第3話 戦闘
当然といえば当然なのかもしれない。
ビルに突っ込んでよろける事もなく無傷だったのだから、こんな刃でダメージを与えられる訳がなかった。
だが、胴体はどうだろうか。
私は空中で旋回をすると、今度はロボットの胴体へと突撃した。
カーーーン
今回はダメージを与えられた……と言いたいところだが、今回もダメージは与えられなかった。
顔面にダメージは与えられない、胴体にもダメージが与えられないのなら……。
とにかくいろんなところを攻撃するしかない。
目、足、関節、尻尾、腹……見たところダメージを与えられそうなところはこれくらいだが、この中にダメージを与えられる部位はあるのだろうか。
ロボットは私のいる方向へと一呼吸遅れて顔を動かす。
幸い、ロボットは私の動きに付いてこれていないようだ。
……こいつを倒せるのか?
攻撃は出来るが、それしか出来ていない。
しかもその攻撃が効いていないというのに。
結果は薄々勘付いてはいる。
だが、やるしかない――
目へと斬りかかる。
無傷。
足へと斬りかかる。
無傷。
ロボットの関節を1つ1つ斬りかかる。
無傷。
尻尾、腹、その他いろんなところへと斬りかかる。
だが――
傷1つ付かなかった。
――どうすればいい?
勝てない。
そもそも私がこのロボットに勝っている点がないのだから勝てる訳がないのだ。
装甲の硬さ、攻撃力――何1つ勝っていない。
ただ1つ勝っている点をあげるとするのなら、それは速度だろう。
ロボットは私のスピードに付いてこれず、何も出来ていなかった。
いや――
何もしなくても良かったと言った方がいいのかもしれない。
私はロボットにダメージを与えられない、というのをロボットは理解しているのだろう。
そう私は斬りかかっている時のロボットの姿を思い出す――
ロボットは私の姿を見るために顔を動かすばかりで、何もしてこなかった。
衝撃波なり、突進なり何かする事はあったはずなのにだ。
つまり、舐められている。
そう直感した。
このロボットにそういう感情があるかは分からないが、私はそう考えた。
……速度は勝っている。
ならば逃げてしまえばいい。
だが、ロボットには衝撃波があるから逃げられない。
「逃げてミルカどうカ……」
これはいわば賭けだ。
逃げれたら勝ちだが、衝撃波をくらってしまったのなら、動けなくなった隙にロボットが突進して終わりだ。
……。
……いや待て。それなら最初に衝撃波をくらった時に突進されて私は死んでいるのではないか。
なのに私は生きている。
ここから考えられる事は1つ。
それは――
ロボットは技を連発出来ない可能性があるという事。
技が連発出来なかったから、直後に衝撃波を放ったあの時、ロボットは突進出来なかったという訳だ。
そういう事なら逃げられるかもしれない。
衝撃波をくらったとて、その度にどうにか立ち上がり逃げるのを繰り返せばいつかは逃げ切る事が出来る。
これだ。
これなら大丈夫だ。
そう信じて私は羽から勢いよくエネルギーを吹き出して飛び立った。
どんどんとロボットから距離が離れていくのを見ながら逃げていく。
その時、ロボットからあの青白い光が放たれ、吸収されるのを繰り返す。
放たれ、吸収され――
光が放たれて――
視界が歪んだ――
私は気付いた時には地面に倒れていた。
衝撃波の影響で体が少し麻痺している。
予想通りならこの間、ロボットは何も出来ないはずだが――
「青白いひかリ……」
ロボットは体から青白い光を放っていた。
まずい、予想が外れた――
私の事情など何も考えていないかのように、ロボットは構わずこちらへ突進してくる。
静寂に包まれたこの都市に、ロボットが地を踏みしめるごとにアスファルトが砕ける音がただ鳴り響いた――
カーーーン
私は両手の刃でロボットの強烈な突進を抑えながら、背中の羽からのエネルギーの放出を最大化する。
火事場の馬鹿力と言うものだろうか。
先程までの麻痺はすっかり消えて、こうしてロボットの突進を抑えている。
不意にロボットからの突進の力が弱まって、それに答えるように私の力も弱っていく。
そして、ロボットの突進が止まったと同時に、私は力が完全に抜けてしまった。
何故だ?
何故突進してきた?
あの時との違いは何があったんだ?
そんな事を考えている間にロボットからは青白い光がまた放たれ始めていた。
――逃げるのがダメならひとまず隠れないと……。
私は背中の羽からエネルギーを放出して近くの崩れかけのビルの影へと隠れた。
無論、ロボットの目の前で移動したのだから場所はバレている。
距離もさほど離れていない。
このまま私はロボットに突進されて終わりだ。
隠れたのはせめてもの最後の希望だった。
――最後の希望にすがってどうせ無理なのだと悟りながらも、少しの希望を願って目を瞑った。
瞼の外には光があった――
「――ッ!!」
感じたのは体の麻痺する感覚だった。
この事実が導きだす答えは――
ロボットが突進ではなく、衝撃波を放ったという事。
一体どういう事なんだ?
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