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アクチュアリー ―封印都市アクトリア―  作者: ブラックななこ


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32/76

絶望の底で灯る炎

タツヤが加入したパーティは、強力になった。


レベル2になり、タツヤが覚えた照明魔法“ミルマ”が迷宮の闇を押しのける。

これまで見えなかった先の通路まで、淡い光が届くようになった。


探索は順調だった。

経験値も、金も、着実に積み上がっていく。


そして彼らは、次の蘇生で、

パーティをさらに強化しようと教会へ向かった。


誰もが、このまま順調に強くなっていけると信じていた。


――だが――




―――ナゼール教会 地下祭壇


「おい、おい! ウソだろ!?」


真央は祭壇の上にある“灰”を、手をついて凝視する。

さっきまであったコータの体が“灰”になったからだ。


真央は次の瞬間、司祭の首をつかみ、捻り上げる。


「てめえ、何失敗してんだよ!!」


「これも神の導きです。神が与えた試練でしょう。」


「金取って、言うことはそれかよ!!」


彩乃は灰になったコータを見て、口を押さえて震えている。

イチゴとタツヤは、慌てて真央の腕を押さえ、司祭から離す。


「お、おい、真央、何やってんだ!?」


「もう一度、蘇生されますか?」


その問いに、真央は顔が青ざめ、崩れ落ちるように跪いた。


「・・・そ、それを聞くのか・・・・・・」


「どうしたんだ?

なんで、そんな絶望するんだよ?」


蘇生されたばかりのタツヤは、この世界のルールを知らない。

真央がここまで怒り、絶望の淵に立っている理由が分からなかった。


「もう一度・・・もう一度蘇生を失敗したら・・・この世から消えるって・・・・・・」


彩乃が青ざめながら、タツヤに教える。


「う、ウソだろ!? 本当なのか真央!? イチゴ!?」


「お、オレは聞いただけだから・・・・・・この世界のルールとして・・・

それが本当なのか知らない・・・」


イチゴはそう答える。


「真央! 本当なのか!?」


「・・・アクトの世界だと・・・次の失敗は・・・・・・消滅だ・・・」


タツヤは司祭に歩み寄って尋ねる。


「・・・次、失敗したら・・・本当に消えるのか?」


「是。神は二度の失敗を許しません。」


司祭は淡々と答える。

そこに何の感情もなかった。


「蘇生を続けるならば、金を三百」


タツヤも愕然として、膝を揺らしながら後ろに後ずさりする。


「さっきの蘇生が金五十枚で、次は三百枚だって?」


「どうされますか?」


司祭はゲームのメッセージのように冷たく確認する。


「今、そんな金はない!!」


真央が叫ぶ。


司祭はその答えを聞くと、後ろの棚から革の袋を持ってきて、

祭壇の上にあった灰と残った衣類を袋に詰めていく。


小さなホウキを手に取り、祭壇の灰を全部集めると、

袋に封印を施し、地下室の奥へと持って行った。


冷気が漂う地下室に長い沈黙が流れる。


「・・・コータの運命を・・・・・・オレは決めるなんて無理だ・・・・・・」


ブルブルと震えながら、真央が絞り出すように吐いた。

彩乃が真央のそばに行き、同じように跪いて、目を伏せ肩を抱く。

何も言わない。いや、言えなかった。


イチゴがその二人を後ろから抱く。

手に力を込め、ブルブルと震えたあと、ふっと力が抜けた。


「とりあえず、ここを出ようよ~・・・ここにいると気が滅入るよ~・・・」


二人は頷き、ゆっくりと立ち上がった。

イチゴは二人と肩を組んだまま、階段へと導いていく。


タツヤは一人残り、祭壇を見つめる。

絶望が、恐怖が、親友を失う可能性が胸を締め付けた。


「・・・こんなのってありかよ・・・」


そこに司祭が、祭壇の奥の闇の中から戻って来る。

司祭がタツヤに気づき、横を通る際に声をかけた。


「蘇生は、その人の運が大きく作用します。我々は神に祈りを与えるだけです。」


そう言って、階段を登っていく。


「う、運だと・・・運が命の重さと同等だって言うのかよ・・・」


タツヤはこぶしを強く握る。

ふと、師でもある父親の言葉を思い出す。


(絶望は決して終わりではない。そこから見える光は必ずある。

 常に真言を忘れるな。心に炎を燃やせ!)


「ノウマク・サマンダ・バザラダン・・・」


タツヤは小さく真言を唱える。

胸の奥が熱くなるのを感じた。


「ああ、そうだなオヤジ・・・コータは絶対大丈夫だ!」


そう言うと、タツヤは階段を力強く登っていった。


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