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異世界筋肉〜筋トレがしたいだけなのに異世界が放っておいてくれない〜  作者: プロテイン長田
第23章「戦いの始まり」

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第109話「筋肉と守るべきもの1」

## 第109話「筋肉と守るべきもの1」


### 【あらすじ】


 聖統国へ向かう方法を探すべく王城を訪れたユージ。そこで女神教教皇が闇の盗賊団によって暗殺されたことを知る。


 暗殺を依頼したのは聖統国である可能性が高い。それに、孤児院の子供達の“呪い”の治療ができる唯一の存在であった教皇が死んだ今、呪いに対抗できるのは聖統国の転生勇者レイナだけかもしれない。


 様々な出来事が交差し、ユージたちは聖統国へと誘われる……。


### 【本文】


 拠点に集まったのは私、リネア、ルノア、そしてノエラの四人。


 リディア、マルティナはおそらく教皇暗殺の件で騎士団にかかりっきり。クラリスは……父親が殺されたのだ。絶縁状態だったとはいえ、その心理状態は察するにあまりある。


 ノエラの話では、昼過ぎにふらっと拠点に戻ってきてからは、裏庭の祈祷廟で祈りを捧げ続けているようだ。


 ……今から私がしようとしている話は、そんな状態の彼女にする話ではない。


「……教皇が、殺されたらしい」


 私の並々ならぬ様子を見て、三人は黙って私の報告を聞く姿勢をとる。


「実行犯は“闇の盗賊団”――」


 その名前を聞いて、ルノアが珍しく反応した。


 ルノアは彼らと一度接触している。それに、彼女のスキル“暗殺術”は、盗賊団の構成員が持つスキルと同じ……。


「指示したのは恐らく聖統国だ」


 リネアはそこまで聞いて、何か考えるようなそぶりを見せる。


「……聖統国が教皇を暗殺するメリットって――」


「『女神の怒り』、だそうだ。ご丁寧に聖統国の紋章も現場から見つかったらしい」


「……また女神?いい加減にしてほしいわね」


「で、でもどうして……?わざわざ聖統国の仕業だってわかるようにするなんて――」


「誘い出されてるわね」


「…………そう思うか?」


 私も、同じ発想には至った。だが、確信はない。


「アンタには悪いけど、そう考えるのが自然よ」


「ご主人様……めがみ、たおす?」


「それが出来れば苦労しないんだがな……だがやっぱりそうか」


 ザハリエルの一件で、私は女神を完全に敵に回した。


 王国で女神教は衰退の一途。それを嫌った女神は聖統国に鞍替えし、教皇を暗殺させて私が手に入れた“呪い”に対処する構造を破壊してきたのだ。


 そのさらなる解決策が聖統国にあること、もしかするとリネアの母親が聖統国にいることも知った上での行動かもしれない。


「このままじゃ、戦争になるわよ」


 リネアが言う。その声色からは明らかな不安と焦りが読み取れた。


「……ルノア、ノエラ、聞いてくれ」


 私はそう言いながらリネアを見る。彼女は私に許可を出すように頷いた。


「リネアのお母さんが、聖統国にいることがわかった」


「え……?」


 ノエラは驚いた様子で言う。ルノアはじっとこちらを見ている。


「戦争になれば、間違いなく危険に晒されることになる」


「それはだめ、かぞくはだいじ。たすけにいく」


「……そうだな。そうしよう」


「それに、教皇がいない今、呪いについても考えなきゃ、よね」


「あぁ。それに関しても情報がある。」


 私はその解決方法について、聖統国にいる転生勇者レイナの回復スキルについて話した。


「そいつのスキルなら“呪い”にも対処できるかもってわけね……」


「で、でも……どうやって……?」


「俺に考えがある。ひとまず騎士団に国家間の状況を聞きたい」


「それなら私が行くわ。アンタはまず――」


 一瞬リネアは迷うように言い淀んだが、続けて言う。


「クラリスのところ、行ってあげなさい」


「私は――まだ生きてるって知ってるだけマシなんだから」


 リネアは言う。それは、すこし強がりの入った彼女なりの優しさ。リネアだって……母親が生きているとわかってはいるが、どんな扱いを受けているのかすらわからないというのに――


「……わかった。そうさせてもらう。ルノアとノエラは、王城に行く準備をしておいてくれ。あと――」


 私は意を決して言う。


「長旅になるかもしれない。荷物の準備も頼む」


 私の作戦通りにことが進めば、我々はすぐにでも聖統国へ向かうことになる。

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