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イカれた主人公の集い

ヤバい奴登場!

魔族幹部討伐の翌朝

港町にはどこか静かな活気が戻っていた。


カロンは宿の前で腕を組み、通りの先を眺める。

「例のマネージャー、そろそろ来る時間だな……」


その時――

遠くから、低く唸るようなエンジン音が聞こえてきた。

最初は微かだったそれが、徐々に近づいてくる。

規則正しく、重い駆動音。

やがて通りの奥に、黒い影が現れた。


石畳を踏みしめながら進んでくるのは――

クレイン王国陸軍の機動ピックアップトラック、

ククリRPV

無骨な装甲、高い車高、そして50口径重機関銃

その存在だけで、場の空気が引き締まる。


レオンが思わず目を見張った。

「ククリRPV!?凄いので来たな……」


車両は四人の前でゆっくりと減速

キィッ……

重々しい音を立てて停止する。

荷台には、きっちりと固定された物資の山。

ガソリン缶、弾薬箱、武器クレート。

どれも無駄なく積み込まれている。

エンジンが止まる。


運転席のドアが開いた。

ガチャッ

降りてきたのは――


カロンとレオンにとっては見慣れた顔。

整った身なりに、落ち着いた佇まいの女性。

「久しぶりだね、ロンくん、レオくん」

軽く手を上げ微笑んだ

レオンが目を見開く。

「エマ!?」


カロンは一瞬だけ間を置いてから、肩をすくめた。

「あー……なんだ、マネージャーってエマだったのか」

どこか拍子抜けしたような口調


その後ろで、スタオンヌが小さく首を傾げる。

「あの……お知り合いですか?」

レオンが振り返り、簡潔に答えた。

「俺ら三人、幼馴染なんだ」

その一言に、空気が少しだけ変わる。


エマは軽く微笑むとすぐに姿勢を正した。

そして胸元からすっと一枚の名刺を取り出す。

無駄のないながらも慣れた自然な動き

「申し遅れました」


一歩踏み出し丁寧に差し出す。

「クレイン王国財務局で査察官をしております、エマ・グレイスと申します」

柔らかな声

だが、その言葉にはしっかりとした“肩書きの重み”がある。

「この二人とは、幼い頃からの知り合いでして」


自然な補足。

完璧な挨拶だった。

――その流れで。

スタオンヌもなぜか同じように胸元へ手を入れる。

「……頂戴致します」

受け取ると同時にこちらも一枚取り出す


少しだけぎこちない手つき。

「あ、名刺交換……こういうの、初めてでして……」

だが、すぐに姿勢を整える

「クレイン王国科学会薬学研究所の、スタオンヌ・ドゥラメリアと申します」

丁寧に差し出す

その所作は不慣れながらもしっかりと品があった。


エマはわずかに目を細める。

「ご丁寧に、ありがとうございます」

自然な返し。


その隣で――

リバティーナも当たり前のように名刺を取り出していた。

「私は妹のリバティーナ・ドゥラメリアと申します」

リバティーナは少し慣れたような落ち着いた口調。

「クレイン法律事務所に所属しております」


「カロンさんとレオンさんには、命を救っていただきました」

真っ直ぐな言葉。

そのまま名刺を差し出す。

――一連の流れ。


妙に洗練されている。

カロンはその光景を見てぽつりと呟いた。

「なんで皆、名刺持ち歩いてんだ?」

心からの疑問だった。


レオンは肩をすくめる。

「お前が持ってないだけだ」

リバティーナ姉妹、エマ

三人の女性が並ぶその光景は――

どこか“仕事ができる空気”を纏っていた。


名刺交換を終え、空気が少しだけ柔らぐ。

エマは二人を改めて見て、穏やかに微笑んだ。

「それにしても……スタオンヌさん」


名前を呼ばれ、スタオンヌが首を傾げる。

「はい?」


エマは少しだけ楽しそうに目を細める。

「ロンくんの理想の女性像、そのままですね」

さらりと言う。


嫌味も探りもない。

ただ事実を述べるような自然さ。

スタオンヌは一瞬きょとんとした後、ふわりと頬を緩めた。

「あら……♡そうですか?」

嬉しそうに微笑む。


その反応を見て、エマも軽く頷いた。

「ええ。ロンくん昔から全然変わってないので」

少しだけ肩をすくめる。

どこか懐かしむような口調。


そのやり取りを横で見ていたリバティーナは、内心で小さく驚く。

(……褒めるのが上手い……)


