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滅びた世界でキミと  作者: チキンヤロー
始まりの旅路編
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第2話 目覚め

 このロボットは一体何者なのだろうか。

 ロボットは私を鋭い眼光で見つめており、その眼光を私から離そうとしない。

 ――嫌な予感がする。

 そう感じた時、ロボットは天を見つめると、体全体から青白い光が発する。

 その青白い光はロボットに纏わりつくように迸り、その体へと吸収されていく。


 青白い光がロボットの周囲を迸るその姿は、何処か底知れない恐怖を感じる。

 そのためか、私は動く事が出来ず、その姿をただ眺める事しか出来なかった。

 奴は何をしようとしている?


 青白い光が迸り、吸収される。

 それが何度も繰り返される――


 動かなければならないと分かってはいたが、どうすればいいのか分からなかった。

 時間がないとは分かっている。

 だが、どうすれば――


 その刹那、ロボットから強烈な光が放たれた。

 強烈な光のせいで、私の目には何も映らない。

 だが、最後に見えたロボットの突撃する姿を見て、私は――


 空を飛んでいた。

 吹き飛ばされた訳ではなく。

 本当に空を飛んでいる。


 私は記憶を失った関係で自分に能力があるなんて知らなかったが、私はどうやら空を飛べるらしい。

 背中の飛行機の羽のような部位からエネルギーが放たれて、空を飛んでいる。

 記憶を失った私が搭載された機能を咄嗟に使えたのは、恐らく生きたいという本能的なものからだろう。

 もっとも、私は機械なのだから生きたいも何もないはずなのだが。


 ……いや、今はそのような事などどうでもいい。

 目の前の敵に集中しないといけない。


 ロボットは、私の行方を探しているのか周囲を見渡している。

 ロボットの周りには粉塵が立ち込めている。

 そのためか、私が上空にいる事を奴は気付いていない。


 いっその事、このまま逃げてしまえばいい。

 そう考えた私は飛行したままこの場を去ろうとしたその時――

 またロボットから青白い光が放たれて、吸収されていく。

 突進か?

 そう考えた時。

 光が放たれて。


 視界が歪んだ――

 私の体は高度を落としていき、やがて地面へとぶつかった。


 揺れる視界をどうにか制御しようとしながら、体を真っ直ぐに保つよう心掛ける。

 ――一体何が起きたんだ?

 奴から光が放たれて、そして私はその光に当たって墜落した。

 という事は……衝撃波を放ったのか?奴は。

 私の体は少し痺れていた。

 どうやら奴の衝撃波には、機械を麻痺させる効果があるらしい。


 突進だけでなく衝撃波まで使えるロボット……一体どうしてそのような機能を持っているのだ?

 少女は私を怖がっていた。それは単純に私が分からない存在だからだと思っていた。

 だが、少女は私の事を()()生命体とも言っていた。

 つまり、少女は機械に怖がっていたのか?

 目の前のロボットを見て、私は考えた。


 粉塵が消えた頃、見えてきたのは、鋭い眼光で変わらず私を見つめているロボット。

 目の前の圧倒的な存在に、私は怖気付いていた。

 このままでは殺されてしまう。


 ……それもまたいいのかもしれない。

 瓦礫に押し潰されていた時から壊れたっていいと考えていたのだから。

 だが、何故だろう。

 少女の事を考えると、ここで死んではいけない。

 そう、何故だか思ってしまっていた。

 その自分の思いに答えるためにも、その思いの答えを知るためにも、私は生きないといけないのだ。

 ……とはいえ、どうすればいいんだ――


 ――私は空を飛ぶ事が出来た。

 それならもっと他に能力を備えているはずだ。

 その能力を使ってロボットに挑んで勝つ事が出来れば、どうにかする事が出来る。

 私は自身の体を見渡した。


 腕、足、胴体……何処を見てもそれらしいものはない。

 見えていないだけなのか、はたまた内部に格納されているのか。

 何か――

 何かないのか――


「――!!」


 ドガーーーン


 自身の体を見渡すのに夢中になっていた私は、ロボットの突撃を見ていなかった。

 だが、当の私は無傷だった。

 避ける事が出来たからだ。

 

 体が勝手に反応したのだろうか。

 どうやら背中の羽のような部位から勢いよくエネルギーを放出する事で、瞬発力を得られそして避ける事が出来るようだ。

 私は咄嗟にロボットの攻撃を避け、ロボットがビルに激突する。

 コンクリートが砕け、粉塵が辺りに吹き上がる。


 ――ロボットはビルに突撃して怯んだ。


 そう勝手に考えていたが、粉塵に隠れたロボットの影はよろける事なく、私の方を向く。

 その瞬間――

 粉塵に紛れたその大きな影が姿を現し、巨大な頭部が私に降り下ろされてくる。

 先程までなら攻撃をくらっていたのかもしれない。


 ――だが、今回は明確な自分の意思で避けられる。

 

 ロボットも負けじと私に何回も頭を振り下ろす。

 1回、2回と振り下ろされ、そして3回目の振り下ろしでアスファルトの地面が大きく崩れる。

 避ける事は出来たものの、体制を崩してしまう。

 

 崩れた地面の一部が私へと飛んでくる。

 しまった、避けられない――


 カーーーン


 私は腕を振り被っていた。

 咄嗟に腕を振り被っただけなのだが、飛んできた地面の一部は粉々に砕かれた。


 衝撃が私の腕に伝わる。

 硬いアスファルトに金属をぶつけるような音。

 拳を立てた訳ではなく、ただ振り被っただけなのに。

 私は腕を見た。

 

 見てみると、私の手の甲から刃が飛び出ていた。

 どうやらその刃によって崩れた地面の一部を破壊出来たらしい。

 刃は私の手の甲から肩より少し長いくらいの長さで、私の腕に沿って伸びている。

 こんなに長い刃、一体どこにしまっていたのだろうか……。

 手の甲から伸びているのだから、手の甲にしまってあったのだろうが……。

 

 私は左手を見る。

 腕を振り被ったのは右手だったからなのか、右手からしか刃が展開されていない。

 だが、左手の甲をよく見ると何やら少し厚みがある。

 ならば――

 私は手に力を込めた。

 

 すると、左手の甲から刃が勢いよく展開された。

 右手同様に私の肩より少し長いくらいまで伸びたその刃は、とても鋭く見える。


 ――この刃と空を飛ぶ能力、この2つがあればあのロボットに勝てるかもしれない。


 逃げるのは無理だろう。

 奴には衝撃波というものが使えるのだから、逃げたところで衝撃波で撃墜される。

 周囲にはビル以外に何もない。

 ――ならば、戦うしかない。


 私はロボットへと歩み寄る。

 ロボットは依然として鋭い眼光を私に向けていた。


「……行くカ」


 覚悟を決めた私は、先程の回避の時の応用で、背中の羽のような部位から勢いよくエネルギーを放出してロボットの顔面へと突撃する。

 

 カーーーン


 ロボットの顔面に思いっ切り刃を振り被った。

 結果は――

 無傷だった。


 ――手応えすらなかった。

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