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28/42

仕事じゃない、遊びだ!

今回は完全遊び回、この作品の醍醐味は魔王討伐じゃない全力で休暇を満喫する事です

ジーク追放から数日後

 

カロン達は久しぶりに魔物討伐も情報収集も忘れ、ただこの日の目的地だけを目指して移動していた

 

先頭を走るのはいつものバイク

カロンとスタオンヌを乗せた車体が砂煙を上げながら進む。

 

その後ろにはガーディアン90

さらにククリRPV

三台の車両は砂地を物ともせず駆け抜けていた

 

やがて、視界の先に青が見え始める

空と海の境界が溶け合うような景色


「着いたな」

 

バイクが停止、スタオンヌがゆっくりヘルメットを外し…目の前に広がる光景に思わず息を呑む

 

「綺麗……♡」

 

 

どこまでも続く碧い海


白く輝く砂浜


寄せては返す波


人影は無い


完全な貸切だった

 

 

ククリRPVからから降りた沙耶も感嘆する。

 

「絶景でござるな……」

海風が黒髪を揺らす

 


リリーナは満足そうに胸を張った。

「四十八時間貸し切ったからやりたい放題ね!」


「流石リリーナ!」

 

「余裕よ♡」


 

ルーナ達三人もガーディアンの後部座席から降りる

 

ルーナは目を輝かせる。

「うわぁ……♡こんな素敵な場所……初めて」

 

エルナも珍しく表情が柔らかい。

「連れて来て頂き感謝します……カロン殿……♡」

 

ミラも海を眺めながら微笑む。

「夢みたいですわ……♡」

 

そんな三人へカロンは軽く笑った。

 

「お前達とは明後日から別行動だからな、今日は楽しんでけよ」

 

ルーナ達は顔を見合わせ一斉に笑顔になる。


「嬉しいですわ♡ご主人様♡」」

 

カロンの腕に抱き付く。


「その呼び方定着させる気か?」

 

 

ルーナもエルナも思わず吹き出した。

「アハハハ!」

「諦めた方が良いかもしれませんな」

 

 

その様子を見ていたスタオンヌが優しく微笑む。

 

「ふふっ♡今日は何も考えず楽しみましょう♡」

 

その言葉に全員が頷いた

こうして始まる、夏の思い出づくり

 

魔王も

魔族も

面倒事も

今だけは忘れる。

 

