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ナデシコ転生!~軍艦擬人化美少女無双物語~  作者: 881374
第0章、【先行公開お試し版】※本編は第1章からです。
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第16話、あたし、さまよえるオランダ駆逐艦『娘』、いまバタヴィアにいるの。(前編)

 ──皇紀2680年、この年世界は、『チナ黄色オーク族共和国』の秘密軍事機関都市武装(ヴァッフェン)S2市で発生した、新型ウィルス『武装ヴァッフェンチナ肺炎ウィルス』の猛威にさらされて、無数の感染者を生み出し、数多くの人命が奪われました。


 当然世界中は大混乱に陥ったのですが、その結果、非常に哀しい状況に直面してしまったのです。




 何とそれは、特定の国家や人種に対する、あからさまな『差別』でした。




 ……いくら平時において、『国際協調』とか『万民平等』とか喧伝していても、人も国家も追いつめられた時こそ、『本性』を現すということなのでしょうか?


 しかもおかしなことにも、別にウィルスの発生元である、チナ黄色オーク族共和国の支配層や人民が、悪し様に責められたわけでは無かったのです。


 それと言うのも、チナは白色種に比べれば劣等種と見なされている黄色腫でしたが、一応は上位腫族のオークであり、しかも個体数10億以上の大国でもあって、経済的にも軍事的にも、本拠地である東エイジア大陸どころか全世界においても、一二を争う勢力を誇っており、面と向かって文句を言うことのできる国なぞ、まさしくチナと世界の覇権を争っているアメリゴ合衆国くらいでした。


 そこでチナの代わりに槍玉に挙がったのは、理不尽なことにも何の罪のない、同じ黄色腫の、鬼人族や人間族だったのです。


 当然のことながら、獣人族の一種であるオークと、ヒューマン族に属する鬼人族や人間族は、まったく異なる種族なのですが、差別主義者の白色種にしてみれば、とにかく差別できればそれでいいので、チナの代わりに、極東エイジアの島国旭光(ヒノモト)帝国の鬼人族や、その他のエイジア大陸に広く分布している人間族が、犠牲になってしまったのです。


 その中でも主に標的ターゲットとなったのは、かつてエイジア全域において黄色腫の地位向上を目指して、『グレート・イースト・エイジア戦争』を起こして、多くの人間族の国々を独立に導きつつも、白色種のオーク族の列強諸国のみならず、同じ黄色腫でありながらオーク側に立った、エイジアの裏切り者のちょうかいせきに率いられた『くまねこ民国』に袋だたきに遭って、敗戦国となってしまった、鬼人族の旭光ヒノモト帝国でした。


 生憎と国土がチナと隣接しており、感染者数も多数にのぼっていたので、黄色オークの代わりに八つ当たりをするのに好都合だったのです。


 特に、元々『白色種至上主義』に凝り固まっている、ガリア大陸の諸国ときたら酷いもので、魔族種の東スワスチカ共産主義人民共和国は、自国のサッカーチームをわざわざ応援に来てくれた鬼人族をスタジアムからつまみ出すし、白オーク族のエスカルゴ共和国や反グレ共産主義国も、いろいろと嫌がらせをしてくるといった始末でした。


 更には信じられないことにも、それを唆しているのが、全世界保健機構の『ブー』だったのであり、ガリア大陸諸国のみならず世界中の国々を扇動して、あたかも旭光ヒノモトこそが諸悪の根源であるように、『誘導』していったのです。


 それと言うのも、ガリア諸国はもちろん何と『ブー』に至るまで、すでにすっかり『チナマネー』に支配されており、チナ発生の今回の『パンデミック』を、あたかも旭光ヒノモト発祥であったかのように、事実をすり替えようとしていたのでした。


 その結果、旭光ヒノモトの鬼人たちは世界各国において、いわれなき差別を受けることになってしまったのですが、事態はそんな生やさしいレベルでは済まなかったのです。




 実は何と、同じ黄色腫で、旭光に対して大恩のあるはずの、東南エイジアの後進国『イーストターバン諸島連合』が、自国の不衛生極まる環境を棚に上げて、国内の武装ヴァッフェンウィルスの感染の原因を、旭光ヒノモト人の旅行者に押しつけてきたのです。




 この貧困国家も他の国や国際機関の例に漏れず、すでにチナマネーに支配されており、スポンサー国家の指令に基づいて、旭光ヒノモトを陥れようとしていたのでした。




 しかし元はと言えば、現在イーストターバン諸島連合という国家が存在できているのも、かつての『グレート・イースト・エイジア戦争』の折に、旭光ヒノモト帝国が白オーク国家のオレンジ王国を追い払い、軍事教練を始めとする様々な教育を施してやって、民族としての自立心を養ってあげたからであり、更には旭光ヒノモトが敗北した後でのオレンジからの独立戦争においても、何千人もの旭光ヒノモト兵たちが国内にとどまり、先頭に立って戦って勝利をもぎ取って、栄光なる新国家建設に多大なる貢献を果たしたのであり、まさにイーストターバン諸島連合の人々にとっては、旭光ヒノモトこそが民族そのものの大恩人であったのです。




