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美人姉妹ゲットだぜ

続きです、カロンの戦いかを少しずつ見てもらえたらと思います

夜の路地にカロンは振り返り軽く肩をすくめる。

「で?助けてくれってのは、さっきの続きか?」


スタオンヌは一歩前に出る。

その表情は先ほどまでの柔らかさとは違い、どこか覚悟を決めたものだった。

「……はい」


小さく息を整え、言葉を紡ぐ。

「妹が……、魔族に連れ去られました」

レオンの表情が変わる。

「魔族……?」


スタオンヌは頷いた。

「妹だけではありません……この街や周辺で、学者や政治に関わる方々が何人も……同じように……」


言葉を選びながらも、その内容は重い。

「私は……運良く逃げることができました。でも……」


一瞬、声が震える。

だが、すぐに顔を上げた。

「一人では……助けられません」


そのまま、カロンとレオンを真っ直ぐ見つめる。

「お願いします……妹を……皆を……助けて下さい」

路地に静寂が落ちる。

レオンは腕を組み、少し考えるように視線を落とした。

「……状況は分かった。だが場所は?」


スタオンヌはすぐに答える。

「国境沿いの廃施設です……元は関所として使われていた場所ですが、今は放棄されています」


レオンは小さく頷く。

「なるほど……拠点としては理にかなっている」

そして横目でカロンを見る。

「どうする?」


カロンは、少しだけ考える素振りを見せ――

ふっと笑った。

「面白ぇじゃねぇか」


レオンが眉をひそめる。

「遊びじゃない」

カロンはスタオンヌに視線を戻す。

「助けりゃいいんだろ?」

あまりにも軽い言い方だった。

だが、その目は笑っていない。


スタオンヌは一瞬だけ息を呑み――

「……はい」

静かに答えた。 

カロンはくるりと背を向ける。

「じゃ、決まりだな」


ポケットに手を突っ込み、そのまま歩き出す。

レオンはため息をつきながら後に続く。

「……本当に軽いな、お前は」


カロンは振り返らずに言った。

「重い話は嫌いなんだよ」

その背中を見つめながら、スタオンヌは小さく呟いた。

「……ありがとうございます」

その声は、確かに届いていた。


夜の街を抜け、三人は国境へ向かって歩いていた。

遠くに見える外壁の向こうは、もう王国の外。

風は冷たく、空気もどこか張り詰めている。


だが――

そんな中で、一人だけ妙に浮かれている男がいた。

「いや〜、超絶タイプだったな!帰ったら口説こう!」

軽い。あまりにも軽い。


レオンは思わず額を押さえた。

「お前な……今から命懸けの場所に行くんだぞ……」


カロンは気にも留めず、ニヤニヤと笑う。

「だからだろ?助けた後の方が成功率高ぇし」


レオンは深くため息をついた

「理屈としては間違ってないのが腹立つな……」


その様子を後ろで聞いていたスタオンヌは、ほんの少しだけ困ったように微笑む。


この男は――

本当に何を考えているのか分からない。

だが、不思議と嫌な感じはしなかった。


むしろ。

どこか安心するような、そんな空気すらある。

――その軽さは、血筋なのかもしれない。


かつてカロンの父は。

母、カレンがタイプだったからと言う理由で、

カレン一人を手に入れるために彼女が率いる海賊団を壊滅させた。


強引で、無茶で、理不尽で。

だがその結果――

カレンは驚くほどあっさりと彼に惚れた。


良くも悪くも、常識が通じない男。

そして今、その息子もまた。

似たような道を歩こうとしていた。

レオンが横目でカロンを見る。

「……親子だな、本当に」


カロンは首を傾げる。

「なんか言ったか?」

「いや、何も言ってない」

レオンは視線を前に戻した。

――嫌な予感しかしない。

だが同時に。

この男なら、本当にやりかねないとも思っていた。


夜の街を抜け、三人は国境へ向かって歩いていた。

遠くに見える外壁の向こうは、もう王国の外。

風は冷たく、空気もどこか張り詰めている。

だが――

そんな中で、一人だけ妙に浮かれている男がいた。

(いや〜、あの娘……超絶タイプだったな!帰ったら口説こう!)