今日から二日間

ここはカロン達だけの楽園だった


遅れてガーディアン90から降りたのはレオンとリバティーナだった。

他の面々が海に歓声を上げる中、二人だけは少し後ろを歩いている。

潮風が吹き、リバティーナの長い髪を揺らした。

レオンはそんな彼女を見ながら穏やかに笑う。

「リバティーも、今日は仕事の事は忘れて楽しめよ」


「……」


「皆の思い出になるといいな」


リバティーナは少しだけ目を見開いた

そして、ふわりと微笑む

いつもの弁護士としての表情ではない。

年相応の少女らしい笑顔だった。

「レオンさん……♡」

「ん?」

レオンが首を傾げる


リバティーナは周囲を確認する

カロン達は荷物を降ろし始めている

誰もこちらを見ていない、それを確認すると…


そっとレオンへ近付いた

「リバティー?」

レオンが不思議そうな顔をする

その耳元へ…リバティーナは顔を寄せる


そして甘く囁いた


「この前選んで頂いた水着……」

「……」

「楽しみにしていて下さいね……♡」

一瞬、時間が止まった


レオンの脳裏に蘇る

あの日の水着売り場

真っ赤になりながら選んだ純白のビキニ

リバティーナの「はい♡」

そして今…


本人からの追撃。

レオンの顔が一気に赤くなる。

「!!!!!!」

言葉が出ない

耳まで真っ赤だった


リバティーナは思わず吹き出しそうになる

普段冷静なレオンがここまで動揺するのは珍しい


「ふふっ♡レオンさん……分かりやすいですね♡」


「い、いや……!その……!」


完全に慌てている

リバティーナはそんな姿を見て嬉しそうに微笑んだ


「安心して下さい…レオンさんが選んでくれたから……着るんです♡」


レオンはとうとう視線を逸らした、もう限界だった


遠くからそれを見ていたエマが小声で呟く

「ロンくん」

「ん?」

「レオリバ、かなり進んでるよね?」

カロンは振り返る


超赤面しているレオンと楽しそうなリバティーナ


状況を察した

「……あいつら砂浜より熱くね?」


スタオンヌはクスリと笑う

「ふふっ♡お似合いですね♡」


海風が吹き抜ける

カロン達の賑やかな夏休みは、まだ始まったばかりだった


海へ到着して十分後、

カロン達は早速キャンプ設営に取り掛かっていた

海水浴もBBQも勿論楽しい

だがその前に拠点作りである


それもまたキャンプの醍醐味だった。

ククリRPVの荷台から次々と物資が降ろされていく


クーラーボックス

折り畳みテーブル

キャンプ用品

食材

謎の大型ケース


明らかに二泊三日とは思えない量だった。

カロンは腕まくりをしながら叫ぶ

「よし!やるぞ!」


「「「おー!!」」」

全員が動き出した

キャンプ地の中央には巨大なタープが組み上がっていく

強い日差しを遮る巨大な日陰


さらにその周囲にビーチ用テントを三張り

チェアーも並べられ、テーブルも設置される

わずか数十分で

そこには即席とは思えないリゾート拠点が完成しつつあった


ルーナは思わず感心する。

「すげぇ……」


ミラも辺りを見回した

「もはや別荘ですわね……」


エルナも頷く

「冒険者のキャンプではないな……」

その時だった

「おい…カロン」

レオンの声色がおかしい

「なんだよこれ」


全員が振り返る

そこには横倒しになった巨大な金属製のタンクのような物が…


黒塗り

車輪付き

煙突付き


明らかに異様な存在感を放っていた

カロンは満足そうに頷く

「ああ、オフセットスモーカーだ」


「オフセットスモーカー?」

一同が聞き慣れない名前に困惑する


「やっぱBBQには必須だよな!これで燻すと最高なんだよ」


「本場過ぎるだろ!!」

即座にツッコミが飛ぶ、そう言いながらレオンはタンクを見上げた


どう見ても家庭用ではない、と言うかガーディアンにもククリにも詰めるサイズてすら無い


「てかこんなデカいのどっから持って来たんだよ……?」 


その瞬間、どこからともなく声が響く

『アタシだよ〜レオンくん♡』


全員が空を見上げた

雲一つ無い青空

しかし声だけ聞こえる


「またかよ……」

声の主は誰か。

説明する必要もない


作者権限保有者、コンビニ感覚で次元を超え

