ガチで怒らせるとこうなる
前回の冒頭で言っていた、カロンが怒るとこうなる
薄暗い拠点の奥…
静まり返った空間に報告の声だけが響く
「……グラン様」
側近が膝をつく
「ヴァル司令官が……討死なされたとの報告が……」
一瞬の沈黙、その中で空気が張り詰める
だが――
グラン・ネフェルは、微動だにしなかった。
ゆっくりと視線を上げる。
「……そうか」
短い言葉、怒りも動揺もない
ただ事実を受け止める声
「人間側も……面白いのが混じっているな」
わずかに口元が緩む
「カロン・クレイン……か」
その名を、静かに噛み締める。
「……クレイン」
少しだけ目を細める
「ノーザン・クレインの血筋か……」
側近が頷く
「はい……奴はノーザン・クレインの孫だそうです……」
その言葉にほんの僅かに空気が変わる
グランは静かに立ち上がる
「……因縁、か」
ぽつりと、だが重い
「これは……避けられぬものだな」
ゆっくりと歩き出す
その一歩一歩に、迷いは無い
「ならば――受け入れよう」
視線は遠くまだ見ぬ相手へ
「カロン・クレイン」
静かにだが確かに呼びかける
「貴様がどれ程の者か……この身で確かめよう」
声に、わずかな熱が宿る。
だが――荒くはない。
あくまで、武人としての昂り、54年前の決戦の雪辱
「父の遺志、……魔族の復権」
その両方を背負いながらも、言葉は濁らない
目を閉じて誓う…
「その先にあるものを……戦いの中で示すとしよう」
そして、ゆっくりと目を開く
「……その時を、待っている」
静かに、だが確実に最後の一言。
「カロン・クレイン、いずれ相見えよう」
――そこには。
ただの“魔王の息子”ではなく。
一人の武人としての、確かな覚悟があった。
場面は変わり――
白熱のレース。
実況の声が響き渡る。
「さあ鞭が入った!ジャスティン先頭!ジャスティン先頭!!しかし内からはエピファニーデサイル!!ベリーベリートサキの夢はどうなんだ!?しかし!!」
観客がどよめく。
「5番のエピファニーデサイル!!ジャスティンリンク!!なんとなんと!!」
全員が前のめりになる。
「勝ったのはエピファニーデサイル!!!!
56歳ミスターノリヒロ!!これがベテランの意地!ベテランの強さ!!」
歓声。
悲鳴。
絶叫。
その中で――
レオンが頭を抱える。
「おい!?ウソだろ!?トサキぃぃぃぃ!!!!」
崩れ落ちそうな勢い。
エマも目を見開く。
「9番人気が……!?」
完全に読み外し。
スタオンヌは胸に手を当てている。
「……あの時の判断は、間違って無かったんですね……」
妙に感動している。
沙耶も真剣な顔で頷く。
「見事な先行押し切り……素晴らしい走りでござる」
完全に観戦者
そして――
カロンは。
拳を突き上げていた。
「ノーリヒロ!!ノーリヒロ!!」
テンション最高潮。
周囲のノリに完全に乗っている。
誰よりも楽しんでいる。
その横で。
リバティーナだけが、冷静だった。
腕を組み、ため息をつく。
「……いや、旅は?」
ぽつりと。
現実的な一言。
だが――誰も聞いていない。
「また外した〜………」
「読みは悪くなかったのに……」
「俺は当たったぞ、ノリさん!ありがとーう!!」
「流石ベテラン……♡」
「勝負の世界は奥が深いでござるな……」
「……」
沈黙。
(……やる気ゼロですね……)
一人だけ、現実に立っていた。
――世界の危機。
それは確かに存在する。
だがこの一行にとっては――
今はまだ、遠い話だった。
競馬場を後にし――
夕方の通りを歩く一行。
まだ熱気の余韻が残っていた。
カロンが両手を頭の後ろに組みながら笑う。
「いや〜、やっぱノリさんすげぇな、まだまだ若造にも息子2人にも負けないって心意気がビンビンだわ」
本気で感心している顔。
スタオンヌも小さく頷く
「“馬は大事にすれば必ず応えてくれる”ですか……やっぱりベテランならではの言葉でしたね」
どこかしみじみとその言葉を噛み締めている
カロンはふっと笑う。
「“相棒”と誓ったモンがあるんだよ」
さらっと言う。
だが――
誰も深くは突っ込まない。
レオンは一人、ぶつぶつと呟いていた。
