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第187話 ウルフズブルグ3

 16階層に足を踏み入れた。シルバーウルフを主体として、アイスウルフやレッドウルフと言った属性持ちで魔法を使ってくるウルフ系魔獣が混じり始めた。


 「属性が混じると厄介ですよね。魔法で一掃出来ない」


 キースがため息を着いた。


 「まあ、結界のバングルで防御は完全に出来ているので、なんとかなっていますが…」


 出現魔獣の約半分は、ディアナの緑魔法で拘束されているので、会話する余裕もあった。

 しかし、20階層を過ぎたあたりからは、速攻型のブレイドウルフが大量に出現し始めたため、会話をする余裕すら無くなっていた。ブレイドウルフの上位種などは、剣に似た角を飛び道具のように使ってくる為に、厄介なことこの上なかった。そして当然、ディアナも支援だけやっている訳には行かなくなり、剣を手に暴れ廻った。その鮮やかな剣裁きと身のこなしに、ジンとキースは圧倒された。


 「凄すぎて、目で追うことすら適わない…」


 30階層に到達した時点でホテルにチェックインした。

 ジン達がドロップアイテムを買い取りに出している間に、ダンジョン再開の様子を聞く事が出来た。

 現在、ウルフズブルグのダンジョンには、ディアナチームと沙織チームの他に「スタンピードの兆候有り」として、A級パーティとB級パーティに限定して募集を掛けてあり、その呼びかけに応じた5パーティが挑んでいるらしい。そして、その各パーティから以前のマップや攻略法よりも難しいダンジョンになっている可能性が指摘されていると聞いた。

 入浴後に食事を済ませて、また皆で集まった。


 「私達はディアナが作った結界の魔石に護られているからここまでやってこれたけど、他のパーティがちょっと心配だわ」


 ベアトリーチェの言う通りだと、ディアナは思った。数が多すぎて、サシで勝負出来るドラゴンの方がよっぽど戦い易いと感じたのも確かだ。


 「トーマス、ちょっとごめん!」


 ディアナはトーマスの手を握り、ステータスボードを開示させた。


 「動体視力凄くいいみたいね?」

 「斥候をやるようになって、鑑定眼と一緒に視力が上がったようなんですよ。最近、壁の向こう側が見えることもあって…」

 「女風呂覗けるじゃん?」

 

 妙なツッコミを入れたロイズの頭をジンがバコン!と叩いた。


 「鑑定の探索の中に『千里眼』ってスキルがついてるよ」

 「やっぱり、新しいスキルが出現してたんですね」

 「武器を変える気無い?」

 「え?」

 「今のナイフは鋼だよね?」

 「えぇ、そうです」


 ディアナはインベントリから一本のナイフを取り出した。


 「これ、別のダンジョンで入手した麻痺効果が付いたミスリル製のナイフなんだけど、ちょっと握ってみて」

 「か、軽い…」

 「グリップはどう?」

 「少し手に余る感じかな?」


 ディアナはナイフを握るトーマスの手に上から手を重ね、錬金術でグリップがトーマスの手に合うように変形させた。


 「あ…しっくり来る…」

 「そのナイフ、少し掠るだけでも敵を麻痺させられるから、トーマスの様に動体視力が良くて、俊敏な動きが出来る人にはうってつけだと思うよ。勿論、敵を倒すことも出来るし。あげるから使って」

 「ありがとうございます」


 そして、ディアナは自分のステータスを見ながら、ロイズ達にも何かスキルをコピー出来るものが無いかと探した。


 「う〜ん…一度、全部コピーしてみるか…」

 「ねぇ、ディアナ…そのステータス、いつ変化したの?」


 ベアトリーチェがディアナに尋ねた。


 「あ、剣技スキルは、さっき戦闘中に出現したの」

 「違う!」

 「ん?」

 「称号よ!1年前位まで『王太子妃候補』だったハズなのに、今は『王妃候補』になってる!どういう事なの!?」



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