自然に距離を縮めている。

警戒心を刺激しない言葉選び。

エマはそのまま視線をリバティーナへと移す。

「リバティーナさんも、とても落ち着いていらっしゃいますね」

「……いえ、そんな……」

少し戸惑いながらも返す。


エマは軽く首を振った。

「いえ、こういう場でしっかり対応できる方は貴重です」

真っ直ぐな評価。

言葉に無駄がない。


リバティーナはほんの少しだけ視線を逸らしながらも小さく頷いた。

空気は穏やかだった。

どこか安心できるような距離感。

カロンはその様子を見て、ニヤリと笑う。

「お前、そういうの得意だよな」


エマはさらっと返す。

「仕事ですから」


レオンが小さく息を吐く。

「……変わってないな」


その言葉に、エマはほんの少しだけ笑みを深めた。

「お互い様でしょ」

短いやり取り。

だが――

その場にはすでに、“気の知れた仲間”の空気が流れていた


スタオンヌが少しだけ興味深そうに尋ねる。

「エマさんも……カロン様とは、ずっとご一緒に?」

エマは軽く笑って頷いた。

「そうなんですよ。あ、でも」

気付いたように少しだけ手を振る。

「感謝とか尊敬はしてますけど、全然ただの友達ですから」

あくまで線引きははっきり、カロンとレオンには友情が、ドゥラメリア姉妹には礼儀と共に親しみやすさがあった。


その言葉に、カロンがすぐ乗る。

「そうそう!貧乳は恋愛対象外!」

――その瞬間


エマの笑顔が、ぴたりと止まる。

ニコッのまま

次に聞こえたのはカチッ、だった

目で追えない程の速さで抜いたのか、

気付けばリボルバーが手の中に現れる。


「!?」

「!?」

「ヤバい!二人とも伏せろ!!」


ほぼ反射だった。

直後――

バァンッ!!