軽い。あまりにも軽い。

レオンは思わず額を押さえた。

「お前な……今から命懸けの場所に行くんだぞ……」


カロンは気にも留めず、ニヤニヤと笑う。

「だからだろ?助けた後の方が成功率高ぇし」


レオンは深くため息をついた。

「理屈としては間違ってないのが腹立つな……」

その様子を後ろで聞いていたスタオンヌは、ほんの少しだけ困ったように微笑む。




国境沿いの外れ――

放棄された関所の地下。

石造りの通路の奥に、魔族の拠点はあった。

粗雑な造りではあるが、内部は妙に整然としている。


見張りは配置され、武器は整えられ、無駄な騒ぎもない。


その一角、鉄格子の奥。

数人の人間が拘束されていた。

学者らしき者、役人風の男、そして――若い女性。

魔族の一人が、捕虜たちを見下ろしながら言った。

「君達は人類との交渉材料だ。大人しくすれば身の安全は約束する」


その声音は冷静で、無駄な威圧もない。

だが次の瞬間、後ろにいた別の魔族が不満げに吐き捨てた。

「隊長……!なんでこんなまどろっこしい事すんですか!もっと有効活用しましょうぜ!」

下卑た笑いが混じる。


だが、その言葉はすぐに叩き切られた。

「黙っていろ!」

低く、鋭い一喝。

空気が一瞬で凍る。

「これが魔王様の方針だ!」

隊長と呼ばれた魔族は、静かに言い放った。

その眼には、確かな意志が宿っている。

「無意味な殺しはしない。秩序を乱す行為も許さぬ」


部下の魔族は舌打ちをしながらも、口をつぐんだ。

この場には、確かに“ルール”が存在していた。

人間とは違う価値観。

だが、一定の秩序があった。


国境外れ、崩れかけた関所跡。

月明かりに照らされたその建物の前に、黒ずくめの男が一人立っていた。

微動だにせず、ただ周囲を見張っている。

――次の瞬間。


………!