酔った勢いで世界を修正する女

大賢者を名乗る世界のバグ、メグだった。


メグの呑気な声が続く。

『ついでに炭も肉も酒も増やしといたよ〜♡』


カロンが空へ叫ぶ

「メグ姉ありがとー!!」


リバティーナも額を押さえる

「概念操作をこんな風に使って良いんでしょうか…」


エマは苦笑した

「まあ、メグ様ですからね」


スタオンヌは妙に納得していた。

「確かに♡そうですね」


沙耶も遠い目をする。

「もはや神仏の類でござるな……」


そしてレオンは巨大なスモーカー

大量の物資、空から聞こえるメグの声

全てを見渡し心の底から呟いた

「メグ様……恐ろしい人だ……」


その頃

遥か彼方のクレイン王国城

メグは酒を片手に笑っていた

「キャンプだからね、遊びなんだから本気出さなきゃね♡」

誰も止める者はいなかった。


設営完了、貸切の浜辺はいつの間にか完全に

カロン達だけの秘密基地へと変貌していた

巨大なタープが作る日陰

並んだビーチチェアー

三張りのテント


ガーディアン90とククリRPVが背後に停められ、

タープ横には巨大なオフセットスモーカーが鎮座している

潮風が吹き抜ける度に、どこか子供心の中にある冒険心を刺激する光景だった


「よし!炭起こしは任せて!」

真っ先に名乗りを上げたのはルーナだった

火属性魔法使い

当然ながら火の扱いに関してはプロである

ルーナは炭を組み上げると、指先に小さな炎を灯した。

「フッ」

軽く息を吹く。

すると炎は生き物のように炭の隙間へ潜り込み、じわじわと火力を広げていく


「すげぇ!一瞬だ!」

カロンが感心する


ルーナは得意げに胸を張った。

「これくらい朝飯前だって!」

やがて炭は美しい熾火へと変わり、BBQの準備が整っていく


その隣ではエルナが黙々と作業していた

箱の中には

ビール

スイカ

ジュース

その他大量

エルナは手をかざす

「……凍れ」


冷気が溢れ絶妙な温度に

ビールはキンキン。

スイカは食べ頃。

職人技だった


リリーナが一本取り出す。

「冷たっ♡」


エルナは少しだけ誇らしそうだった。

「飲み物を冷やす程度なら余裕だ」


一方

ミラはビーチの周囲を歩いていた

手には小瓶

そこから白い霧が広がる

「人体には無害ですので安心して下さいませ♡」


虫除けだった

薬学知識と毒魔法を応用したミラ特製

蚊もアブも謎の羽虫も

近寄った瞬間に逃げ出していく


スタオンヌが感心する。

「流石ですね♡」


ミラは嬉しそうに微笑んだ。

「お褒め頂き光栄ですわ♡」

その様子を見ていたカロンは思わず笑う


数日前まで三人は怯えていた

だが今は違う

ルーナは楽しそうに炭を弄り

エルナは皆の為に飲み物を冷やし

ミラは張り切って虫除けを撒いている


ちゃんと仲間になっていた


そんな空気を感じながらカロンは設営の終わった秘密基地を見渡す


海。

砂浜。

仲間達。

巨大なオフセットスモーカー。

「最高じゃねぇか……」

思わず本音が漏れた、準備は整った


炭は熾火となり、飲み物はキンキンに冷え、

秘密基地も完成した


残るは一つ、水着である

「ご主人様♡着替えて参りましたわ♡」


最初に現れたのはミラだった

普段のベールに紫を基調とした大人びたビキニ

上品さと色気を両立したようなデザインだ

本人も見せる気満々である


続いて現れたのは沙耶。

「うぅ……小っ恥ずかしいでござる……」

普段とは正反対

露出そのものには慣れていないらしく、終始そわそわしていた


ルーナも元気よく飛び出してくる

「海だぁーー!!」

健康的なスポーティタイプの水着

いかにもルーナらしい


エルナは逆に大人っぽい雰囲気を醸し出している。


カロンは満足そうに頷く

「最高かよ」


すると少し遅れて二人が現れる

「カロン様♡」

ふわりと姿を見せたスタオンヌ


その瞬間、ルーナ、エルナ、ミラに沙耶とエマの視線が吸い寄せられる

そして

「……」

「……」

「……」

言葉を失った


さらにその後ろからリリーナも登場する

「どうよ?」

自信満々にポーズを決める

2人を見た、全員の感想は一致した。

(いや…デッッッッッ……カ!!)