笑顔のまま発砲。


カロンが身を翻す。

「うおっ!やっぱ変わってないな!」

そのままピストルを引き抜き、即座に応戦。


流れ弾で石畳に火花が散る。

建物の壁に弾痕が刻まれる。

完全に銃撃戦。


なのに――

二人とも、どこか楽しそうですらある。


スタオンヌは混乱したまま叫ぶ。

「どうしちゃったんですかあの二人!?」


レオンは額を押さえながら答える。

「……じゃれ合いだよ。昔からあんなだった……」

慣れ切った口調


リバティーナは呆然とガーディアン90の影に隠れる

「まともな人来たと思ったのに……」


その期待は見事に裏切られていた。

エマは軽やかに身を翻しながらもう一発を撃つ

「相変わらずだね、ロンくん!」


カロンも笑いながら撃ち返す。

「お前もな、エマ!」

銃声が響く中――


その場には、妙に息の合った“幼馴染の距離感”だけがあった。


乾いた銃声が止む。

代わりに残るのは焦げた匂いと妙に静まり返った空気。

スタオンヌはまだ状況を理解しきれず、目をぱちぱちさせている。

「……あの……本当に大丈夫なんですか……?」


リバティーナも額を押さえたまま、信じられないものを見る目で二人を見ていた。

「これが……日常……?」


レオンは深くため息をつく。

「……昔な」

ぽつりと語り出す。

「皆でプール行ったことあってさ」

スタオンヌとリバティーナがそちらを見る。

「最初はただの水の掛け合いだったんだよ…でも

気が付いたら銃撃戦になってた」

「えっ」

「出禁だけで済んだけどな」


さらっと言い切る。

「エマは……ああいう奴だ」

納得するしかない説明だった。


――その頃。

二人は至近距離で向き合っていた。

カロンの拳銃はエマの眉間へ

エマの拳銃はカロンの顎へ

お互い一歩も動かない

完全な均衡。


カロンが口元を歪める。

「……引き分けか」

エマはわずかに視線を落とし――


小さく息を吐いた。

「……いや、私の負け」

そう言って、拳銃を下ろす。

「これ、もう弾切れ」

カチ、と軽くシリンダーを回す。

そして、ふっと微笑んだ。

「やっぱロンくん強いね」

まるで普通の会話。


カロンもピストルを下ろす

「そりゃどうも」


緊張感が一瞬で消えた

その光景を見て――

リバティーナは完全に言葉を失った。

「……なんなんですかこの人たち……」

スタオンヌは、少しだけ考えてから。

「……でも、なんだか楽しそうです♡」


ズレている。

レオンはもう一度ため息をついた。

「……仲間、増えたな」

見た目は完璧なキャリアウーマン。

中身は――

間違いなく、危険人物だった。


港町を抜ける街道。

そこを三台の車両が並ぶように走っていた。

低く唸るエンジン音。


乾いた路面を蹴るタイヤ。

この時代ではあまりにも異質な光景だった。

先頭を走るのは細長く伸びたフロントが特徴的なバイク。


ハンドルを握るカロンの背に、スタオンヌがしっかりと抱きついている。

「カロン様……風、気持ちいいですね♡」

耳元で囁くような声。

だがカロンは、前を見たまま軽く笑う。

「しっかり掴まってろよ、振り落とされるなよ」

言葉とは裏腹に、速度は絶妙に抑えられていた。


その後ろを走るのは、ガーディアン90。

無骨な車体を操るレオンは周囲を警戒するように視線を巡らせている。

助手席のリバティーナは、窓の外を見ながら小さく呟いた。

「……なんというか……目立ち過ぎでは……?」

当然の感想だった。

軍用車両にバイク、そして――


最後尾にはククリRPV。

武装された機動ピックアップトラック

しかもそのハンドルを握っているのは

ビジネススーツ姿の女性。

エマ・グレイス…

華奢に見えるその体格とは裏腹にハンドル操作は正確そのもの。

無駄な揺れ一つない

「……この程度の道路なら問題ありませんね」

独り言のように呟く

視線は前方だけでなく、ミラー越しに全体の隊列まで把握している。


完全に“管理している側”の目。

その姿に、通りすがりの人々が思わず足を止める。

――なんだ、あの集団は…?そんな視線が集まる

当然だった



レオンは小さくため息をつく

「……目立つな」

カロンの声が、前方から返ってくる

「今さらだろ」

軽い、だがその言葉通りだった。


リバティーナはそのやり取りを聞きながら、小さく呟く。

「……まともな人が増えたと思ったのに……」

ちらりとバックミラー越しにエマを見る

エマはにこやかに運転している

「……やっぱり同類でしたね……」

諦めに近い結論だった



スタオンヌはそんな空気など気にせず、カロンの背に頬を寄せる

「カロン様の旅……とても賑やかになりましたね♡」

騒がしくて、危険で、どこか楽しい。

そんな五人の旅が――

本格的に、動き出していた。


ガーディアン90の車内。

重厚なエンジン音が低く響き、外の景色が流れていく。

助手席でシートベルトを握りながら、リバティーナがぽつりと呟いた。

「それにしても……レオンさんの幼馴染というのは……不思議な人ばかりですね……」

率直な感想。

レオンはハンドルを握ったまま、少しだけ苦笑する。

「それ褒めてる?」

リバティーナは一瞬考え――

「……過激、という意味で。褒めてはいないです」

きっぱり。

遠慮はない。


レオンは小さく息を吐いた。

「だよな……」


視線は前方の車列へ。

少しだけ間を置いてから、続ける。

「まあ……エマも昔はおとなしかったんだけどな」

意外な一言。


リバティーナがわずかに目を見開く。

「……そうなんですか?」


レオンは頷く。

「ああ。今みたいに笑いながら銃撃つタイプじゃなかった」

一拍。


「で、ある時カロンが言ったんだよ」

カロンのバイクの背を見ながら、思い出すように。

「『自分勝手に生きろよ』ってさ」


リバティーナは黙って聞いている。



レオンは少しだけ苦笑した。

「あと、『気に入らない奴はぶっ飛ばせ』ともな」

その言葉に、リバティーナは静かに息を吐いた。


「ほお……」

少しだけ視線を逸らす。

「ギャングにならなくて良かったですね」

かなり本音だった。


レオンもそれには同意するように頷く。

「……本当にな」


だが次の瞬間、小さく付け加える。

「まあ、方向性が違うだけで、やってることは似たようなもんだけどな」


リバティーナは、ちらりとバックミラーを見る。

そこには、平然と武装車両を運転するエマの姿。

そして前方には、楽しそうに走るカロン。

「……納得しました」


小さく呟く。

この旅は――

やはり、普通ではない。



街道を外れた草地。

三台の車両を円を描くように停め、その中心で火が焚かれていた。


簡易的な野営――だが、どこか“キャンプ”のような穏やかさがある。

鍋から立ち上る湯気と、焼けた肉の香り。

その前で、エマがふっと肩の力を抜いた。

「あ〜……ロンくんの料理、久しぶりだけど……やっぱり美味しい♡」

完全に“オフ”の顔だった


先ほどまでの端正で行儀よいマネージャーの雰囲気は影もない。

スタオンヌが興味深そうに身を乗り出す。

「よく食べてたんですか?」


カロンは火をいじりながら、何でもないように答えた。

「コイツ、就職してから自炊なんてしたことないからさ、たまに作りに行ってたんだよ」


その言葉に、スタオンヌはぱっと表情を明るくする。

「まあ♡カロン様ってやっぱり優しいんですね♡」

素直な感想。


その横で、リバティーナが小さく目を細める。

(……通い妻……?)

