冒険者としての仕事(ギルド納品編)
「ラミリアさん、おはようございます」
「こよりくん、おはよ」
朝八時。ここは冒険者ギルド。さっき倒したアルミラージの討伐報酬をいただきにきた。ボクは令和の日本から異世界に飛ばされた神人こより。メイド姿で美少女にしかみえないけれど男の子だ。
「今日もかわいいわね」
「ありがとう」
「これお願いします」
「アルミラージの角ね」
ラミリアさんはボクの店の常連さん。いつも新店がオープンすると同僚を連れてきてくれる大切なお客様だ。
「はい。アルミラージの角の代金」
「ありがとうございます」
「それにしてもずいぶんと狩ったわね」
「十五匹ですからね」
「今日はウサギ料理ね」
「そうなります」
「日曜日、ケーキでいい」
「はい。ボク甘いもの好きですから」
「わかった。予約しておく」
「じゃあ」
わたしは冒険者ギルドの受付嬢ラミリア。こよりくんの女。でも彼はモテる。競争率はかなり高い。それでも彼以外の男は考えられなかった。
いまは遅い青春を年下の彼で楽しませてもらおう。
さて、今日はウサギのカレーか。なんだか楽しみになってきた。
それにしても。アルミラージの討伐数が多すぎる。危険なモンスターをたくさん狩ってくれるのは助かるし文句はない。問題はその数だ。とても朝だけで狩れる数ではなかった。
ヤバい。受付嬢の勘が告げる。すぐにギルドマスターの部屋に駆け込む。
「ギルマス!スタンピードの兆候がでました!」
ごめん、こよりくん。今日はお昼に行けそうもない。
「わぁ、アルミラージじゃないですか」
テーブルの上にキレイに血抜きされたアルミラージの肉が並ぶ。ここはバイキングレストラン二号店"カレー大好き"の厨房。
わたしはシェフのカレーマスターのマイ。
「今日はウサギ肉のカレーだな」
「アルミラージは鶏肉みたいに美味しいんですよ」
「賄飯が楽しみだ」
すんすん、くんかくんか。隣のマイがボクの体の匂いをかぐ。
「えっと。マイさん」
「ミコトとメイの匂いがする」
「え」
「朝からしましたね」
「え、え」
「わたし鼻だけはいいんですよ」
「すいません」
「わたしだって子供ほしいんですから。こよりさんの」
ズキュン
思わず抱きしめていた。
「もう。いましてくれたら許してあげます」
「え」
マイに手をひかれて店の裏に連れて行かれる。振り返ったマイが抱きついてきた。ちゅっ。
「いつでも大丈夫です」
「マイはえっちだなぁ」
「たくさん、くださいね」
「ん」
ミコトとメイは見ないふりをしてくれていた。開店まで二時間を切る。
今日も時間との戦いだった。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「いらっしゃいませ!」
「今日はアルミラージのカレーがあるよ!」
「二時間食べ放題で千九百ウェン!!」
「はい、二名様ご案内!!」
ふと見るとラミリアさんが走ってきた。珍しい。
「こよりくん、大変!スタンピードが来るわ!!」
勘弁してよ。
はい異世界シニアです。
やってきましたスタンピード(モンスター氾濫)。
次回、異世界バイキング。スタンピードという名前の食材の大量仕入れ。




