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異世界筋肉〜筋トレがしたいだけなのに異世界が放っておいてくれない〜  作者: プロテイン長田
第22章「迫り来る予感」

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第101話「筋肉と武器2」

## 第101話「筋肉と武器2」


### 【あらすじ】


 王都で武器を探してたところ、ギルデスの工房が王都にもできていたことを知るユージとリネア。


 そこにいたギルデスの失言から、トレヴィルで出会った面々が本当に元伝説の勇者パーティーであったことを知る。


 しかしギルデスの頼みでその事実は口外無用との約束をする。


 話題は再びユージの武器探しへと戻る……。


### 【本文】


「それで、だ……」


 ギルデスは店先のカウンターの下から何やら仰々しい装飾のある大剣を持ち出した。


「な、なんですかこれ……」


「ゴツい大剣ね」


「こいつは“グラヴィス・ブレイド”。魔水晶と武器の融合について色々試していたら偶然できた代物だ」


「どんな剣なんですか?」


「まァそれは実際見てみるのがいいだろ。ついてきな」


 ギルデスはそう言うと、我々を店の裏庭へと案内した。


◇◇◇◇◇◇


「持ってみろ」


 王都に進出したというギルデスの工房。その裏庭。


 地面に置かれた“グラヴィス・ブレイド”という大剣。


 ギルデスに言われる通り、その剣を持ってみる。


(ふ、普通だ……)


 思った通りの重量。特に変わったところはなさそうだ。


「あんたが剣持ってるの、すごい違和感あるんだけど」


「そうか?」


 リネアはそんな私の様子をまじまじと見ている。


「本番はこっからだ。いくぞ!」


 ギルデスはそう言うと、何やら大剣に魔術らしきものをかける。


 すると、大剣に埋め込まれた魔水晶が紫色に光り始め――


「うおっ!?」


 大剣の“重さが変わった”ように感じた。軽い……!


「どうだ?すげえだろ」


「な、何?どういうこと?」


 そうか、リネアから見たら何が何だかわかんないだろうな。


「持ってみるか?」


「いや、私さすがにそんな重そうなの扱えないわよ」


「いいからいいから」


 リネアに大剣を渡すと、驚くほど軽くなったそれはリネアにも軽々扱えるようだった。


「うわ……すごいわねこれ」


「“グラヴィス・ブレイド”。その名の通り重力を操る魔装武器だ」


 重力を操る……?


 いつぞやノエラと話した“グラビティ”って魔術が使われてるってことか……?


「でも、これならユージが使う意味ないんじゃない?」


「よくぞ聞いてくれた!ここからがコイツの真骨頂だ!」


 ギルデスは再び大剣に魔術をかける。


「きゃっ!?」


 リネアから可愛らしい声が上がる。同時に大剣はズドンと地面に落ちた。


「な、なんだ!?」


 リネアが取り落とした剣はそのまま地面に突き刺さった。


 これは……重量を重くしたのか?


「持ってみな」


 大剣を掴む。


「おっ……これは」


 かなり重い。


 さて……地面近くにあるこういった重量のものを持つにはコツがいる。


 股関節を入れながら体勢を低く。“腰で引かない”のがポイントだ。


「フンっ!!」


 地面に刺さった大剣を引き抜く。


「おお、さすがだな兄ちゃん」


 な、なかなか保持するのもキツイ重量だな。


「コイツが完成してからこの“超重量モード”を持てたやつは一人もいねぇ」


「なるほど……確かにユージにうってつけの武器ね」


「よし、ちょっと振ってみるか」


 私はよっこらせと大剣を持ち直し、構える。


 リディアとの打ち合いの経験から私の剣術スキルはそこそこ向上している。不恰好にはならないはずだ。


 それに、この重量――


 強くなるにはうってつけの重さだ。


 この武器で、私はさらに強くなりたい。


 そう思いながら思いっきり大剣を振りかぶる。


「あぁ!?ちょっと待て!!!」


 突然ギルデスは焦った様子で叫んだ。な、なんだ!?


 ――ブンッ!!


 ――ドゴゴゴゴゴ!!!!


「うわっ!?」


「や、やりおった……」


「な、何よ今の!?」


 私が振った“グラヴィス・ブレイド”はその剣先からものすごい衝撃波が発生し、前方数メートルにわたって裏庭の地面を抉り取ってしまった。


「だから待てと言ったんだ!まさか“超重量モード”のそいつを軽々振って見せるとは……!」


「いや、軽々とはいかないですよ。結構重いですこれ」


「そういう問題じゃ……いや、これはラッキーとも言えるか」


「というと?」


「もとより兄ちゃんが扱いやすいところまで出力を調整するつもりだったからな。その様子ならこのままでいいだろ」


「アンタ、相変わらずパワーに関しては計り知れないわね」


「褒めてるんだよな?それ」


「もちろん」


「あ、でも……」


「どうした?問題があるなら調整するぞ?」


「いえ、そういうことじゃなくて――」


 一つの懸念。


 この武器の良さは“重量が調整できる”ということ。


 軽くすればその分移動に適している。重くすれば単純に攻撃力が増す。それはいい。


「これ、効果を発揮するのに毎回魔術をかける必要、ありますよね?」


「あ、確かに。ギルデスさん。こいつ魔力ゼロだから――」


「なんだ、そんなことか」


 ギルデスはあっけらかんとした様子で言う。


「それなら、乗合馬車で仲間にした嬢ちゃんに頼めばいいだろ?あの嬢ちゃん、今の実力なら重力魔術だって使えるだろ?」


「あ、そうか。ノエラに頼めばいいのか」


 簡単な話だった。タイミングよく(完全に別件で)ノエラには重力魔術の話をしていたのも功を奏した。


「……ちょっと、待ってください」


 そんなことを考えていた私とは裏腹に、リネアは何か引っかかった様子で言う。


「……ん?どうした?」


 リネアは少し迷った後、意を決した様子で口を開く。



「ギルデスさんって、ノエラのこと、知ってましたっけ?」



 しばしの沈黙。



 どういうことだ――?と思ったが、考えてみると確かに今のギルデスの発言は引っかかる。


 我々が王都を出るとき、乗合馬車に乗ったのもノエラと出会ったのも、ギルデスは知らないはずでは……?


「ああ、もちろん知ってるぞ!“筋肉の賢者”パーティーの“神獣使い”の嬢ちゃんだろ?」


 ギルデスから感じ取れる明らかな“焦り”。


「いや、それはそうなんですけど、私たちが『乗合馬車で仲間になった』って……」


「いやいや!賢者とその仲間たちの逸話はトレヴィルでも話題でな!」


「……『今の実力なら』って、まるでノエラの成長を知ってるみたいな言い方でしたけど、まさか――」


 リネアの推理が炸裂する。


 これはギルデスたちが伝説勇者パーティーメンバーだということとは完全に別件だ。


 確かに、今の発言は我々の足取りを知っていないと出ない気がする。


「……聞かなかったことには――ならんか」


 ま、まじで何かあるのか?


 まさか……ずっと前から感じていた“監視されていそうな気配”の正体は――?


 これは色々話を聞く必要がありそうだな……。

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