乾いた音が、夜に吸い込まれる。

消音器を通した銃声。

男は声を上げる間もなくその場に崩れ落ちた。


スタオンヌが小さく息を呑む。

「確か……ここでした」

カロンは軽く頷き、振り返る。

「分かった……スタオンヌさんはここで待ってて!妹さんは俺達に任せて……!」

一瞬、柔らかい声になる。


「行くぞレオン!」

レオンは呆れたように肩をすくめた。


「カッコつけんな……」

だがその手はすでに武器を構えている。

クレイン王国正式採用のアサルトライフル――C3SG1。


無駄のない動きで安全装置を外す。

カロンもまた、懐から愛用のピストルを引き抜いた。


二人の視線が揃う。

言葉はいらない。

次の瞬間、同時に踏み込んだ。

朽ちた扉が蹴り開けられ、

暗闇の中へ――突入する。


互いの背をカバーするように、音も無く進む2人、

廊下の曲がり角…巡回する魔族を見つけ素早く始末する。


そんな中カロンがふと疑問を口にした。

「なあ…なんで魔族って銃とかは使わないんだろうな?」


レオンが深くは考えずに応じた

「さあな、文化じゃないか?」


カロンは更に疑問を深め

「じいちゃんの頃からマスケット銃くらいなら有った気がするけどな…」


「まあ、いいだろ、今回はそのお陰で戦い易い」


通路の奥――

広間へと続く扉が、ゆっくりと開く。

中は開けた空間だった。

崩れた石柱、壁に掛けられた松明。

その中央に一人の魔族が立っている。

黒い外套。


そして、腰には一振りの剣。

こちらに気付くと、静かに一歩前へ出た。

「たった二人でここまで来たか……称賛に値する」

低く、よく通る声。

ゆっくりと剣を抜く。

「しかし――魔王様から承りしこの宝剣に誓い……貴様らを始末する!」


その構えには、無駄がない。

明らかに雑兵とは格が違う。

――だが。


カロンは、ぽりぽりと頭を掻いた。

「なあレオン……やっぱりコイツら時代錯誤おかしくね?」


場違いなほど軽い声。

レオンは構えを崩さず、短く返す。

「放っとけよ」


視線は一切逸らさない。

「強いのは確かだ」

カロンはふっと笑い、銃を構える。

「ま、関係ねぇか」

魔族の目が細くなる。

「……抜かすな」

次の瞬間――

空気が弾けた。



剣が閃く。

重く、鋭い一撃。

だが――その軌道は空を切った。

カロンとレオンは、ほぼ同時に左右へと跳ぶ。

床を抉る斬撃が、石片を散らした。

レオンはすぐに体勢を立て直し、低く呟く。

「やっぱ強そうだ……どうするんだカロン?」


カロンは敵の動きを見ながら、軽く顎をしゃくる。

「取り敢えず、時間稼いどいて」

あまりにも雑な指示。


だが――

レオンは一瞬だけ目を細めると、すぐに頷いた。

「……分かった!」

その声には、妙な安心感があった。

カロンがそう言うなら何かある。

長い付き合いだ、そう信じている、


レオンは一気に距離を取り、広間の端へと走る。

敵がすぐに追う。

「逃げるだけか!臆病者!向かって来い!」

怒気を含んだ声。


だがレオンは振り返らない。

踏み込み、跳び、滑る。

壁を蹴り、柱を利用し、ひたすら回避に徹する。

剣が振るわれるたび、空気が裂ける。

床が抉れ、石が砕ける。

だが、その全てを紙一重で躱し続ける。

「……!」

一瞬の隙を見て射撃。


だが敵はそれすら剣で弾いた。

「小賢しい!」


それでもレオンは止まらない。

距離を取り、誘い、逃げる。

ただひたすらに。

――時間を稼ぐために。


時間は、確実に流れていた。

数分――いや、十数分。

レオンはひたすらに走り続けていた。

跳び、滑り、転がり、躱す。


一瞬の判断の遅れが死に繋がる状況で、

ただひたすらに回避を重ねる。


だが――

相手もまた、ただの獣ではない。

動きを読まれ始めていた。

踏み込みの癖、回避の方向、射撃のタイミング。

じわじわと、逃げ道が削られていく。

そして――

ついに。

レオンの背が、壁に触れた。


逃げ場はない。

敵がゆっくりと歩み寄る。

「逃げるだけでは限界がある」

剣を肩に担ぎ、静かに言い放つ。

「貴様は大した戦士では無かったようだな……」

レオンは息を整えながら、銃を構えた。

額には汗。

呼吸は荒い。

だが、その目はまだ死んでいない。

「……それはどうかな」

わずかに口元が上がる。

「役目は果たした」

その言葉と同時に――

視線が、ほんの一瞬だけ横へ流れた。


敵が踏み込む。

「戯言を……我が剣の錆となれ!!」

振り下ろされるはずだった一撃。

――だが、その瞬間

剣が、消えた。


敵の手には、何もない。

「……!?」

わずかな空白。


次の瞬間、広間の対角から呑気な声が響いた。

「おーい、これか?」

カロンが、ブンブンと剣を振っている。


母親譲りのスリ技――

気配ごと掠め取る、あり得ない手際。

敵の目が見開かれる。

「我が剣……返せ!」


その声には、初めて明確な動揺が混じった。

カロンは軽く重さを確かめるように剣を持ち替え、感心したように呟く。

「ふーん……そんな大事な物なんだ……」

そして――ニヤリと笑った

完全に悪い事を考えた子供のように


ガンッ!!

激しい音と共に、剣が石床へ叩きつけられる。


あえて、刀身の“面”で。

鈍い衝撃。

そして――

グニャリ。

あり得ない方向に、宝剣が曲がった。

四十五度ほど無残に


敵はショックか現状を受け入れ切れないのか数秒フリーズしていた。


しかし徐々に…


「貴様ァァァァ!!!!」

激昂した敵がカロンを目掛け突っ込んで来る


カロンは、全く動かない回避も迎撃もしようとしない。ただ一言だけ


「足下よく見て動けよ?」

その瞬間


ドゴーン


敵の足下が爆発した


「よし!陽動成功!!」

見事に近接地雷を踏み抜いた魔族、

爆煙がゆっくりと晴れていく。

焦げた匂い。

砕けた石床。

そして、その中心で――

魔族は膝をついていた。

身体は傷だらけ。

脚はまともに動かず、呼吸も荒い。

それでも、倒れない。


睨みつけるように、カロンを見上げている。

その様子を横目に、レオンがゆっくりと歩み寄る。

「まったく……室内で何してんだ」

呆れた声。

壁の一部は崩れ、床も抉れている。

カロンは軽く笑った。

「いいだろ勝ったし!部屋の隅っこに逃げてくれたからちょうどよかったよ!」


レオンはため息をつく。

「“逃げてくれた”じゃない。誘導したんだろうが」

カロンは肩をすくめる。


「結果オーライだろ?」

軽い口調のまま、ゆっくりと敵に近づく。

その足取りに、迷いはない。

そしてトドメの一発…

広間に、再び静けさが戻った。


そしてカロンとレオンは人質となっていた民間人を捜索

「さっさと終わらせてスタオンヌ持ち帰るぞ!

