【学園編SS】ラブレター旋風が吹き荒れた話
学園でラブレターが流行りだした。
空前の告白ブームまでおまけにやって来たのは、王立ミッドガルド学園である。
生徒どころか教師まで巻きこんで恋文は大流行し、なかには懺悔の告白をするツワモノもいた。
さて、僕ことルナリードもそんな流行に当てられて妄想していた。
ついつい淡い色の桜の便箋にさらさらと書き出していたのは、隠しようのない本音。
途中、四苦八苦して書き上げた手紙はあけすけな彼への思いが詰まっていた。
綴ってしまった手前、捨てるのもしのびない。
せっかくならば渡してみたいが、とても出せる代物ではなかった。
はっきり言って、恥ずかしい。
投函でもしてしまえば明日には忘れるかもしれない。
だが、恥ずかしい。
捨てるのは惜しい、だが……と繰り返し悩む僕だった。
そこへ――。
リュカ「勝手に入るぞー」
ルナ「なななッ!? ノックぐらいはしてくださいよ」
リュカ「チャイム押しても気づかないやつが悪い」
ルナ「え……鳴らしました?」
リュカ「鳴らさなかったな?」
ルナ「ダメなやつじゃん!!」
乱入したリュカ様に慌てて噛みつきながら、適当な本でラブレターを隠した。
机を背後に、僕は微動だにしていないぞ。
リュカ「このあと遊びに行こうぜ。お前も来るよな?」
ルナ「ああ、例のボール遊びですか。いいですよ」
リュカ「じゃ、先に待ってる」
リュカ様が大人しく退出するのに胸をなでおろす。
よかった、変にバレなくって。
やましい気持ちはあとに、さらに数冊積み上げてラブレターを不自然じゃない程度に隠すと、僕は遊びに出かけた。
数時間後、帰宅して本を退けようとすると違和感があった。
ルナ「(たしかここに置いたはず……)」
ところが、隠しておいた手紙がない。
僕は異変に気づいた。
窓が開いており、なにかの拍子に飛ばされてしまったのかもしれないと悟ったのだ。
ルナ「精霊にさらわれちゃったかな?」
僕は、出せなかった便箋が心残りでなくなり、晴れやかに笑ったのだった。
〜〜〜〜
――数分前。
ルナの部屋に侵入する生徒があった。
彼は何食わぬ顔で家主のいない部屋を突き進み、堂々と机にあった本を退けた。
乱入者には確信があったので、目当てのものなど、すぐに分かった。
リュカ「ふ〜ん、ラブレターか。宛先は……俺だな」
なら持っていっても構わないだろうと、リュカは制服の胸元に恋文をしまった。
手慣れた動作で本の山をわずかに崩し、窓を開くのも忘れない。
こうして隠蔽工作もはかり、恋文は黙って抜き取られたのだった。
精霊の悪戯に見せかけるという、確信犯の手腕によって。
リュカ「なになに、――愛するリュカ様へ」




