再び歩き出すために
タツヤが教会の赤い扉を開け、外に出ると、
石で作られた椅子に真央たち三人が座っていた。
真ん中の真央は呆然として動かない。
彩乃とイチゴは必死に励ましているが、真央には届かなかった。
タツヤが近づくと、イチゴと彩乃がタツヤを見る。
「おい、真央!
お前がそんな状態でどうするんだ?
コータのこと、このまま諦めるのか?」
真央はその問いに、ゆっくりとした動きで見上げた。
「・・・・・・タツヤの言うことは分かる・・・
だが・・・・・・コータの生死を自分が決めるなんて・・・そんなこと無理だ・・・・・・」
首を力なく振る。
その姿を彩乃が心配そうに見つめて、肩に手をかける。
「真央くん・・・」
「・・・ゲ、ゲームなら、灰だろうと気楽に復活させていたが・・・・・・
親友の・・・・・・コータの命を・・・・・・・
賭けることなんてできない・・・・・・」
真央は、自分の震える手を見ながら答えた。
「なあ、真央。
さっき司祭から聞いたんだが、復活の儀式には運が関係するらしい・・・
オレは僧侶だろ?
オレの復活の魔法と、運は関係しないのか?」
タツヤの言葉に真央が反応して、眉が動き、目を細める。
確かに僧侶の回復呪文には、死者を生き返らせるものがある。
「確かにある・・・だが、その呪文にも運と生命力が関係していた気がする・・・」
「真央、コータの登録時の記憶ないのか?」
真央は頭を上げ、空を見上げる。
あの夜のことを思い出しながら、記憶を紐解くようにしゃべり始める。
「・・・・・・コータは戦士・・・
あの時、ユージ、セージを戦士として作った・・・
ボーナスは18以上を狙ってたが・・・・・・
誰に・・・どういう風にパラメータを割り振ったか・・・覚えてない・・・
運は攻撃が当たる場合や、クリティカル発生率が上がるんで、基本上げるが・・・
生命力ほど上げなかった気がする・・・」
そう言って、真央はガックリと肩を落とし、足元を見つめた。
タツヤは、こんなにも弱々しい真央を見たことがなかった。
いつでも前向きだった男が、ここまで落ち込むとは思ってもみなかった。
何とか立ち直らせたかったが、言葉が見つからない。
そんなタツヤを見て、彩乃が口を開いた。
「ねえ、真央くん・・・じゃあ、こうしたらどうかしら・・・」
真央が彩乃の方へ顔を少し上げて視線を動かすと、横目にじっと見つめる。
「全員で元の世界に戻るには、いつかはコータくんも復活させなきゃならない。
ならば、今は後回しで良いんじゃない?
まずは、ユージくんとセージくんの復活を目指しましょ!」
彩乃の提案は理にかなっていた。
真央は、その言葉で少し前向きになれた。
「そ、そうだね・・・・・・オレたちの目標は元の世界に戻ること・・・
今はコータの状況は最悪だけど・・・復活させないと帰れない・・・」
彩乃はイチゴの顔を見る。
イチゴは彩乃の視線に気づき、目配せしてコクリと頷いた。
二人は立ち上がる。
真央はその動きに合わせて顔を上げた。
夕方は近かったが、太陽の光に真央は目を細めた。
「ほら、真央くんも立って!」
彩乃が真央の右手を取る。
左側にいたイチゴが左手を取った。
見上げた真央は、支えてくれる仲間がいることを改めて思い知った。
時間はかかるかもしれないが、コータを必ず復活させるということが、
逆に心を強くした気がした。
真央は再び立ち上がる。