妹はお前にやるよ!可愛いといいな!」


「黙って探せ!」


捜索?


地下牢

2人の姿を見た民間人が不安と安堵の声を漏らす

「助けが来た…!」

「良かった…!逃げて…いいんだな…!?」


カロンが叫ぶ

「スタオンヌさんの妹さん居ますかー?」


人混みの中から声が返って来た

「はい、私ですが…、貴方方は…?」


「スタオンヌさんに頼まれて来ました、無事で良かった、お姉さん入口で待ってますよ」

(滅茶苦茶可愛いじゃん!良かったなレオン!)


(黙れ)


崩れかけた関所の入口。

夜風が吹き抜ける中、カロンとレオンは解放した人々を外へと導いた。

その先で――

スタオンヌが、息を呑む。

「リバティー……!」


駆け出す。

「姉さん……!」

二人は強く抱き合った。

ようやく触れられた温もり。

確かに生きている。


スタオンヌの肩が小さく震える。

「よかった……本当に……」

妹もまた、静かに目を閉じる。

その様子を少し離れた場所で見ていたカロンとレオン。


やがて、スタオンヌが振り返る。

「カロンさん……レオンさん……ありがとうございます……!」

リバティーナも深く頭を下げる。

「本当に……助かりました……」

真っ直ぐな礼。


カロンは軽く手を振る。

「いえいえ……」

そして、にやりと笑った。

「所でスタオンヌさん、この後食事でも――」


その瞬間。

「くたばれぇぇぇ!!!」

背後の物陰から、影が飛び出した。

短剣が閃く。

先程の牢屋の警備にいた魔族。

血走った目で、一直線に突っ込んでくる。

狙いは――スタオンヌ。

一瞬の出来事。

レオンが動くより早く。

カロンが踏み出す。

間に入る。


そして――グサッ。

鈍い音。


刃が、肉を貫いた。

「そんな……」

スタオンヌの声が震える。

「ウソ……」

リバティーナの顔が青ざめる。

レオンが叫んだ。

「カローーーン!!!!」


カロンは、スタオンヌを庇うように立ったまま。

腹に短剣を受けていた。


血が、ゆっくりと滴る。

床に落ちる音だけが、やけに大きく響いた。

だが――

カロンは、顔色一つ変えない。

「痛ってぇな……」


まるで、かすり傷でも負ったかのような声音。

敵が一歩、たじろぐ。

「な、なんだと……」

明らかに深い。

刃は確実に肉を裂き、内側にまで届いているはずだ。

普通なら立っていられるはずがない。

それでもカロンは、肩を回しながら呟く。

「ああ……ベトベトだわ……」

そう言って、無造作にシャツを掴む。

そして――


血に濡れた布を、地面に投げ捨てた。

「え……?」

スタオンヌの声が漏れる。

「……あれ、何……?」

リバティーナも、目を見開く。

「久しぶりに見るな……」

レオンだけは冷静だった


露わになったカロンの背中。


そこに刻まれていたのは――

燃え盛る炎の中、怒りそのものを象ったかのような異形の像

幾重にも重なる腕

幾つもの貌

その足元には、二人の神を踏み潰し

中心で小指を絡めた異形の印相、降三世印を結ぶ明王の姿


それは、ただの装飾ではない。

まるで意思を持つかのように、

そこに“在った”。


一瞬、空気が変わる。

敵もまた、その異様さに息を呑んだ。

カロンは、そんな視線など気にする様子もなく。

軽く首を鳴らした。

「……さて」

振り返る。

その目は――

先ほどまでとは、ほんの少しだけ違っていた。


次の瞬間。

広間に、鈍い音と、何かが砕ける気配だけが残った。


悲鳴は、長く続かなかった。

抵抗も、二度とは起きない。


ただ――

もう、立ち上がることはないと分かるだけの静けさが、そこにあった。

カロンは軽く手を払い、息を吐く。

「ま、このくらいにしてやるか」


まるで、少し手加減したと言わんばかりの口調。

そこへ、スタオンヌが駆け寄ってくる。

「カロンさん!」


その声は、明らかに震えていた。

すぐにポケットから小瓶を取り出す。

「止血材です……私を庇って……こんな……」

涙をこらえきれず、瞳が潤む。


震える手で、傷口を確認する。

深い。

どう見ても、ただでは済まない傷。

「動かないで下さい……!」

必死に薬を振りかける。

じわりと血が止まり始める。


その様子を、カロンは少し見下ろし――

(よっしゃラッキー!)

