第26話「ノエラと騎士団長側仕えマルティナ」
## 第26話「ノエラと騎士団長側仕えマルティナ」
### 【本文】
団長との出会いは幼少期に遡る。
平民だった私が干ばつで弱った畑を魔術で回復させたところを当時すでに騎士団にいた彼女に見出され、彼女の側仕えとなった。
彼女はすでに貴族並みの地位を得ており、私は彼女と共に騎士団の施設で暮らすこととなった。
鑑定を受け、私が稀有な結界魔術に通じていることがわかると、私たちはさらに重用されるようになっていった。
彼女の出世に伴って私の待遇も良くなっていく日々は私にとって刺激的だ。
しかし、年を重ね世の中のことがよくわかるようになるにつれて、私たちの関係が王国にとって都合がいいものであることがわかる。
私たちは魔術派と剣術派のバランスを取るために引き合わせられたのだ。
当時の私にとって、彼女との出会いが仕組まれたことであるということを知るのはショッキングな出来事だった。
これ以上彼女との関係に入り込まれないよう、私は力を求めた。
私と彼女が引き剥がされないよう。
この関係が永遠に続くよう。
結果的に私は結界魔術を使って周囲や自身に対する認識を操作する独自のスキルを手に入れた。
団長を守るための情報や工作が私の仕事だ。
この能力こそ私が団長の隣にいる理由。
私自身が手に入れた団長との絆。
それなのに――。
なんなのだこの少女は。
ぶら下がるように強者たちと一緒に呑気に暮らしているとでもいうのだろうか。
団長の想いに応えないあの男も気に食わないが、あのノエラという少女も放っておくわけにはいかない。
「あなた、結界魔術が使えるのね」
「へぇっ!?あ、ごめんなさい勝手に入ってしまって!」
パーティーメンバーとの訓練を終えた後、すぐに戻ってきた彼女に声をかける。
「問題ないわ。模擬戦までの間、あなたたちは自由にここを使える」
「え、あ!そ、そうですよね。ありがとうございます……」
彼女の態度、まるで昔の私を見ているようで気分が悪い。
もし私が当時の私にアドバイスできるなら――
「訓練は終わったのでしょう?どうして戻ってきたか聞いても?」
「あ……はい。それは……」
「模擬戦のため?それともあなた自身のためかしら」
「えっと……あの……」
「……はあ。まずはその自信無さげな態度をおやめなさい。」
「え!?あ、はい!」
「あなた、杖は?」
「つ、杖ですか……?」
なるほど、彼女には魔術の基本から教える必要がありそうだ。
「はぁ……。わかったわ。基本から叩き込むから覚悟なさい」
「え、えぇ!?どう言うことですか!?」
なぜ私がこの少女と自分の過去を重ね合わせているのかわからないが、彼女はこのままではいけない。そう直感したのだ。
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