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異世界筋肉〜筋トレがしたいだけなのに異世界が放っておいてくれない〜  作者: プロテイン長田
第22章「迫り来る予感」

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第100話「筋肉と武器」

## 第100話「筋肉と武器」


### 【あらすじ】


 打ち上げにて、守るべき大切なものを再確認したユージ。


 そのためには今まで以上の力が必要かもしれない。


 ユージはあることに興味を示していた……。


### 【本文】


 打ち上げの翌朝。


 モーニングルーティーンはかなりの変更を強いられていた。


 まずリネアがいつまで経っても部屋から出てこない。


 そしてマルティナは朝食を食べずに、さらにはリディアを置いて先に騎士団本部へ行ってしまったらしい。


「……まあ忘れてやってくれ。彼女の酒癖は見てもらった通りなんだ」


 朝食の席にはルノア、ノエラ、リディア、クラリスが座っている。


「あ、ああ。かなり強烈だったからな」


 昨晩の打ち上げ、酒が入ったマルティナの絡みは壮絶なものがあった。


「ノエラ嬢、マルティナのああいうところは見習わなくていいからな」


「は、はい。わかりました……?」


「ルノア、あのマルティナすき」


「それで……リネア様が部屋から出てこないのは……」


「…………それはだな」


 正直なところ私も確信はないが……昨晩、私の想いを伝えたことが原因であることは間違いないはずだ。


 だが飲みすぎたのもあってかリネアがどこまで聞いていて、どこまで覚えているのかが問題だ……。


「ちょっと見てくる。みんなは先に食べていてくれ」


 ともかく、話を聞かなきゃ始まらないか……。


◇◇◇◇◇◇


「リネア、起きてるか?」


 リネアの部屋をノックする。


 返事はない。


「……入ってもいいか?」


 やはり返事はない。


 ドアは……開いてるな。


「入るぞ……?」


 恐る恐るドアを開けて部屋に入る。


 そういえばリネアの部屋、初めて入るかもな。


「…………寝てるのか?」


 ベッドに横になっているリネア。


 近づいても反応がない。だがこれは――


(寝たふりだな……でもなぜ……?)


「朝飯出来てるぞ」


 ピクリと反応したリネア。なんだよ、ちょっとかわいいな。


「おーい、起きないと無理やり連れて行くぞ」


 またモゾモゾと反応する。


「起きてるだろ」


「…………うん」


 やっと口を開いたリネア。


「なんでまたこんな寝たふりなんか――」


「昨日のこと」


 リネアは私の言葉を遮るように言った。


「……え?」


「昨日のこと、覚えてない……私、アンタに何かすごい大事なことを言われた気がするんだけど――」


 リネアは、どうやら飲み過ぎで記憶を飛ばしてしまったらしい。


「まさか記憶ないのか?」


「うん……頭痛い」


 これは、二日酔いか。


「気持ち悪いかも」


「ちょっと待て!すぐ――この場合は回復魔術か!?」


◇◇◇◇◇◇


『俺の人生のパートナーはリネアだ』


 私の人生初の告白とも言えるその言葉は、アルコールと共に分解されてしまったらしい。


 二日酔いに苦しむリネアをノエラとクラリスが回復してくれたが、昨日のその言葉について、また改めて話すタイミングを失ってしまった。


 そして今、私とリネアは二人で王都の商業区に来ている。


 目的は――武器だ。


 リネアに再び自分の気持ちを伝えるタイミングを見つけるためでもあるが……。


「……で?どういう風の吹き回しよ、アンタが武器なんて」


 リネアはノエラたちの処置によってすっかり元気を取り戻していた。


「モンスター事件で分かったんだが、やっぱり石投げるだけじゃ限界があるなと思ってな」


「いや、十分じゃない?Aランク相当が一撃でSSランクすら剣投げで――」


 そこまで言ってリネアは考える。


「確かに、毎回私の剣をぶん投げられて紛失するのは嫌ね」


 バロメギア討伐の決め手となった剣の“投擲”。


 威力は申し分なかったが、リネアお気に入りの剣をダメにしてしまった。


「だからってわけじゃないが、攻撃にバリエーションが欲しくてな」


「……で、武器ってわけね」


 王都の商業区には、王国随一の技師が集う。


 多くの冒険者の憧れの武器が揃うが、当然値段も張るのでほとんどの冒険者は手が出せない。多くは貴族出身の冒険者や騎士団御用達の店ばかりだ。


「アンタ、普通の剣買ってもすぐ投げちゃいそうよね」


「…………」


「否定しなさいよ」


 確かに、私の最大攻撃効率を考えると“投擲”にシナジーのある武器がいい気がする。


 ただ、そんな武器が存在するのか……?


「ってあれ……?この店って……」


 目についたのはピカピカの工房。その店先には見覚えのあるドワーフの紋章が掲げられている。


「……ギルデスさんの、お店?」


◇◇◇◇◇◇


「おぉ!誰かと思えば、ユージの兄ちゃんとリネアの嬢ちゃんじゃねえか!」


 工房に入ると、予想通りギルデスさんが明るく出迎えてくれた。


「やっぱりギルデスさんのお店だったんですね!」


 リネアはトレヴィルにいた頃から武器の世話をしてもらっていたギルデスと再開できたことを喜んでいる。


「そっちに筋トレ器具届けたぶりか。それで――」


 ギルデスはリネアが腰に下げている剣を見た。


「ウチで作った剣は外しちまったのか?」


「あ、いえ……!違うんです!これは――」


 リネアと私は、王都のモンスター事件の事を話した。


「ガッハッハ!!SSランクのバロメギアを一撃で!?」


 ギルデスは豪快に笑って見せた。


「それならあの剣も本望だろうよ。だが今のその剣は――鍛錬用に取り繕ったってところか、それじゃあ“勇者”の名が泣くぞ?」


「色々探してみてはいるんですけど、しっくりくる剣が見つからなくて……」


「そりゃそうだ!“勇者に相応しい剣”を作れる鍛冶なんざ王都中探したってそうは――」


 ギルデスはそこまで言って「しまった」という様子で口を閉じた。


 ギルデスは勇者の剣を作ることに自信があるような口ぶりだ。それこそ、“過去に作ったことがある”みたいな――


「ギルデスさん……」


「待て!ユージの兄ちゃん」


 ギルデスは焦った様子で叫ぶ。


「言いたいことはわかる。だがよ……こっちにも事情があんだ」


「……はぁ」


「リネアの嬢ちゃんも、いいか?」


「……私は別に? ギルデスさん達が伝説の勇者パーティーのメンバーだったとしても不思議じゃないでしょ」


 そ、そうは言うが、どうして存命のメンバーが“伝説”扱いになっているかは気にならないのか……?


 それに、伝説の勇者その本人は今どうなっているのかわからないままだし……。


「その時が来たら必ず真実を話す。今は、その事実が世間に知れるのはまずい」


 ギルデスの様子は真剣だった。


 正直、筋トレ器具やトレヴィルでの恩があるのでこれ以上知的好奇心で探りを入れるのは不義理というものか……。


「わかりました。この話はここまでにしましょう」


 ここはギルデスさんをはじめとしたトレヴィルの面々、ガルデン、セリオ、グラートが伝説勇者パーティーにいたということが確定しただけスッキリしたと思うことにしよう。

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