内心では、まるで別の意味で喜んでいた。

だが表情には出さない。

軽く肩をすくめる。

「大げさだな、これくらい」


その声に、スタオンヌは思わず顔を上げる。

「大げさなんかじゃありません……!」

そのまま、強く言い切った。

「あなたは……私を守ってくれたんですから……」

その言葉に、ほんの一瞬だけ。

カロンの目が細くなる。

だがすぐに、いつもの調子に戻る。

「まあ、当然だろ?」

軽く笑った。


その夜。

騒ぎを終えた一行は、街の宿へと身を移していた。

粗末ではないが、決して上等とも言えない部屋。

静まり返った空間の中で――

カロンは一人、椅子に腰掛けていた。

足が止まらない。


トントン、と規則的に鳴る音。

「……………」

無言。

だがその表情には明らかな苛立ちが浮かんでいる。

腹の傷はもうほとんど問題ない。

それよりも――

(くそ……)

頭に浮かぶのは、別のこと。

(持ち帰れなかった……)

スタオンヌ。


あの場で、そのまま――と考えていた計画が、崩れたこと。

それが、どうにも気に入らない。

カロンは舌打ちしかけて、やめた。

そのとき。

――コンコン。

小さなノックの音。

「……あ?」

扉の向こうから、控えめな声が聞こえる。

「あの……カロンさん……」


一瞬、動きが止まる。

そしてすぐに立ち上がり、扉を開けた。

「スタオンヌさん……!?こんな時間に……」

そこに立っていたのは、スタオンヌだった。

少しだけ不安そうな表情。

だが、その目には何かを決めたような色がある。

「あの……私のせいで……傷を……」


言葉を探すように、視線を落とす。

「でも……どうしても……心に引っ掛かって……」

その声はか細い。

だが、確かにここへ来る理由があった。


――僥倖。

カロンの中で、何かが弾ける。

「スタオンヌさん!」

一歩踏み出す。

そのまま、手を取った。

強く、逃がさないように。

その温もりを確かめるように


カロンの手の中に、スタオンヌの温もりがあった。

細く、柔らかい指。

だが、その震えははっきりと伝わってくる。

スタオンヌは驚いたように顔を上げる。

「カロンさん……?」


カロンは一瞬だけ目を伏せ――

すぐに、まっすぐ見つめた。

その視線は、さっきまでの軽さとは違う。

「さっきさ」

少しだけ、声が低くなる。


「刺されたとき……正直、痛かったんだよ」

スタオンヌの表情が揺れる。

「でもさ」


カロンは、わずかに笑った。

「きみが無事なら、それでいいって思った」

息を呑む音。


スタオンヌの頬が、ゆっくりと熱を帯びていく。

「……どうして、そこまで……」

小さな問い、

カロンは迷わない。


「惚れたからだろ」

あまりにも真っ直ぐで、あまりにも軽い言い方。

だが、その言葉に嘘はなかった。


スタオンヌの瞳が大きく開く。

逃げることも、逸らすこともできない。

「最初に見たときから、タイプだったし」

カロンは少しだけ肩をすくめる。


「助けてくれって言われたとき、正直ラッキーって思った」

スタオンヌの呼吸が乱れる。

「でもさ」

カロンは、ほんの少しだけ声を落とす。

「今はそれだけじゃねぇよ」

手を、少しだけ引き寄せる。

距離が近づく。

「お前、いい女だよ」


その一言に、スタオンヌの瞳が揺れた。

拒む様子はない。

むしろ――

わずかに、身を委ねている。

カロンはそのまま、ゆっくりと顔を近づける。

「……嫌なら、今言えよ」

小さく囁く。


スタオンヌは、ほんの一瞬だけ目を閉じ――

そして、静かに首を振った。

「……嫌じゃ、ないです」

その答えを聞いた瞬間。

カロンは迷わなかった。

そっと唇が重なる。


短く、だが確かなキス。

夜の静寂の中、二人だけの時間が流れる。

離れた後も、スタオンヌは目を閉じたまま。

そして、ゆっくりと目を開ける。

その瞳には――

もう迷いはなかった。


スタオンヌの身体が、そっとカロンに寄り添う。

言葉はもういらなかった。


互いの鼓動だけが、静かな部屋に重なっていく。

カロンは片腕で彼女を引き寄せる。

逃がさないように――けれど、強引すぎない距離で。


