第182話 ウルフズブルグ1
グラーツ領にあるウルフズブルグ地区。その名が示す通りに、ダンジョン内には狼系を中心とした魔獣が出現する。過去に一度踏破された事がある全40階層のダンジョンらしく、マップや攻略法が近隣の村の宿屋にも置かれていた。
「この7人で同時に入ると、過剰戦力だと思うのですよ」
沙織が言う。確かに、その通りだと思う。ディアナ達3人組だけでもそう思うのに、そこに斥候役のトーマス、魔道士のキース、剣士で騎士のジンとロイズの4人も加わるのだ。
「二手に分けましょう」
回復魔法が使えるディアナと沙織を分けると同時に、オールマイティに戦えるディアナを二人分と考える事にした。
沙織チームは、鑑定がレベルアップして探索スキルを身に着けた斥候トーマス、賢者(仮)ベアトリーチェ、剣士ロイズ。
「はっ!?ベアトリーチェ様と一緒ですか?」
「じっくり躾けてあげるからね?」
「ひぇ〜!」
ディアナチームは、剣士ジン、魔道士キース。
「よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
ディアナチームが先行し、その1時間後に沙織チームがダンジョンに潜る事に決め、5階置きにホテルのロビーで合流する事にした。
翌朝、簡易冒険者ギルドで許可をもらい、ディアナチームが先行してダンジョンに足を踏み入れた。
「基本的に私は支援に回るから、ジン様とキース様よろしく」
「呼び捨てにして下さい」
「じゃ、私も呼び捨てにしてくれる?」
「そ、それは…わかりました」
ジンは一度断ろうとしたが、ディアナが怪訝そうな表情を見せたので、渋々従った感じになった。
キースも、あれだけゼノン殿下を悩ませるディアナ・グラディウスがどんな女性なのかと気になっていて、これを機会にじっくりと観察してみようと思った。
1〜5階層、洞窟作りの迷路になっていて、いくつかの行き止まりに宝箱が設置された小部屋があった。宝箱は約半分がミミックで、倒すと宝石があしらわれたナイフや箱がドロップアイテムとして残った。また、出現する魔獣はウォーウルフやクリスタルウルフを中心に、ゴブリンや角兎やクリスタルラビットなどだった。ディアナの目的はホテルへの通路を繋ぐ事なので、ドロップアイテムは全て彼らに譲った。
「とりあえず、この階層迄は支援魔法無しで来れたね」
「ウルフ系との戦闘は、プロイスで嫌と言う程やりましたから」
「そっか、プロイスでは地上に出現するものね。数は多い?」
「そうですね。大体10匹単位の群れが街のそばにいたりします」
「うわぁ…外を歩けないじゃない」
「えぇ、昼間でも独り歩きは危険ですよ」
1時間後、沙織チームがホテルロビーに到着したのを確認。合流して打ち合わせをし、10階層を終えた所で昼食を摂る約束をした。
6〜10階層、クリスタルウルフにアイスウルフや魔法を使う魔獣が混じり始め、オークなど大型魔獣なども出現し始めた。
「以前のマップや攻略法と、出現魔獣が違ってる?」
「ええ、どうやらそのようですね」
「気を引き締めて行きましょう!」
1階層終わる毎に、マップに違う箇所を書き込んで行く。そして、ホテルへの入り口を繋げる作業も続けている。
「よく、それだけの魔法を使えますね」
「あ?ああ、私の魔力量は∞だから…」
「え!?」
尋ねてきたキースに、ディアナはステータスを見せた。
「ぶほっ!無限大って!」
「こ、こんなステータスが存在するとは…」
ジンもキースも目が点になっていた。
「規格外過ぎて、比較対象にもならないでしょ?気にしない方がいいよ。一部の人からは『バケモノ』って呼ばれてるらしいし…」
「そ、そんな…」




