第188話 称号の謎1
「ミレーネ様が『ディアナを側妃として差し出せ』って、言った時かな?」
「ちょ、随分と前の話じゃないの…」
「私、あの時…凄く混乱して…」
(私は、ミレーネ様を押しのけたいワケじゃない。
王妃になりたいワケじゃない。
側妃になりたいワケでもない。
ただ、ただ…陛下を愛しているだけ)
「だから、学園をやめて行方をくらませたのね…」
「国外に出る事も考えたけど、周りがそうさせてはくれなかった…」
「ゲイル騎士団長の事件があったからですね?」
ジンが更に続けた。
「そもそも、称号って何ですか?」
「地位?勲章?そんなところかな?」
キースが答えた。
「資格…」
「沙織?」
「いや、あの…私の場合、『聖女』になる資質があったからこその『聖女候補』だと思うのです。ですが、『聖女候補』だからと言って必ず『聖女』になれるとは限りませんよね?『聖女』になる資格を有しながら、スキルを活かしきれずにその資格を失った方も多くいるのではないかと…」
その事には、ディアナが早々に辿り着いて国王や軍務卿に進言していた。
一方、ベアトリーチェはレベッカの事を思い出した。
「ネイサン王国からレベッカを救出した時、レベッカの『聖女候補』の称号と転生者特典の鑑定スキルも消えていたわ…」
「どうして、消えてしまったのでしょう?何者かの意見や思惑が反映されるものなのでしょうか?」
ディアナには、ひとつだけ思い当たる節があった。
それは、第一王女メラニアのスキルだ。レベッカから記憶とステータスを奪った、あのスキル。それと同じ様に、誰かが称号を書き換えてるとしたら?
「そう言えば…私やディアナは、周囲の人の冗談で『勇者(仮)』や『賢者(仮)』って称号がついたのよね…」
「ぶほっ!(仮)って!!」
「やあ、まあその話もなんだかな~?って話なんだけどさ」
『(仮)』の称号がついたエピソードを語ると、ディアナとベアトリーチェ以外の全員が大爆笑した。
「王子をフッたから『勇者(仮)』とか…」
「嫌がらせで『賢者様』って言ったから『賢者(仮)』」
「称号って、眉唾ものじゃないですか〜」
トーマスが笑いながら言った。
「それが、そうでも無いんだよ…」
「ん?」
ディアナは、インベントリから聖剣セットを取り出した。
「ダンジョンのラスボスのドロップアイテムで、右から聖剣、聖なる盾、聖なるローブ」
自然と発光しているのか、周囲の明るさが増した。
「ギルドに買い取りに出したけど返却され、王城に献上しようとしたら断られた代物よ。触ってみれば、私が言ってる事がわかるハズ」
最初に沙織がローブを手に取り羽織った。
「綺麗…あ…」
沙織の体が光り始め、薄い膜となって安定した。
「ステータス!」
沙織がステータスを開示させると、全てのステータスに50%アップの補正値がついた。
そのローブを、同じ魔道士のキースに渡そうとした。
バチバチっ!結界に阻まれ、火花が散った。
沙織は慌ててキースの手を取り、ハイヒールを唱え火傷を治療した。
「何が起こったの!?」
「ベアトリーチェ、物を鑑定してみてくれる?」
『聖剣クラウ・ソラス』聖なる力を宿した剣。闇や邪なるものを薙ぎ払い、聖なる力で討ち果たす剣。別名神殺しの剣。スキル『剣技』発動。称号『剣聖』『勇者』『聖騎士』のみが扱える。
『聖なる盾』聖なる力を宿した盾。闇や邪なるものを一切近づけず、聖なる力で全てを防ぎきる盾。スキル『全防御』『ヘイト』発動。称号『剣聖』『勇者』『聖騎士』のみが扱える。
『聖なるローブ』聖なる力を宿したローブ。全ステータス50%アップ。スキル『結界』発動。称号『剣聖』『聖女』『聖人』『聖騎士』『賢者』のみが扱える。




