは確定した。


 相手の残りのメンバーはマルティナと謎の用務員の老人ハンク。


 どちらかといえば私がマルティナの相手をするべきと直感しているが、いかんせんあの老人の情報が全くないので判断に困る。


「つぎ、ルノアのばん」


 そう言って前に出たのはルノアだった。


「ルノアあの人とたたかう」


 そう言って指さしたのは用務員の老人ハンク。


「何か理由があるのか?」


 いつも自由気ままなルノアがめずらしくやる気だ。理由が気になって聞いてみる。


「あの人、ししょーとおなじ。ルノアかんけいしゃ」


「“ししょー“って……ルノアにいろいろおしえてくれたっていう闇の盗賊団か?」


「そう。あんさつのひと」


 何度聞いても物騒だな……だが、あの老人がルノアの言う通り彼女と戦うためにこの模擬戦に参加したのなら、それに水を刺すのも違うだろう。


「無理はするなよ」


 そう言ってルノアを送り出す。


「ん。しっかりいんどう、わたす」


 老人相手に少々不謹慎な物言いな気がしたが、ともあれこの一戦が大局を決する。頑張れルノア――!


◇◇◇◇◇◇


「――来たようじゃの、幼き戦士よ」


 ハンクとルノアが対峙する。今までの模擬戦とは雰囲気の違う殺伐とした空気感が漂う。


「おじいさん、だれ」


「ワシか?ワシはのぅ……」


 ハンクがそう言った瞬間、視界から消える。こ、コレは――!


「チッ……!」


 近くで見ていたマルティナが盛大に舌打ちをした気がしたが……詮索しないでおこう。


 ギィンッ!と鈍い剣が交錯したような音がする。


 同時にルノアの姿も認識できなくなった。


 一体どうなって――


「マルティナさん、これは……」


 水晶の効果でリネアvsリディアの打ち合いはなんとか認識できたが、今回はそうもいかない。


 その理由をマルティナに尋ねる。


「ハンク様が使っているのは伝説のスキル“暗殺術”。全く癪にさわ――ゴホン、とても強力なスキルです。」


 ……今癪に触るって言おうとしたのか?