だが全員同じ事を考えていた。

カロンも素直に頷く。

「似合ってる」


その一言でスタオンヌは嬉しそうに微笑み、リリーナは勝ち誇ったように胸を張る。

「当然ね♡」


そんな中、カロンが思い出したように手を叩いた。

「あ、そうだ、実は今日はもう一人ゲスト呼んだんだよな」

全員が振り返る

その瞬間、聞き覚えのある声が響いた


「やあ皆さん!」


砂浜の入口に立っていたのは、白銀歌劇団・世界的トップスター、男装麗人テラ・アドミーヤだった


エマが真っ先に反応する

「テラさん!?」 


「御招き頂きありがとう」

テラは爽やかに微笑んだ

「友と夏の思い出を作れるなんて最高の休暇になりそうだよ」


ルーナ達は完全に固まっている。

舞台の上の人物が、普通に砂浜を歩いて来たのだから無理もない


やがてルーナがおずおずと口を開く

「あの……テラさん……」

エルナも続く

「以前はご迷惑を……」

ミラも頭を下げた

「申し訳ありませんわ……」


テラは優しく微笑み、三人へ歩み寄る

「大丈夫だよ……」

そして少し身を屈める。

「お陰でこんなにも素晴らしい出会いが出来たんだから……」

超イケボだった


ルーナの顔が真っ赤になる。

エルナも思わず視線を逸らした。

ミラに至っては胸を押さえている。

(かっこよ……)

(三枚目のジークばかり見てたから余計に……)

(危険ですわ……)

完全に卒倒寸前だった


そんなテラを見ていたカロンが笑う。

「相変わらずモテるな」


テラが振り返った

その瞬間だけ…世界的トップスターの顔が消える

「カロン様……♡」

声も少し柔らかくなった。

「あまり見つめないで下さい……♡今日は私……ちゃんとテラとして来ているんですから……♡」


その表情に全員が一瞬固まった

「…………?」


全員が出揃った、皆開放感でテンションが高まる

「殿!早速参るでこざる!」

「ご主人様♡あちらに…♡」

沙耶とミラが特に燥いでいる


しかし、ここはある意味青春の戦場だった


セレブな水着にサングラス姿、自慢のプロポーションでカロンに抱き着くリリーナ、

「ほら♡カロンくん♡ん〜♡」

我先にと真夏の太陽の下、カロンと唇を重ねる…

いつに無く積極的だった。


「あー!リリーナさん!抜け駆けはズルいって!」

「我々だって…!」

ルーナとエルナも意地になるように駆け寄る


リリーナは普段に増して強きで勝ち誇るように

「ふん!悔しかったら奪ってみなさい!」


「楽しい思い出になりそうですね♡」

そんな光景を見て正妻の余裕か、スタオンヌは微笑んだ


カロン達は歓声を上げながら波打ち際へ駆けて行った。

「じゃあ!俺らはあっち行くわ!」

「「「はーい!」」」

スタオンヌ

沙耶

リリーナ

ルーナ

エルナ

ミラ

そしてテラ

美女達を引き連れたカロンはそのまま海へ向かう。

一気に賑やかになる砂浜

 

その一方で。

 

キャンプ地には三人だけが残っていた。

 

エマ

レオン

リバティーナ

 

エマは炭の様子を確認しながら笑う。

「私が火見てるから、レオくんとリバティーナさんも行ってきたら?」

 


「いや、悪いし…後でも」

 


「いいから行ってこい」

エマなりの幼馴染に対する後押しだろうが…

笑顔の中にとんでもない圧があった。

 

「せっかくの休暇ですよ?」

 

そう言ってニヤニヤしている。

 

レオンは少し困ったように頭を掻いた。

そして自然と隣を見る

 

リバティーナも少し緊張していた

 

二人きり

 

改めてそうなると妙に意識してしまう

 

海風が吹き、波の音だけが聞こえる

 

やがてリバティーナが小さく口を開いた。

「レオンさん……」

 

「ん?」

 

リバティーナは少し照れながら微笑む

そして羽織っていたパーカーへ手を掛けた。

ゆっくりと脱ぐ

 

「……ふふ♡」

 

少しだけいたずらっぽい笑顔。

 

「どうですか……?」

 


「……」

 

言葉が出ない。

 

以前水着売り場で勇気を振り絞って選んだ

あの純白のビキニが今、目の前にある

 

海風に揺れる長い髪。

 

照れながらも嬉しそうな笑顔

 

そして

 

「レオンさん……?」

 

感想を待つ瞳

 

レオンは思わず喉を鳴らした。

 

「……似合ってる」

 

ようやく出た言葉だった

 

リバティーナの頬が赤くなる。

 

「本当ですか……♡」

 

