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ナデシコ転生!~軍艦擬人化美少女無双物語~  作者: 881374
第0章、【先行公開お試し版】※本編は第1章からです。
19/27

第19話、ネットメディア規制は、Web小説に対する死の宣告である!(前編)

「──いやあ、食った食った」




 そのように、至極満足そうに言いながら、僕はご当地名物『さぬうどん』専門店の暖簾をくぐって、青空の広がる往来へと歩み出た。




 2020年3月14日、某県某所。


 ()()()()では結構有名なイベントである、『ホワイトデー』の当日だというのに、県内でも有数な繁華街の人出は閑散としており、現在世界的に大流行している『大陸風タイリク・フーウィルス』の影響の大きさを、まざまざと感じさせられた。




「……何が、『某』県ですか、思いっきり、『讃岐うどん』とおっしゃっていたではありませんか? 相変わらず提督アドミラルは、言動がいちいちわざとらしいですね?」




 春の陽射しを全身に浴びて、つい浮き足立っていた僕の出鼻を挫くようにして、ぼそっとつぶやく、やけの棘のある声音。


 振り向けば、この季節にふさわしいパステルカラーのワンピースをまとった、年の頃十歳くらいの小柄な少女が、相も変わらず何の感情も窺わせないすまし顔でたたずんでいた。




 つやめく烏の濡れ羽色の長い髪の毛に縁取られた、日本人形そのままの端整なる小顔の中で煌めいている、黒水晶の瞳。




「……ナデシコ」


 そうそれは、僕がこの世界から異世界へと召喚した、未来の日本が超科学力とクトゥルフ神話とを掛け合わせて生み出した、いわゆる『軍艦擬人化少女』と呼ばれる存在であった。


「それにしても、さすがは本場の『讃岐うどん』ですね。いやあほんと、『讃岐うどん』は素晴らしい。すっかり堪能させていただきましたよ。まさしく『讃岐うどん』こそが、この県どころか、四国随一の名物ですね!」


「わざとらしく、『讃岐うどん』を連呼するんじゃないよ! ──ていうか、そもそも軍艦擬人化少女であるおまえが、うどんなんかを食べる必要があるのか⁉」


 おまえらは普通、『ボーキサイト』や『コーラ』等を、主食としていたんじゃなかったっけ?


「失敬な。軍艦擬人化少女とは、読んで字のごとく、『軍艦』と『少女』との両方を兼ね備えているのであって、『軍艦』である部分においては、燃料とか鋼材を補給すれば事足りますが、『少女』の部分においては、人間様がお食べになられている食材を捕食しても、別におかしくはないでしょうが?」


「えっ、ゲームとかの設定も、そうだったっけ?」


「……ふふっ、提督アドミラルったら。ゲームと現実とを混同なされては、駄目ではないですか? そんなんじゃ、社会不適合者と見なされても仕方ありませんよ?」


 ──モノホンの軍艦擬人化少女から、『ゲーム脳』扱いされてしまった⁉ 何という屈辱!


「誰が社会不適合者だ⁉ 人をこの国特有の『ヒキオタニート』みたいに言うんじゃない! おまえ、何か知らんけど、すっかりこの世界に馴染みやがって。僕たちが異世界から来たことを、忘れてしまっているんじゃないだろうな⁉」


 そうなのである。


 僕自身はそもそも、剣と魔法の某異世界における錬金術師兼召喚術士であり、異端認定されて処刑されようとした時に、藁にもすがる思いでこの『現代日本』なる世界から召喚したのが、軍艦擬人化少女という事実上全次元最強のチート的存在である、ナデシコなのである。


 こうして某県に来て名物のうどんを食べたり、某首都の満員電車を満喫したりしているが、あくまでも自分たちは文字通りの『異邦人おきゃくさん』なのであって、もっと節度というものを守るべきなのだ。


 ──そのように、一応は『あるじ』である僕が胸中で至極もっともなことを考えていると、口先だけは『しもべ』を自称しているくせに、こちらを侮蔑していることを隠そうともしない幼い少女が、やはり当然のようにして侮蔑の視線を向けてきた。


