第203話 琥珀の洞窟1
「昨日は迷惑をかけてしまって、ごめんなさい」
「ディアナ様、もう大丈夫なのかい?」
貸し切りにした宿屋の食堂に集まっていた皆に謝ると、アンジェリークのリーダーのリタが駆け寄った。
「はい、大丈夫です。ご心配をおかけしました」
「俺らもゆっくりと休む事が出来たから、今日からガンガン行かせてもらうぜ!」
食堂で次に攻略にいくダンジョン『琥珀の洞窟』のマップを広げた。
「とりあえず、スタンピード前の情報だと、全30階層の洞窟タイプのダンジョンで、5階層置きにアンデッドが待ち受けてるそうだ。アンデッドが少々難点だが、難易度はC〜Dと言った所らしい。ま、それがどうなってるかだな?」
「じゃあ、出発するぞ!」
宿屋の主夫婦に見送られ、村を後にした。
メンバー全員を亜空間部屋に入れて転移、ダンジョンの真ん前までやってきた。
簡易冒険者ギルドで手続きをして、階段を降りる。
「あれ?普通の洞窟じゃん?」
岩盤がそのままの洞窟で肩透かしを食らった気がした。
「アンデッド階が琥珀階層なんですよ」
ジンが答えた。
「もしかして、潜ったことある?」
「えぇ、騎士団に入団した頃に訓練で…。アンデッド階は、驚くほど綺麗なのですが、眼をやられるんですよね」
「へぇ…」
と、そこにオーク2体とオーガ2体が出現、支援するまでもなくジンとキースが2体ずつ倒した。
「前と比べてどう?」
「一階層からオーク、オーガはあり得ません」
「て事は、やっぱりここもか…」
「気を引き締めて行きましょう!」
「了解!」
各階にホテルの入り口を作りながらギルドカウンターに報告を入れつつ、初のアンデッド階層となる琥珀階層にやってきた。
「ま、眩しい…」
「目がチカチカする…」
「しばらく眼を慣らしましょう」
2〜3分は動かずにじっとしていた。
「ここでアンデッドに襲われたら、たまんないなぁ」
「来ました!飛行昆虫タイプです!」
ジンに言われてその方向を見ると、琥珀に内包された昆虫が飛び出してくるのが見て取れた。
「あ〜なる程ね。これは厄介だわ」
「申し訳ありません。剣士の私では全く役に立てません」
「じゃ、キース行こうか」
「了解!」
キースの炎魔法とディアナの聖属性魔法で片付けながら前に進んだ。
6階層に降りる前に、ディアナはサングラスを人数分作り、「とりあえず、1人1個持っておけ」とメモを付けてギルドカウンターに預けた。
6階層、7階層と進み8階層まで終えた所で「そろそろ昼食にしませんか?」との伝言をもらったので、ロビーで待機した。
「伝言のやり取りが、ちょっと楽しくないですか?」
キースが笑いながら言った。
「あはは!わかるわかる」
皆揃った所で支払いを済ませ、食堂に行った。
「琥珀階層が眩しかった〜サングラス無かったら無理だったわ」
「いや、それより沙織ちゃんだよ、沙織ちゃん!」
ロイズが騒ぎ出したので、「どうしたの?」と尋ねてみた。
「『聖女候補』の称号のせいですかね?アンデッド階層を歩くだけで、バタバタと魔獣が倒れて行くんですよ!」
「え!?」
「あ〜あれは蚊取り線香で蚊が落ちるがごとく…」
ベアトリーチェが、わかりやすい表現をした。
「もしかして、クレメンスさんも?」
「はい、同じです。自分を中心に半径20メートル位に作用するので、ダンジョンの形状によっては魔獣と一度も遭遇しないと云う事もあります。ドロップアイテムを見つけて、あ〜いたのか〜みたいな」
「マジかよ!?」
「私は、いつでも大真面目です」
「称号、恐るべし。だな」




