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ミニュイの祭日  作者: 月岡夜宵
前章 星降る夜(ニュイ・エトワレ)

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さよならバカンスの記憶3

 最後に、琴引きの洞窟での探検だ。肝試し、というやつを僕らは夕方からすることになった。洞窟の最奥までカレントリュートのふたりが設置したものを取りに向かうのだそうだ。暗がりを進むだけの何が面白いのかと、リュカ様と揃って首をかしげた。


 声が反響する洞窟を、くっついて進む。洞窟内は暗いし、寒いし、なにやら奇妙な風の音がした。ひゅるるるる、と。ただでさえ声がでかい僕の悲鳴のせいで耳がキーンとなっているリュカ様には嫌な顔をされたが、いまさら離れることなんてできない。ついでに叫び声も喉元で止まってくれない。


「あうっ!? 今水が! リュカ様、ここは危険です!」

「は? どうせ鍾乳洞かなんかから垂れてきた雨水だろ」

「ぐぅ……」


 どうにかこうにか行き止まりまで到着すると、苔むした光る石を発見した。洞窟内でしかみられない苔が生えた石は、天然のランプのようだった。僕はホッとし、その石を取ろうとすると……背後から伸びる影が動いた。


「ぎゃああああああああああ!!」


 そのおばけが皮を脱いで正体を現す。


 布の中から出てきたのは、カレンとリュートのふたりだった。こっそり後をつけながら、風の音にまぎれて声を出したり、水音に紛れて僕のうなじに水を飛ばしたりしていたらしかった。なんてわるふざけだ! 僕が恐怖から怒りのまま注意するも、「これはそういう遊びなのよ」とカレンには言われてしまう。リュートなんて「ぷぷ。ルナくん、ぎゃああって……おらよりすごい悲鳴だなあ」なんて涙まじりに面白がっていた。


「あ、そうだ。その石はそのままにしといてね。今から見せたいものがあるから」

「まだ怖いことが……?」


 リュカ様がいないと歩けない、腰を抜かした僕にリュートが安心させるように言う。


「これから産卵が始まるんだ。観光客にも人気だから、おふたりも見てくといいべ」

「さんらん……って、なんの?」

「あ、ほら始まったわ!」


 そしてたった今、石を囲う台座の足元から水が湧き出した。海水は僕らがいる段までは来ないが、足元はたっぷり水につかってしまった。すると、行き止まりになっている洞窟の上の方、天の窓から月光が降り注ぐ。


「舞ってる……これが卵?」

「そうよ、サンゴ礁の卵なの。さっきの石を覆うようにしてたのも緑色のサンゴよ。コケニニサンゴっていうらしいわ」


 洞窟の壁面に自生するサンゴから、白い卵が夜風に流されて、月光に向かって飛び立つ。ぷかぷか浮かぶ卵たちが未来のサンゴになると思うと、より神秘的な光景だった。

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