「次は絶対勝つ……競馬は絶対譲らない……」
完全に妙な闘志に火がついている
リバティーナが横目で見る
「レオンさん……不器用ですよね……」
ため息混じりだがどこか、柔らかい声
レオンはむっとする。
「競馬は本気でな……勝負事は譲らないさ」
珍しく少しだけ意地になっていた
リバティーナはくすっと笑う。
「そういうところです」
そのやり取りを見て、カロンが笑う。
「いいじゃん、熱くなれるのは才能だぞ」
無責任だが、妙に的を射ている
スタオンヌも微笑んだ。
「楽しめるのが一番ですからね♡」
沙耶はその様子を少し後ろから見ていた。
「……」
(昨日までと……同じようで……)
ほんの少しだけ違って見える
(……違うでござるな)
小さく、心の中で呟く。
その変化を、自分だけが知っている。
宿屋。
夜も更け始めた時間、カロンが軽く手を振る
「じゃ部屋は四部屋、俺、スタオンヌ、沙耶は同室な」
いつも通りの軽さ。
沙耶は一歩前に出て、すっと頭を下げる。
「はい……殿♡」
もう迷いはない。
スタオンヌも柔らかく微笑む。
「皆さん、おやすみなさい♡」
三人はそのまま、迷いなく階段を上がっていく
――エントランスに残された三人
レオン、リバティーナ、エマ
エマは軽く伸びをする
「じゃあ私も、管理簿つけたら寝ますね」
帳簿を持って奥へ足音が遠ざかる
その背中を見送り――
レオンが小さく息を吸う。
「……あの…リバティーナ」
声が少し硬い
リバティーナが振り向く
「どうしました?」
レオンは視線を逸らしながら言葉を探す。
「もしよかったら……この後……」
言い切れない
一歩踏み出す勇気
だが――その瞬間
エマの声が、鋭く響いた
「ヤバい!伏せて!!」
反射的にレオンが即座にリバティーナの肩を引く
「下がれ!!」
――次の瞬間
ドォォォォンッ!!
凄まじい爆音。
宿の外壁が吹き飛び、破片が飛び散る
衝撃波が室内を駆け抜ける
一瞬で、空気が戦場の物に変わる。
「っ……!!」
レオンが顔を上げる
「みんな無事か……?」
リバティーナが咳き込みながら答える。
「はい……なんとか……」
エマもすぐに立ち上がる。
「大丈夫、直撃じゃない」
外からは不気味な気配、魔力の圧を感じた
レオンはすぐにリバティーナの前へ
「リバティーナ、窓から離れるんだ」
同時に腰の拳銃を抜く
エマも即座にリボルバーを構え吹き飛んだ壁の向こうへ狙いを定めた
数発、2人の銃声が響く
夜の闇に向かって放たれた弾丸は、しかし確かな手応えを返さなかった。
エマは目を細める。
「……逃げられたね」
「ひとまず全員無事で良かった…か」
その直後階段の上から、不満げな声が響いた。
「ねえ!ちょっと!うるさいんだけど!!」
カロンだった
しかも、まともに服を着ていない。
レオンが振り返り怒鳴る
「お前は危機感持て!あと服着ろ!敵襲だ!」
「マジで?」
カロンは面倒くさそうに頭をかく。
その後ろから、スタオンヌと沙耶も現れる。
スタオンヌはすぐに瓦礫の近くへ膝をつき、破片を確認した。
「……火薬や硝煙の痕跡がありませんね。明らかに魔法による爆発です」
リバティーナも表情を引き締める。
「……奇妙ですね。今までの魔族とは違います」
彼女は壊れた壁の向こうを見つめる。
「私達を人質に取った魔族も、以前の魚のような魔族も……こんな奇襲攻撃のようなことはしなかったはずです」
カロンはようやく真面目な顔になる
「最近の魔族は、変に人道的で気持ち悪かったからな……」
夜風が壊れた壁から吹き込む。
翌朝。
まだ人の少ない街道。
昨夜、不審な影が逃げた方角へ――
カロン達の車両が走っていた
エンジン音が、静かな空気を切り裂く。
ガーディアンの車内
リバティーナが前方を見ながら口を開く。
「カロンさん……ようやくやる気になった感じですね」
昨夜の一件の後、普通ならここで本格的に動く。
だがカロンはやはり違った
「……」
カロンは無言バイクのハンドルを握る手に、
わずかに力が入っている。
明らかに機嫌が悪い
スタオンヌが後ろで様子を伺う
「カロン……様?」
少しだけ心配そうな声
カロンは答えない
