第190話 ウルフズブルグ4
31階層から探索を再開した。相変わらず、ウルフ系魔獣が10体ずつとオークやオーガの上位種の混合チームとの戦いが続いた。武器がミスリル製になったからか、スキルコピーが影響しているのか、これまでの階層より楽に進めていた。
「やはり、手応えが全く違いますね」
「ジン、グリップの具合はどう?まずかったら錬金術で調整するけど?」
「大丈夫です。予想以上に手に馴染んで、もう手放せません」
「キースは?」
「属性魔法の使い分けが出来て、調子よく行ってます。魔力回復の指輪がある分、あまり残量を気にしないで魔法が使えるのも、精神的に安心感がありますね」
「良かった…合わなかったらどうしようかと心配してたんだ」
パァと笑顔を見せたディアナの表情を見た二人は吹き出した。
「なに?」
「いえ、私達はディアナ様にいい感情を抱いてはいなかったのです…」
「えぇ、親友であるゼノン殿下を苦しめる、傲慢な女性だと認識してしまってました…」
「だけど、こうやって接していると、実に気さくな性格で思いやりもあり、何より周囲の人を大切にしていると感じました」
「「今までのこと、申し訳ありませんでした」」
ディアナは、返事に困った。頭を下げる二人の肩に手を添え、頭をあげさせた。
「私が我儘なのは事実よ。ゼノンを護りたいと思っているのに、傷つけてばかりだ…。いずれ、ちゃんとカタをつけなきゃと思ってる。でも、その前にやらなきゃいけない事もたくさんあって…。このダンジョンを踏破したら、あと2つのダンジョン踏破も付き合ってもらうわよ?」
「それ位の事でお許しいただけるのなら喜んで」
35階層迄難なく進み、沙織チームと合流した。
「ねぇ、次は39階層で合流して、そこから先は7人で進まない?」
ベアトリーチェが言った。
ウルフズブルグのダンジョンは元々40階層迄のダンジョンだった。だが、このスタンピード寸前の状況では何が起こるか予測がつかない。だから、何があっても対処出来るように全員で挑みたいと云う事だった。
「賛成!」
「じゃ、39階層で逢いましょう」
36階層に足を踏み入れた途端に、強烈な炎魔法に襲われた。ディアナの結界魔法を封じた魔石のバングルで対処出来てはいたが、それでも衝撃だけは受けた。
「凄まじいな…何がいる?」
「ホワイトフェンリル、全属性魔法を使う上位種です」
「フェンリルなんて、今迄の階層に出て来なかったじゃないか!」
「マズイな。この階層を進めるのは、私達位のものだわ」
「この階層が終わったらギルドに報告して、注意を促してもらいましょう」
ディアナが切り込み、ジンが仕留め、フェンリルが率いるウルフ系魔獣をキースが一掃した。
そのパターンで10回の戦闘を乗り切り、36階層を終えた。
ホテルへの入り口を繋げたあと、ギルドカウンターで36階層での戦闘をつぶさに報告し、後からくるパーティに注意を促してもらうよう手配した。
37階層では、闇魔法を使ってくるブラックフェンリルがウルフ系魔獣を率いて出現した。ディアナの聖属性魔法を付与した剣で難なく倒せたが、やはり要注意な階層だった。
ホテルへの入り口を繋げ、ギルドカウンターに報告に行くと、ベアトリーチェからの伝言を受け取った。
『予定を前倒しして、早めに合流したい』
ジンもキースも合意した。
その場で待機していると、30分程で沙織チームが現れた。
「沙織の聖属性魔法とトーマスの麻痺効果でなんとかなったけど、しんどかった〜!」
4人とも息を切らしながら駆け込んできた。




