第183話 ウルフズブルグ2
10階層で沙織チームと合流する迄の間にトイレを済ませ、冒険者ギルドのカウンターでドロップアイテムの精算をしつつ、ギルドが発行しているマップや攻略法とは異なる魔獣が出現している事を報告した。
「もしかしたら、ダンジョンが成長している可能性があります」
「!?」
「以前の踏破では全40階層となっておりましたが、まだ先が出来ているかも…」
「そんなこともあるの?」
「はい。過去に北部のダンジョンで…」
「わかった。とりあえず5階層置きにホテルに立ち寄る事にしているから、その時にまた報告を入れます」
冒険者ギルドの受付嬢と報告の約束をした。
宿泊カウンターで食事のみ7人分の代金をパーティ用口座から支払い、あとで沙織たちが来る事を受付に告げて2階のレストランに上がった。
「先に食事を始めてましょう」
思い思いの食事をトレイに乗せて、さぁ食べようと云う時に沙織チームがレストランに到着した。
「ねぇ、出現魔獣が違ってなかった?」
とは、ベアトリーチェの開口一番だった。
「ダンジョンが成長してるかも知れないって、ギルドの人が言ってたよ」
ディアナは答えた。
「それって、全40階層で終わらないかも知れないし、前に踏破した時より難しいダンジョンになってる可能性もあるって事ですよね?」
「多分、沙織の言う通り」
「ま、いずれにしてもやるしかないですけどね」
ジン達一行は、色んな意味で唖然としていた。女性3人の腹の括り方に、この快適な休憩が取れるホテルを作ったディアナに…。何もかもが規格外過ぎた。彼女達と付き合うと云う事は、そういう事の全てを受け入れて行かなければならないと言う事だ。ゼノンが落ち込んだり、悩んだりする気持ちが少し理解出来た。
「もしかしたら、1階層を攻略する時間が少し長くなるかも知れない」
「とすると、15階層まで様子を見ながら、どの辺りで宿泊するかの見当もつけなきゃだわね?」
「19時位迄には宿をとりたい」
「20階層位迄は到達したい所ですけど、無理そうですね」
「ジン達はどう思う?」
「お任せします」
それ以外、答えられなかった。話を聞いていないのではない。話の展開についていけないのだ。何もかもが違い過ぎた。彼女達は、本物の冒険者だと思った。
「よし、そろそろ出発しようか」
ディアナが立ち上がったのに吊られるように、ジンとキースも立ち上がった。
「じゃあ、また15階層が終わった所で、会いましょう」
11階層に足を踏み入れた途端に、シルバーウルフ10体とオーク5体の混合チームに遭遇した。
「シルバーウルフは任せて!」
闇魔法一発でシルバーウルフ10体をディアナが一気に倒す。一方でジンに攻撃力50%アップとキースに魔力50%アップをかけた。オークをジンが3体、キースが2体倒した。
「数が多すぎませんか?」
キースが言う。
「たしかに…」
ジンも頷いた。
「もしかしたら、周囲の治安が悪く長い間放置されすぎて、スタンピードを起こす寸前だったのかも?」
「入り口の簡易冒険者ギルドで確かめるべきでしたね」
「そうとなれば、やる事はひとつ。倒しまくるわよ!」
階層内を時間をたっぷりかけてくまなく歩き、遭遇する魔獣をガンガン倒していった。魔獣もシルバーウルフやブラックウルフ、レッドウルフなど上位種がオークやオーガなどの巨体系を連れ、10体以上で出現していた。
「スタンピード寸前で間違い無さそうね?」
「グラーツ領内の他のダンジョンも危険な状況にあるのでは?」
「可能性アリね。15階層を終えたら、報告しましょう」