 それは敗戦国とはいえ、優秀なる鬼人族ならではの奮闘ぶりにより、旭光ヒノモトが世界有数の経済国家となってからも同様で、様々な経済支援を施してあげて、イーストターバン諸島連合の経済発展に大きく寄与してきましました。


 しかし、戦後70年以上もたつと、人の心も移ろってしまうものなのでしょうか?


 イーストターバン諸島連合においても、独立時のことを覚えている人々もほとんどいなくなり、旭光ヒノモトに対する恩義なぞ忘れて果てて、あくまでも現在においてより多大なる利益を与えてくれている、チナに媚びへつらう恩知らずばかりになってしまったのです。


 特にそれは今回の武装ヴァッフェンチナ肺炎ウィルス騒動において、国家保健相自らが、「我が国のウィルス感染は、旭光ヒノモト人が原因」と、正式に声明を発表して以降、より顕著となりました。


 その結果、イーストターバン諸島連合国内に在中している旭光ヒノモト人は、あらゆる場面で不利益な扱いや露骨な嫌がらせを受けるようになったのです。


 具体的には、重要な商談が一方的に破棄されるのに始まり、道を歩けば悪し様に罵られたり、これまで親しかった隣人たちが陰口をたたくようになるといった、散々な有り様でした。


 挙げ句の果てには、一部の暴走した市民から、直接暴力を受けそうになったり、旭光ヒノモト人が経営する企業や商店が脅迫を受けると言った、ゆゆしき状態にまで陥ったのです。




 ──ここに至ってついに旭光ヒノモト政府は、イーストターバン諸島連合国在中の鬼人及び企業体の、全面的撤退を決定したのでした。




   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑




「──うわはははは、ようやく目障りな旭光ヒノモトの鬼人どもを、すべて追い払ってやったぞ!」




 イーストターバン諸島連合の首都ヴァカミタに所在する、大統領府の執務室にて響き渡る、高らかなる大笑。


 見るからにご機嫌の御様子で、趣味の悪い金ぴかの衣裳にぶくぶくに太った体躯を包み込んでいる彼こそが、この国のトップ、ザック=モブフゼー=ワキヤークなのでした。


「左様でございますなあ、これで心置きなく、チナの企業に旭光ヒノモトの後釜として進出していただいて、我が国を更に発展させてもらえるというものです」


 そのようにすかさず追従をしたのは、実際に「感染源は旭光ヒノモト人」というフェイクニュースを大々的に喧伝した、保健相のシンコウソク=テツドウ=ソンタックでした。


「そういえばそろそろ、チナの艦隊が、ヴァカミタ港に到着する頃合いじゃろう」


「これで我が国は、れっきとしたチナの一部、『イーストターバン省』と言うことですなあ。いやあ、めでたい!」


「我々上層部は、チナ共産党の幹部の地位が約束されておるので、安泰だしな」


まことに、おっしゃる通りで」


「「わははははははははは!」」


 再び大統領執務室に響き渡る、文字通り『売国奴』たちの下卑た笑い声。


 ──まさに、その時であった。




「報告します! 現在ヴァカミタ湾に、外国船籍と思われる軍艦が、多数殺到しております!」




 ノックの音もそこそこに、血相を変えて飛び込んでくる、大統領付の青年武官。


「……何を慌てておる、チナ共和国軍の軍艦が入港予定であることは、事前に伝えておったろうが?」




「いえ、違います! 軍艦と言っても、最新鋭の航空母艦やフリゲート艦では無く、大昔の大航海時代の帆船ばかりなのです!」




「「………………………………は?」」




 おやおや、これにはさすがの国家元首と保健相も、びっくり仰天のようですね。


 何せ、帆船型の軍艦なんて各国の海軍においても、もはや新兵の訓練くらいにしか使われておらず、大国チナ黄色オーク族共和国の正式艦隊として、派遣されたりはしないはずなのですから。




 ──それでは、現在ヴァカミタ湾に集結している艦隊とは、一体何者なのでしょうか?

※あくまでもこの作品は、リヒャルト=ワグナーのオペラと、その題材となった『フライング・ダッチマン』伝承とに基づいた、完全なるフィクションであって、実在の人物や国家やその他諸々とは、まったく関係ございません。

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