冒険者としての仕事(アルミラージ狩り)
「ミコト!そっちに行ったぞ」
「「はい、旦那様」」
スパッ
黒い忍者装束の女冒険者ミコトの小刀がすれ違いざまにアルミラージの頸動脈を切る。着地したアルミラージはそのまま息絶えた。
ボクは異世界で冒険者とバイキングレストランの店長を兼業している、神人こより。令和の中学三年生だ。そろそろこの世界に来てから一年が経つ。
今朝は開店前に同じ店のウェイトレスの女冒険者ミコトとメイの姉妹と食材探しに森へやってきた。
冒険者としてモンスターを倒して討伐報酬をもらい、残った肉や採取した野菜はレストランの食材に使う。まさしく一石二鳥だ。
今日はアルミラージがよく狩れる。角のついたウサギだ。見た目はかわいいけれど、森に入る人の死因ナンバーワンの害獣だったりする。その鋭い角で腹に穴が開けば、確かに生きてはいられない。
「ミコト。今日はこれくらいにして戻るか」
「はい旦那様」
「メイ。レタスとキャベツは十分か」
「はい旦那様」
なぜか二人はボクのことを旦那様と呼ぶ。同じ東洋人ではあるけれど、旦那様って「夫」の呼び方なんだよね。
「あら大変」
「どうした」
「収納庫スキルが使えません」
「あ、わたしもです」
「それは大変だ!」
収納庫スキルはストレージのこと。生物は入らないが、食材などの時間をとめたままいつまでも収納できる。冷蔵や保存技術のない異世界でレストランを経営する人間にとって、喉から手がでるほどに貴重な人材だ。
「どうしたら使えるようになる」
「旦那様の成分が不足しています」
「へ」
「丹田に旦那様の体液を注入していただかないといけません」
「わたしもです」
「マジ?」
「「マジです」」
「はあ」
「メイ、周囲の警戒を頼む」
「はい!」
ミコトが嬉しそうに背中を向ける。太い樹木に手をついた。
「もう準備はできております」
あ、こいつら。はじめからそのつもりだったな。こうなったらお仕置きしてやる。
後ろから姉の声が聞こえる。
旦那様
旦那様
旦那様
まさか姉のこんな声を聞くときが来るとは。わたしは冒険者メイ。双子の姉と東洋の忍の里からでてきた。強い男の子種をもらうためだった。
姉妹二人が納得できる男がみつからず、この世界の結婚適齢期を過ぎてしまった。それでもこより様に出会えた。まだ子は成せる。
姉の息遣いが激しくなる。そろそろ果てそうだ。次が自分の番だと考えただけで下の口からよだれが出てしまった。
「く!!!」
姉が落ち着いたら周囲の警戒を交代する。旦那様のマグナム44を口で掃除する。少し苦いけれど好きな味だ。
「メイ、もういいよ」
「はい」
姉と同じポーズをとる。
「よろしくお願いします」
「いくよ」
「ぁ」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
わたしは冒険者ミコト。冒険者でバイキングレストラン二号店"カレー大好き"のウェイトレス。
後ろからは妹の嬌声が聞こえてくる。
旦那様
旦那様
旦那様
声が大きいってば。忍びとしてそれはどうなの。さっきまでの自分を棚にあげる。あ、さきほど頂戴した旦那様のが太ももに垂れてきた。
「ぃ!!!」
達したか。周囲の警戒をしながら妹と旦那様のマグナムをお掃除する。
それにしても・・旦那様はなぜいつもメイド姿なのだろう。これでは百合にしか見えない。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「あらあら朝から頑張ったわね」
バイキングレストラン一号店"お肉は正義"オーナー兼シェフのレミリアが言う。
彼女の前には大量のアルミラージとレタス、キャベツなどが並べられていた。
「今日はアルミラージ大量ですよ!」
「こより。そっちのことじゃない」
レミリアの娘のエミリアが突っ込む。
「エミリア一体なんのことかな」
「しらじらしい」
ボクの後ろに立つミコトとメイがホクホクした顔をしていた。
「まったく森に何しに行ってるのやら」
「「狩りですよ」」
「何を狩っているのやら」
「こよりくん、サラダできてるから」
「レミリアさん、ありがとうございます」
「メイ。三号店にサラダとシーフードカレーをよろしく。んで魚介スープもらってきて」
「ミコト。サラダ収納よろしく」
「「はい旦那様」」
ぴくっ。
空気が凍る。レミリアさんとエミリアの周囲の温度が下がった気がした。
「こより」
「こよりくん。今夜お話があるの」
「はい」
今度はボクがお仕置きされる番だった。
はい異世界シニアです。
今回は冒険者としての朝のお話でした。
次回、異世界バイキング。アルミラージ祭り。