「すごく」

 

レオンは照れ臭そうに視線を逸らした。

 

リバティーナは嬉しそうに微笑む。

 

遠くでは。

 

「カロン様ーー!!」

 

「殿ーー!!」

 

「ご主人様ーー♡」

 

相変わらず騒がしい声が響いていた。

だが二人にとってはそんな喧騒さえ心地良く感じられる

 

穏やかな夏の時間だった。


エマの気遣いに背中を押されるように、レオンは小さく息を吐いた。


遠くではカロン達の楽しそうな声が聞こえる


夏の日差しの中、二人だけの時間だった


レオンは少しだけ周囲を見回し、人目の少ない木陰へリバティーナの手を引く。


「レオンさん……?」


リバティーナは驚きながらもその手を振り払う事はしなかった。

むしろ少しだけ嬉しそうに


木陰へ入ると、海からの風が心地良く吹き抜け。

遠くではカロンやスタオンヌ達の笑い声が聞こえる…だがここだけは静かだった。


レオンは拳を握る

(勇気出せ……俺……!)


軍人として戦場へ向かう時より緊張していた。

リバティーナが不安そうに見上げる


「レオンさん……」


レオンは真っ直ぐ彼女を見た

少し赤くなった頬

自分だけに向けられる優しい瞳


気付けば迷いは消えていた。


「リバティー……」


そっと肩を抱く 

リバティーナは驚いたように目を見開いた


だが逃げない

ゆっくりと瞳を閉じる


そして

二人の距離が重なった。


「んっ……♡」


柔らかな感触、今思えば付き合ったあの日、

星見温泉郷以来だった。


短い時間

だが互いの想いを確かめるには十分だった。


唇が離れると…リバティーナの顔は真っ赤だった


レオンも同じだった

しばらく言葉が出ないがろ…

やがてレオンは覚悟を決めたように口を開く。


「もう迷わない」


リバティーナが見上げる

レオンは真っ直ぐに言った


「この旅…君は俺が守る」


風が吹く

遠くから聞こえる仲間達の笑い声


その中でレオンは初めて迷いなく言った


「好きだ、リバティー」


リバティーナの瞳に涙が浮かぶ。

嬉し涙だった


「私もです……♡」


そう答える声は震えていた。


「レオンさん……♡私しか…見ないで…♡」


そして今度はリバティーナの方からそっと抱きついた。


夏の海


青い空


二人だけの小さな約束が、静かに結ばれた



辺りがゆっくりと夕暮れに染まり始めていた。

昼間は眩しいほどだった海も、今は橙色の光を反射して穏やかに揺れている。


カロン達はランタンに火を灯し、タープの支柱へ次々と吊るしていく。


ぽつりぽつりと暖かな光が増える度に、秘密基地はまるで小さな村のようになっていった。


「いい感じになって来たな」


カロンが満足そうに頷く。


その頃には食欲を刺激する香りが辺り一面に漂っていた。


BBQコンロでは肉と海鮮が次々と焼かれている


分厚い牛肉


殻付きホタテ


大ぶりの海老


焼けた脂が炭へ落ちる度に音を立てた


さらに隣では特製ソースを絡めた焼きそばが鉄板の上を踊っている。


香ばしい匂い

ソースの甘い香り


誰もが腹を鳴らしそうだった。


そして巨大なオフセットスモーカー


朝からずっと煙を吐き続けていたカロンのこだわりである。


カロンが蓋を開く。


モワッ……


芳醇な燻製の香りが一気に解放された。


「うわぁ♡」

真っ先に声を上げたのはルーナだった。


中には


こんがりと色付いたベーコン


肉汁を閉じ込めたソーセージ


巨大なリブロース


串に刺さったピッカーニャ


低温で長時間かけて火を入れたブリスケット


フォークを当てただけで崩れそうな柔らかさだった。


リリーナが思わず唾を飲み込む。

「なにこれ……♡」


スタオンヌも目を輝かせていた。

「凄い香りです……♡」


ミラは完全に理性を失いかけている。

「ご主人様……今なら私、なんでも言う事聞きますわ……♡」


「食い物で魂売るな?」