妙なワードが頭をよぎる。


エマは気にした様子もなくフォークを口に運びながらあっさり言った。

「自炊は未だにできませんね」

清々しいほどに断言


レオンがすぐに突っ込む。

「掃除と洗濯とゴミ出しも、たまにしかしてないだろ……」

一瞬、空気が止まる。

エマが、ゆっくりと視線だけ動かした。

「……レオく〜ん?」

圧がある笑顔


レオンは一瞬だけ視線を逸らした。

「……否定はしないけど」

小さくボソッと


エマは満足そうに頷く

「仕事は完璧なので問題ありません」


スタオンヌがくすっと笑う。

「すごく……極端ですね♡」


リバティーナはため息をついた。

「バランスという言葉を知らないんですか、この人たちは……」


カロンはそんな様子を見て笑う。

「役割分担ってやつだろ」


火のはぜる音が、静かに響く。

騒がしくて、どこか抜けていて。

それでも――

少しだけ心地いい夜だった。


焚き火の火が、ゆっくりと弱まっていく。

カロンは枝を寄せ、砂をかけながら丁寧に火の始末をしていた。

周囲は静かだ。


ガーディアンとククリRPVの車内では、すでにレオン達が寝息を立てている。

その静寂の中――

足音が一つ。


振り返るまでもなく、誰かは分かっていた。

「カロン様……」

スタオンヌが、そっと歩み寄ってくる。

「スタオンヌ、どうした?」

カロンが声をかけると、彼女はそのまま隣に腰を下ろした。


少しだけ距離が近い、焚き火の残り火が二人の横顔を淡く照らす。

スタオンヌは少しだけ視線を落としたまま口を開いた。

「私……カロン様が王家の出身だったことも……過去も、何も知りませんでした……」


静かな声。

「ちょっと……レオンさんやエマさんみたいに……子供の頃に出会ってみたかった……なんて」

本音だった。


羨ましさと、ほんの少しの寂しさ。

カロンは何も言わず、その横顔を見つめる。

そして――ゆっくりと腕を回した。

スタオンヌを引き寄せ抱きしめる。

「……あの二人は最高の友達だよ」


低く、落ち着いた声。

スタオンヌが顔を上げる。

カロンはそのまま続けた。

「でも、俺はスタオンヌと友達じゃなくて……」

ほんの少しだけ、言葉を選ぶ。


「今こうして一緒にいられる方がいい」

真っ直ぐな言葉。

スタオンヌの頬が、ふわりと染まる。

「カロン様……♡」

そのまま距離が、さらに近づく。


互いの呼吸が重なるほどに。

カロンは軽く彼女の顎に手を添え――

短く、優しく静かに唇を重ねた。


だが確かに、想いのこもったキス。

離れた後も、スタオンヌは嬉しそうに微笑んでいた。

焚き火の残り火が、最後に小さくはぜる。

その夜は、どこまでも穏やかに過ぎていった。





一方で夜が更けた、日ノ本・會桜。

東山の屋敷の庭先

静かな空気の中、出立の気配だけが張り詰めていた


アクアが穏やかな表情で立ち、沙耶を見つめる

「沙耶、弟を頼むね…君の腕と誇りを信頼しているよ」

静かだが、重みのある言葉。

その隣で紫苑も一歩前に出る

「沙耶、貴女なら出来ます、誠と什の教えを忘れること無く」


二人からの言葉。沙耶は深く一礼する

背筋を伸ばし…迷いなく…

「はい。武士の誇りに誓い……」

顔を上げる。


その瞳には、揺るがぬ決意。

「沙耶・ヒジカタ、参ります」

凛とした声が響く。


――その空気を、あっさりとぶち壊す声が飛ぶ。

「ほんじゃあー 沙耶ちん!行くよ!」

いつの間にかメグが現れていた。


軽い調子…だがその足元にはすでに転移の魔法陣が展開されている。


沙耶は一瞬だけ驚くも、すぐに気を引き締めた。

「……御意」

光が足元から広がり空間が歪む


次の瞬間、二人の姿はかき消えた。

――転移。

カロン達との合流地点へ。

その道中

揺らぐ空間の中で、沙耶は小さく呟く。

「救国の英雄、アクア様の弟殿……」

その表情は、どこか期待に満ちている。

「さぞかし、気高く高潔な御方に違いないでござる……!」

真っ直ぐな理想


その横でメグがニヤリと笑った。

(……ま、おもしろそうだから黙っとこ!)

その選択が、後にどんな反応を生むのか――

まだ、誰も知らない。

カロンはグロック派、レオンはヘッケラー&コッホ派、エマはスミス&ウェッソン派です


エマのビジュアルとククリRPV

新作オリキャラ エマ・グレイス | 福島ナガト #pixiv https://www.pixiv.net/artworks/146183286

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