スタオンヌは、その胸に顔を埋めるようにして目を閉じた。

「……温かい……」

かすかな声。

そのまま、ゆっくりと手を伸ばす。

触れたのは――背中。

指先が、なぞる。

そこに刻まれた“何か”を確かめるように。

炎のように広がる線。

異形の姿。

踏み伏せるような力の形。


スタオンヌは、ほんの少しだけ息を呑んだ。

「……これ……」


意味は分からない。

だが――

ただの飾りではないことだけは、分かる。

そのまま、優しく撫でる。


まるで、それを受け入れるように。

拒むことなく。

カロンは、少しだけ肩を揺らす。

「……くすぐってぇって」

いつもの調子。


だが、その声はどこか柔らかかった。

スタオンヌは小さく笑う。

「ごめんなさい……でも……」

言葉を探しながら、もう一度だけ触れる。

「……とても、綺麗だと思って」


カロンは一瞬だけ黙る。

そして、ふっと笑った。

「変わってんな、お前」

だが、そのまま手を離さない。


スタオンヌもまた、離れようとはしなかった。

静かな夜。

二人の距離だけが、確かに縮まっていた。




翌朝。

柔らかな朝日が差し込む宿の一室。

レオンとそしてリバティーナがいた、扉が開いた。

そこに現れたのは――

どこか妙に距離の近い二人だった。

カロンは当然のようにスタオンヌの肩を抱き、

スタオンヌはそれに寄り添うように微笑んでいる。


レオンが固まる。


リバティーナも、一瞬言葉を失った。



カロンは軽く手を挙げる。

「と言う訳で」

そのまま、当然のように続ける。


スタオンヌが一歩前に出た。

「私もカロン様の旅に着いて行く事にします♡」

満面の笑み。

迷いは一切ない。


レオンは完全に呆然としている。

リバティーナは、ようやく我に返った。

「ちょ、ちょっと待って下さい!」

一歩踏み出す。


「姉さん!いくら恩人でも……昨日会ったばかりの人に着いていくなんて……!」

正論だった。

だが、スタオンヌは申し訳なさそうに笑いながらも、首を横に振る。

「ごめんね、リバティー……」

そして、カロンをちらりと見て――

少しだけ頬を染める。

「でも……私、この人のこと……好きになってしまったの」


リバティーナの動きが止まる。

「え……?」

スタオンヌは、言葉を重ねる。

「助けてくれたから……だけじゃないの。あの時……怖かったのに、目の前に立ってくれて……」

少しだけ視線を落とす。

「優しくて……でも強くて……」

そして、もう一度だけカロンを見る。

「……この人と一緒にいたいって、思ったの」


その言葉に、カロンはニヤッと笑う。

リバティーナは顔を赤くしながら、思わず叫ぶ。

「と、と言うか!カロン“様”って何ですか!?そんな刺青入れてる人に……!」


カロンが肩をすくめる。

「ひでぇな」


リバティーナは腕を組み、睨みつける。

「信用できるわけないでしょう!?いきなり現れて、姉さんを連れて行くなんて――」

言いかけて止まる。

視線がカロンに向く。


そして、少しだけ考える。

「……」

やがて、ため息をついた。

「……なら」

顔を上げる。

真っ直ぐに言い切った。

「私も行きます」


レオンが驚く。

「は?」


リバティーナはカロンを指差す。

「姉さんをこんな人に任せるなんて無理です。私も同行します。それが条件です」


カロンは少しだけ目を細めたあと、笑った。

「いいぜ」

あっさりだった。

「面白くなりそうだしな」

リバティーナは顔をしかめる。

「面白さで決めないでください……」


横でレオンがようやく現実に追いついたように呟く。

「……なんだこれ」

誰も答えなかった。

だが――

確実に、旅のメンバーは増えていた。さ

この刺青はカロンの信仰と守護神的な意味で考えました


メインヒロイン・スタオンヌのビジュアル投稿しました↓

新作オリキャラ スタオンヌ・ドゥラメリア | 福島ナガト #pixiv https://www.pixiv.net/artworks/145947607

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