即座に突っ込まれた


カロンはナイフを入れる。


スッ。


それだけだった、力など必要無い

ブリスケットはまるでバターのように刃を受け入れ、断面から肉汁が溢れた


レオンが呟く

「柔らか過ぎるだろ……」


エルナも珍しく目を丸くしている

「こんな肉は初めて見た……」


テラですら驚いていた

「こんな…王宮の晩餐会でも見た事がないな……」


そして待望の実食


「いただきまーす!!」


全員が一斉に飛び付いた。


ルーナがブリスケットを頬張る。


「んん!!!」

叫んだ

「なにこれ!!肉が溶けた!!」


エルナもベーコンを口に入れる。

「っ……!」


数秒固まり、そして

「旨い」


短い。だが本気だった


ミラはソーセージを食べている。

「パリッ」


という音の直後、肉汁が溢れる

「幸せですわぁ♡」


リリーナは焼きそばを一口

「ちょっと待って!焼きそばも反則なんだけど!?」


スタオンヌも頬を押さえる。

「カロン様♡毎日これ食べたいです♡」


「結婚したら毎日食おうな♡」


その頃

レオンとリバティーナも同じ皿を分け合っていた

リバティーナがブリスケットを食べる

「……♡」

無言、ただ頬が緩む。


レオンも思わず笑った。

「美味いな」


「はい……♡」


昼間とは違う穏やかな時間だった


海風とランタンの灯り

仲間達の笑い声

そして最高の料理


カロンはビールを一口飲みながら仲間達を眺める

誰もが笑っている


それだけで十分だった


「最高の休日だな」


その言葉に全員が大きく頷いた


その後もカロン達の夜は終わらなかった

昼とは違う静かな海

月明かりに照らされた白い砂浜

誰かが始めた花火はいつの間にか全員参加になり


ルーナは子供のように走り回り


エルナは呆れながらも付き合い


ミラは線香花火を眺めて微笑み


リリーナは高そうなワインを持ち出し


沙耶は何故か本気で花火勝負を始め


スタオンヌはそんな皆を優しく見守っている


テラもまた、世界的トップスターではなく

一人の仲間として笑っていた。


そして気付けば夜も更ける

波の音だけが静かに響いていた。


それぞれが好きな場所に

テントへ戻り

車内へ潜り込み

タープの下で眠り始める

賑やかだった秘密基地もようやく静寂に包まれた


カロンは椅子へ腰掛けながら夜の海を眺める。

「皆寝たな」


その隣、静かに腰掛けていた人物が微笑んだ。

「そうですね……」

テラだった

昼間の王子様のような声ではない柔らかな、

女性らしい声

「今日は楽しかったです……カロン様♡」

月明かりが髪を照らす。

普段なら誰にも見せない表情だった


テラは少しだけ海を見つめる

そして小さく笑った

「カロン様といると……」

声が優しくなる


「私は役者ではなく…本当のテラに戻れます……♡」


その言葉にカロンも穏やかに笑った

「そっちの方が自然だと思うけどな」


テラは少し照れる

世界中の観客を魅了するトップスター

それでも今だけは一人の女性だった


二人は静かに寄り添う 


夜の海と満天の星空

波の音

誰も知らない時間

カロンはそっとテラの肩を抱いた

テラも身を預ける、そのまま…

「テラ…」 「ん…♡カロン様…♡」


月だけがその光景を見ていた

ファンも観客も新聞も誰も知らない

世界的トップスターと自由を愛する男の

小さな秘密だった


海風が静かに吹き抜ける。

そして夜は、ゆっくりと更けていった。


ルーナ達もテラもみんなヒロインです。

後半に向けて最高の思い出を作りたい


今回は全員の水着作りました。是非とも!

↓↓↓

水着回用 ヒロイン全員まとめ | 福島ナガト #pixiv https://www.pixiv.net/artworks/147466026

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