「そのスキルはほとんどの捜査、探索スキルから自身を隠匿します。お気づきの通り私の結界も水晶の効果も阻害されています」


 なるほど。ルノアが修行から帰った時、うまく反応できなかったのはそのためか。


「不可解なのはあなたの奴隷の方。どうして暗殺術スキルを全開にしているハンク様とまともに打ち合っているのですか」


「私に聞かれても困りますよ。さっきのノエラにしろ、リネアだって私のおよび知らないところで色々あったみたいですし……」


「そうですか。ところで、あなたはどうして団長の誘いを断ってここを去ろうと?」


 似たような質問をリディアにもされたことがある。その時はうまく答えられなかったが――


「仲間同士協力し合ってお互いの使命を果たすためです」


「そうですか。しかし……“アレ”を見ても同じことが言えますか?」


「それはどう言う――」


「ハンク様は王国が抱えるいわば“秘密兵器”。有事の際に敵を闇の中で葬る伝説の兵士です」



 そう言われてハッとする。



 マルティナの発言の意図はこうだ。「もはや彼女たちに助けなど不要」だと。


 リネアはこの国の軍事の要、そのトップと互角に渡り合った。


 ノエラはその直属の部下、副団長の攻撃を止め、その上一撃入れてみせた。


 ルノアは、その猛者たちを凌ぐ伝説の兵士と同じ能力を持っている。


「……」


 返す言葉が見つからない。


 彼女たちは私と行動などしなくても、一人一人使命に立ち向かう力を持っているんじゃないだろうか。


『お主、その力どこで身につけた』


 そんなことを考えていると、ハンクの声が聞こえてくる。戦っている音や交錯した瞬間しか見えないような状況だが、なんとか水晶の効果で声だけは聞こえるようだ。


『このちから、ご主人様のおかげ。あとししょー』


『その“ししょー”とやらはどこで出会った?』


 そう会話しながらも二人はものすごい勢いで激闘を繰り広げている。


『ししょーはハンクさがしてた』


『フム、ではその短剣、何処で手に入れた?』


『ギルデスがくれた』


『ギルデス……その名、何処かで』


『すきあり』


 その瞬間ルノアの攻撃がハンクに通ったらしい。


 ハンクが大きく後方に下がりながら受け身を取る。


「たたかい、しゅうちゅうする」


「ホホ、説教されてしまったわい」


 ハンクはルノアの暗殺術スキルや彼女の短剣に何か心当たりがあるらしい。


「それにしても長生きはするものじゃの。あの男がこんなに立派な弟子を取るとは」


「おじいさん、ししょー知ってる?」


「知っとるも何も、お主の言うししょーとやらを育てたのはワシじゃからの」


 な、なんだって――!?


 ルノアが修行をしたという、闇の盗賊団の暗殺キングの師匠がハンク……?なんだか頭が痛くなってきた。


「お主、ルノアと申したか。奴は今何をしている」


「しらない」


「……もはや言葉は不要ということじゃな」


 ハンクが再び短剣を構える。


 その目には今まで感じ取ることのできなかった輝きが見て取れる。


「ししょーのししょー、かくご」


 両者は再び戦闘を再開する。



 その技の応酬はどんどん激化していき……。


◇◇◇◇◇◇


「コレは見事。ワシも歳には勝てんと言うことじゃな」


 一瞬の出来事だった。


 ルノアの短剣がハンクの首を捉えたように見えたが、同時にハンクの短剣もルノアを捉えている。


「団長、コイツは……」

 

 カイルが動揺した様子でリディアに聞く。


「待て、まだ決着はついていない」

 

 リディアはカイルを制止し成り行きを見守る。


「動くでない。その首落ちても知らぬぞ」


「ルノア、ご主人様のため、かつ」


 ちょ、ちょっと待て!これは模擬戦だぞ!?


「君も手出しは無用だぞ」


 リディアは私に対しても介入を許さない姿勢を見せる。


「良い心がけじゃな。しかし、口だけ達者なようではお主の主人は守れぬぞ」



「わかった」



 あっと思った瞬間。


 ルノアの短剣がハンクの喉を掻っ切った。


「……見事」


 ハンクはそう小さく言うと、その体は黒煙となって消えた。


「一体何がどうなってるんだ……!?」


◇◇◇◇◇◇


「ご主人様、ルノアかった」


 先ほどのショッキングな出来事とは対照的に、ルノアは嬉しそうにこちらに駆け寄ってきた。


「お、おう!良くやったな」


 ルノアはこちらに飛び込んでくると、収まりよく抱き抱える形で頭を撫でることになった。


「それで、さっきのはマジで何だったんだ?」


 カイルが焦った様子でこちらに問いかけてくる。


「それは私から」


 この場の混乱を収めるようにマルティナが話し始める。


「ルノアさんが斬ったのはハンク様の生み出した幻影です」


「げ、幻影?」


「ハンク様の得意とする暗殺術のスキルは敵を欺き、姿を隠すことを特徴としています。その中に自身の幻影を生み出し斥候や工作、囮をさせるという技があります。」


「なんだか無茶苦茶な技だな……」


「そ、それではハンクさんはいつから幻影を……?」


「いつから、と言うより、もとよりハンク様の本体はここにはいませんでしたよ」



「「「え、えぇ〜?」」」



 カイル、ノエラ、私の三人は同じようなリアクションを取る。


 リディアとマルティナは元々知っていたようだが、リネアは先ほどから模擬戦の様子を遠くから見ているだけで特に反応はない。


「それじゃあルノアはそれをわかってて……?」


「うん、しってた。さいしょから。ほんとう」


 シレッとしているが目が泳いでいるルノア。ほ、本当なんだよな!マジで殺る気で斬ってないもんな!


 ともあれ、この一戦はこちらの勝ちで決着。ってことでいいんだよな?

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