「……はあ〜、相変わらず『本質』というものを、ちっともわかっておられないようですねえ?」


「な、何だよ、本質って。──つうか、そのいかにも『馬鹿を見るような目つき』は、やめてくれ!」




「本来この世界の人間では無い我々が、こうして実体を有して、うどんを食べたりできるなんて、これはもう精神的な世界間移動である『異世界転()』では無く、物理的な世界間移動である『異世界転()』ですよね? これは本来『質量保存の法則』という物理学の根本原理上、絶対にあり得ないはずだったのですが、どういうことでしょうね? それに比べたら、一応は人間の形をしている軍艦擬人化少女が、うどんを食べたりしてこの世界を満喫していることなぞ、ささいな問題ではないでしょうか?」




 ……………あ。


「そういえば、そうじゃん⁉ これって完全に、物理的な世界間移動だよな⁉ 一体どうやって実現したんだ?」


「……今頃になって、そんな重要なことにお気づきになる、提督アドミラルの鈍感ぶりに、むしろ尊敬の念を抱くほどです」


「おまえ、一応は『創造主』である僕に対して、何でそうも辛辣な言動ばかりするの⁉」


「ええ、ええ、おっしゃる通り、私は召喚士兼錬金術師であられる提督アドミラルのお陰で、『全次元中最強の存在』として召喚していただきました。まさにその『最強の存在』とは何かと申しますと、私が歴代の戦艦において最大口径を誇る『46サンチ主砲』を有しているからとか言った、物理的最強なぞでは無く、いわゆる『集合的無意識へのアクセス権』が、最大級──すなわち、『完全フリー』であることなのです。そこで私は、これまで自分が存在していた剣と魔法のファンタジーワールドから見れば『異世界』に当たる、この『現代日本』において私と提督アドミラルの肉体を形成してから、集合的無意識を介して『記憶と知識』だけを転移インストールさせたというわけなのですよ」


「べ、別の世界に、あらかじめ肉体を形成しておいてから、記憶と知識をインストールした、だと⁉」


 ……いやいや、そんな馬鹿な? こいつ自身が言うように、集合的無意識ってのは、ユング()()学で言うところの、ありとあらゆる世界の『記憶と知識』が集まってくる、()()()領域のはずだよな?


 たとえそれとのアクセス権が最上位の『完全フリー』だからって、どうして別の世界に肉体を構成できたりするんだよ⁉




「……あー、やはりわかってらっしゃらないようですねえ? 私たち軍艦擬人化少女が、かのクトゥルフ神話で高名な不定形暗黒生物である、『ショゴス』で構成されていることについては、すでにご存じのことかと思われますが、ありとあらゆる世界における森羅万象の物理量の最小単位が、『量子』であることは大原則なのだから、当然ショゴスも量子によって構成されているのであって、実はショゴスならではの変身能力は、己を構成する量子の形態情報を、集合的無意識から別の形態情報をダウンロードして『書き換える』ことによって、実現しているわけなのです。同様に集合的無意識に完全フリーのアクセス権を有する、我々軍艦擬人化少女は、自分自身を構成する量子だけでは無く、自分以外の万物を構成する量子の情報をも、集合的無意識を介して書き換えることができるので、それによって周囲の空気を艤装に変換させたり、その燃料や弾薬を無限に補充することが可能となるのです。しかもまさにこれぞ全次元における最上位のアクセス権であるゆえに、別の世界の万物に対しても変換能力を行使できて、たとえば剣と魔法のファンタジーワールドに居ながらにして、それに対する異世界に当たる現代日本における、空気を構成する量子の形態情報を書き換えることによって、自分や提督アドミラルの肉体を形成して、更にはそれに集合的無意識を介して、自分たちの『記憶と知識』をインストールすることによって、事実上の『物理的な異世界転移』を実現することを成し得るといった次第なのですよ」




 ──なっ、そんなまさか⁉


「ちょっと待てよ⁉ この作品の作者って、これまで散々『物理的な異世界転移なぞ、絶対に実現不可能なのだ!』とか何とか、言い張っていなかったか?」


「確かにそうですけど、今の説明に、どこか論理的な過ちが、存在していたでしょうか?」


「うっ…………た、確かに、少々極論ぽいところもあるが、理論的には間違ってはいないよな」




「そうでしょうそうでしょう、実はこれは、我々がこうして現代日本にいながら、現在大流行中の『大陸風タイリク・フーウィルス』をまったく寄せつけないことにも、大いに役立っているのですからね」




 ………………………………はい?

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