ただ、アクセルを握り込み、車速が上がる
その様子を見て――
レオンが小さくため息をつく。
「違うよ」
ぼそりと。
リバティーナが視線を向ける。
「……え?」
レオンは呆れたように言う。
「あいつ、昨日いい所で邪魔入ったからイライラしてるだけだ」
一切の冗談なし。
一瞬の沈黙。
リバティーナが、ゆっくりと顔を伏せる。
「………」
そしてぽつり
「……最低ですね」
呆れ
先日言った事に今まさになっている、カロンの機嫌を損ねるとこうなる
スタオンヌは苦笑する。
「ふふ……まあ、カロン様らしいですね♡」
カロンはようやく口を開く。
「邪魔されたのが一番ムカつくんだよ、
やるならやるで最後までやらせろって話だろ」
ズレている
だが――妙に筋は通っている
レオンが肩をすくめる
「まあ……そのおかげで動く気になったならいいか」
結果オーライだが
リバティーナはまだ納得していない顔。
「普通は危機感で動くもの…なんですけどね……」
それは誰も否定しない。
――やがて…
前方に、森が見えてくる。
昨夜の“何か”が消えた方向
空気がわずかに変わる
カロンが、口の端を上げる。
「……いたらいいな」
楽しむような声
ガーディアンはそのまま走り続ける
車内にしばしの沈黙
レオンは窓の外を見ながら、小さく息を吐いた。
(……ま、俺もあんまり人の事言えないけどな……)
昨夜のことが、頭をよぎる
実はレオンを静かに、感じていた
ほんの少しだけ――苛立ちそして悔しさ
だが。
それを口に出すことはない。
その時。
「レオンさん……」
不意に、隣から声が聞こえる
「え!?」
思わず変な声が出る。
リバティーナがこちらを見ていた
ほんの少しだけ――
いたずらっぽく微笑んでいる
「帰ったら……昨日言いかけた事、教えて下さいね」
軽い口調だが逃げ道はない
一瞬で、頭が真っ白になる
「!!?」
レオンは硬直
さっきまでの空気が一瞬で吹き飛ぶ
(終わった……)
そんな顔
リバティーナは満足そうに前を向いた。
――別の意味で。
レオンにも“戦い”が始まっていた。
街外れ。
木々に囲まれた一角
その奥に古びた洋館が佇んでいた
壁はひび割れ、窓は割れ、明らかに人の手入れが入っていない
「……ここか?」
カロンがバイクを降りながら呟く
エマも周囲を見回し、静かに頷く
「うん、方角的にもこの辺に隠れ家になりそうなのはここしかないね」
わずかに重い空気の中、カロンは肩を鳴らす。
「よっしゃ」
一歩踏み出すし、口元に笑み、目は怒りと今から始まる一方的な暴力の興が宿る
「血祭りに上げてくれるわ!」
完全にスイッチ入ってる。
そのまま――ドアを蹴破る勢いで突入
「殿!お待ちくだされ!」
沙耶が慌てて追いかける
その背中はもう“侍”ではなく――
完全に“カロンの側に立つ者”だった。
――少し遅れて
リバティーナがぽつりと呟く。
「……なんか怖い事言ってましたね」
冷静だが、ちょっと引いてる。
レオンはため息をつきながら銃を確認する。
「まあ、気分で動くって辺りはいつも通りだ」
軽く言う
「俺達も行くか」
その時。
エマがニヤリと笑いレオンを呼び止めた
「レオくん…良い物買ってきたよ」
差し出されたのは――
重厚な黒の武器
クレイン王国軍正式採用ライトマシンガン。
レオンの手が止まる
「……おい」
一瞬の沈黙
だがその目は、もう答えを出している
エマが肩をすくめる。
「近接もいいけど、制圧力も必要でしょ?」
レオンはゆっくりとそれを受け取り、重みを確かめるようにグリップを握る
「……いいな」
低く。
短く。
そして。
「やるか」
レオンも完全にスイッチが入った
リバティーナが小さく息を吐く
「……もう一人、危ない人が増えましたね」
だが誰も止める気はない
――その瞬間
洋館の奥から銃声と破壊音
カロンがもう暴れている
レオンは口の端を上げ…
「乗り遅れるなよ」
そう言って重火器を携え、洋館へと踏み込んだ
戦いは、もう始まっていた。
古びた洋館の内部。
薄暗い廊下に――
轟音だけが響き渡っていた
「何事だ――」
魔族が振り向く。
だが、次の瞬間。
ダダダダダダダッ!!
暴風のような銃声。
「ギャァァァァ!!」
血飛沫が舞い壁ごと吹き飛ぶ魔族
突入から――完全に一方的だった
先頭を走るカロンはマシンピストルを乱暴に撃ち散らしている。
躊躇が無い狙うというより、“面”で制圧している
その後ろ
レオンのライトマシンガンが火を噴く
ドガガガガガガガッ!!
重低音
廊下そのものが揺れる。
魔族達の粗末な盾や防具など――
気休めにもならない。
弾丸は鎧ごと肉体を引き裂き、壁ごと貫通していく
たった二人
それも携行火器のみ。
だがその火力は、もはや小隊規模の制圧力だった
カロンは終始無言
「………」
ただ、イライラしたまま引き金を引き続ける。
その姿は、人間というより災害に近い
ドゥラメリア姉妹は完全に呆気に取られていた。
リバティーナが思わず呟く。
「……あの二人だけで、何処の軍隊よりも強いんじゃないですか……?」
率直な感想だ
スタオンヌは苦笑しながら答える。
「“クレイン王国の技術力は100年先を行く”なんて言われるからね…」
さらっと言う。
だが実際、その通りだった
沙耶も静かに周囲を見る。
「……これが……殿達の戦い……」
日ノ本とは違う。
剣でも、武でもない
“工業”による暴力
だが――
それを使いこなしているのは、紛れもなく人間だった
その時。
奥の扉をカロンが蹴破った、
「この先だな」
短く言う。
洋館の奥。
狭い通路へ雪崩れ込んでくる魔族達
だが――
沙耶の姿が、一瞬で消える
「……っ!」
次の瞬間には神速の三段突きが刺さる
鋭い踏み込みと共に放たれた連撃が、魔族達の喉、胸、腹を正確に貫く
「ガッ……!?」
「ギ……ァ……」
反応すら許さない。
斬るというより――
“通り過ぎた時には終わっていた”
黒いフロックコートが翻る
その動きは以前よりも迷いがない
実戦的で速い
その横では――
パンッ!!
エマのリボルバーが火を噴く、45口径の破壊力に
額を撃ち抜かれた魔族が倒れる。
別の魔族が接近瞬間にも
「グルァァァ!!」
距離を詰める
しかしエマは慌てない。
そのまま蹴りが魔族の腹へ突き刺さる。
「ゴッ!?」
吹き飛ぶ敵、壁に叩きつけられる
エマはそのままスピードローダーを取り出し再装填
動きが妙に慣れている。
沙耶が思わず目を向け
「……エマ殿」
魔族を斬り伏せながら呟く
「本当に商人でござるか?」
純粋な疑問
エマは軽く笑った。
「喧嘩のやり方は、ロンくんから習ってますから」
さらっと言ったその直後
パンッ!!
また一体、撃ち抜く
沙耶は一瞬だけ黙り――
「なるほど……」
妙に納得した。
――この一行。
まともな者の方が少なかった。
洋館最奥。
重々しい扉の前。
カロンは立ち止まることなく――
そのまま蹴り飛ばした
ドゴォンッ!!
蝶番ごと吹き飛ぶ扉
中にいた魔族達が一斉に振り向く
「なっ――」
「この野郎!!」
「やっちまえ!!」
侵入者に対して恐れを知らずに怒号をあげる
カロンは一切止まらない、そのまま散弾銃を構え…
「邪魔」
ドォンッ!!
至近距離で放たれた散弾が、魔族をまとめて吹き飛ばした。
肉片と血飛沫が壁に叩きつけられる
部屋の空気が一瞬で凍る
そして――
奥にいた隊長格の魔物が怒鳴る。
「貴様ァ!!」
武器を構え突進
しかし…無駄だった
カロンは金属バットに持ち替え真正面へと振り抜いた
次の瞬間、バットが敵の膝の皿を叩き割った
嫌な音が部屋に響く
「ぐあぁぁぁぁぁ!!」
隊長格の膝が逆方向へ曲がりそのまま崩れ落ちる魔物
床に倒れ込んだ魔物は、壊れた膝を押さえながら後退る
完全に心は折れていた
「ま、待て待て待て!!」
両手をぶんぶん振る
「殺すな!!話せば分かる!!」
情けない声
さっきまでの威圧感は、もう欠片も無い。
カロンは冷めた目で見下ろす。
「……お前ら、よく言うよなそれ」
魔物は必死に頷く
「お、俺達は魔王様とは違うんだよ!!」
その言葉に。
レオンが眉をひそめる。
「……違う?」
魔物は勢いよく喋り出す。
「ま、魔王軍にも人道派と過激派がいるんだ!!」
早口…完全に命乞いモード
「魔王様は甘いんだよ!!」
半泣きで叫ぶ。
「“無益な殺生は禁止”“民間人を巻き込むな”“戦争犯罪をするな”だぁ!?そんな綺麗事で勝てるかってんだ!!」
リバティーナが思わず引く。
「……えぇ……」
スタオンヌは妙に感心していた。
「立派ですね」
純粋な感想だった
魔物はさらに続ける。
「しかも魔王様は慣例に拘って銃も使わねぇ!!“武人の誇り”だとか“魔族の戦い方”だとか!!時代遅れなんだよ!!」
エマが「あ〜」という顔をする。
「だから火器の運用が無かったんですね」
妙に納得した
魔物は必死に頷く。
「そうだよ!!だから頼む!!」
床を這いながらカロンへ近づく。
「俺の部隊と取引してくれ!!損はさせねぇ!!」
もうプライドも何も無い
「補給庫もバラす!!幹部の情報も話す!!アジトも全部売る!!だから見逃せ!!」
完全に仲間売ってる
沙耶がドン引きしていた。
「……なんたる小物……」
レオンも呆れる。
「お前、部下とか仲間とか無いのかよ……」
魔物は即答
「命の方が大事に決まってんだろ!!」
最低だった…カロンは数秒黙っていた
そして――
「……お前」
しゃがみ込む。
魔物がビクッと震えた
カロンは真顔で言った
「嫌いじゃない」
「おい」
「最悪ですねこの人……」
レオンとリバティーナは一瞬カロンを止めようとしたが…
カロンが呼ぶ
「エマ」
それと同時にククリRPVがバックで近くまで寄って来る、荷台にはドラム缶…
「おい!!どうなってんだ!?情報は話しただろ!!!」
数分後には魔物のコンクリート詰めが完成していた。
しかしカロンは無情にも告げる
「なにを勘違いしてんだ?話に乗ってやるなんて言って無いぞ?」
カロンは昨日の邪魔をされた事に対してキレていた
その結果がこれだ
カロン達はそのままドラム缶を置いて立ち去った
夕暮れの街道。
戦闘を終えた車列はゆっくりと宿のある街へ戻っていた、バイクをククリRPVの荷台に積み、シートで姿勢を崩す。
ガーディアンの車内
さっきまでの激戦が嘘みたいに空気は緩い
カロンは窓の外を眺めながら、ふと思い出したように言う。
「そういえばさ」
誰に向けるでもなく
「ヤンキーとかが“天上天下唯我独尊”って言うだろ?」
レオンが運転しながら反応する。
「……急になんだよ」
カロンは気にせず続ける。
「あれ、“自分が最強”みたいな意味で使ってるけど、本当は違うんだよな」
妙に真面目な話
「なんか意味分かんないくせに使うバカな奴ほどイキるよな…」
しみじみとした口調にスタオンヌがくすっと笑う
「ふふ……♡そうですね」
完全にいつもの空気。
その後ろ。
リバティーナが、そっとレオンを見る。
「レオンさん」
「な、なに?」
ビクッとしたように反応が早い
ちょっと裏返っている
リバティーナは少しだけ微笑む。
「昨日、言いかけた続き……覚えてますか?」
レオンの肩が固まる。
「……ああ……その……」
視線が泳ぐ、言葉が出ない
だがリバティーナは急かさない。
ふっと、柔らかく笑う。
「ふふ……大丈夫です」
その声だけで、空気が少し優しくなる。
「待ってますよ…ちゃんと聞きますから」
真っ直ぐな言葉に逃げ道はない
だが――
不思議と、怖くなかった。
レオンはしばらく黙った後。
小さく息を吐く。
「……ああ」
短い返事。
だが。
その横顔は、少しだけ覚悟を決め始めていた。
――夕陽が、静かに車内を照らしていた。
今作のグラン・ネフェルは過去作、「伝説の勇者の息子は共に生きて老いて死ぬ為に」の新魔王に登場したグランと同一人物です。
伝説の勇者ZERO、伝説の勇者の息子だけど、影が薄い末弟、今作が1話でメグが言っていた世界線A。
伝説の勇者の息子は共に生きて老いて死ぬ為には世界線B(平行世界)です




