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第一王女を探さないで〜隠された愛と男装王女の誓い〜  作者: 国士無双
第2章:王子様、ぼくを探さないで
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天真爛漫な第一王女と特別科の王子たち

※今話は第4王子による下ネタがございます。苦手な方はご注意ください!

「ダン、わかるよ。本当にさ、見た目が可愛いもんね〜」


 胸を張ってスタスタと歩いてやってきたのは、紫髪の第4王子。


 いつもは黒猫の従魔・ロキちゃんを連れているのだけれど、今日はお一人様らしい。


 それでも、人を食ったような、ニヤニヤとした表情は変わらない。


 突如、ぼくの目の前で立ち止まったかと思ったら、大きな声で叫んだ。


「サラちゃんは、あそこ(陰部)の大きさ、どれくらいなの?!」

「な……っ!?」


 初っ端から予想の斜め上を行っている悪趣味な質問に、ぼくはフリーズしてしまった。


(な、何を言ってるの……? 怖すぎるよ……!)


 張り詰めた空気の中、ダン先輩が椅子から立ち上がり、第4王子の勢いに負けない大声を張り上げる。


「ノイラッ! わたしの大切な後輩に変な質問をしないでくれないかッ!」

「男同士の、純粋な好奇心だよ? ねぇ、サラちゃん。もし良かったら、おれと一緒に――」


 第4王子がぼくの顔を覗き込もうと迫ってきたため、身の危険を感じたぼくは、とうとう伝家の宝刀を抜くことにした。


「嫌です! それに第一王女様や好きな女の子の前でそのお話をしたら、ドン引きされて、一生嫌われますよ!」


 深掘りされたくない。


 ぼくの本当の正体は第一王女だ。


 だからこそ、思いっきり本音をぶちまけた。


 むしろ、「第一王女に嫌われる」って言われたら、第4王子がどんな反応をするのか、試してみたかった。


「ま、待って……。本当に……? 嫌われる……?」

「わたしは……第一王女に嫌われたら、永遠に立ち直れないな……」


 まさかの、ダン先輩まで頭を抱えてショックを受けていた。


 二人とも、頭上に重たい岩でも載っているかのように、ズッシリと項垂れている。


(ど、どうしよう! ちょっと言い過ぎたかも?)


 それでも、直ちに、ぼくはここから身を引いたほうがいい。


 男なのか確かめさせてくれ、なんて言われて、身体を調べられたら……。


「ごめんなさい! お先に失礼します!」

 

 第一王女だとバレるわけにはいかないんだ。


 大急ぎでテーブル席から立ち上がった、その時。


 ――ゴツンッ!


「痛っ!」

「うぅっ……!」


 前屈みになっていた第4王子の顎と、ぼくの頭が思いっきりぶつかり合った!


(ツイてない。ちょっとフラフラするかも……)


「サラ! 危ない!」


 ダン先輩が慌てて手を伸ばしてくれたけれど、その前に、痛みに耐えた第4王子が「おれと遊ぼー!」とニコニコしながら、ぼくの体に触れようとする――。


 ぼくは怖くて、目を閉じた。


 すー……。


 なぜだろう。


 体がふわふわしている。


 でも、ぼくはこの浮遊感を知っている……。


「大丈夫か」

「あ、はい……」


 ゆっくり目を開けると、ぼくはテーブル席から数歩離れた廊下に瞬間移動していて、誰かが、ぼくの両肩にそっと大きな手を添えて支えてくれた。


「あぁっ……!」


 振り返って、後ろにいる人物の顔を見上げたぼくは、雷に打たれたような衝撃を覚え、ギクッと肩に力が入る。


「あれー?! ダルテがどうしてここにいるわけ!」


 ぼくと入れ替わるように、テーブル席に腰を下ろした第4王子が、首を傾げながら声をかける。


「図書館に用があってな……」


 ぼくの背後で立っていたのは、赤髪に真紅の瞳の第3王子。


 紛れもなく、ニコくんのお兄さんだ。


 でも待って。


 お兄さんの名前は、『エスプレッソ・ヘパリ』だった気が……。


 本当は、『ダルテ』っていうお名前なの?

 

「……俺は君の味方だ」


 情報過多で処理できず、ぼくがキョトンとして固まっていると、ニコくんのお兄さんが右手でぼくの頭を撫でてくれた。


 一瞬、穏やかな雰囲気だったけれど、第4王子に向き直ったお兄さんは、冷徹な眼差しをしていた。


「ちょっとー! ダルテ! 味方って、何の話をしてるの?」

「ノイラ、この少年の言う通りだ。君のお下劣なジョークを、第一王女様が耳にしたら……結婚相手の候補から除外されるだろうな」


(あれ! ぼくと第一王女が別人だと表現してくれている? もしかして、ぼくの正体を隠してくれた……?)


「第一王女と結婚できないなんて……おれはやだっ……ヴッ……」


 第4王子は椅子にもたれかかり、燃え盛る炎が消えて灰になったかのように、真っ白な顔をして動かなくなってしまった。

 

(あっ、おじさんが読んでた漫画で見たことある! 真っ白に燃え尽きてる……!)


 同じ席に座っているダン先輩も、灰と化した第4王子の姿を見て、「おやまぁ」と呆気にとられていた。


 何はともあれ、今回は第3王子が味方になってくれた。


 でも、なんで、ずっとぼくの両肩に手を置いたままなの?!


 なんて話しかければいいのかわからず、ぼくが「あ、あの……」と口ごもっていたら――。


「ダルテ、彼が困っている。手を離してあげるんだ」


 見かねたダン先輩が、第3王子を優しく窘めてくれた。


「そうだな」

「サラ、本を忘れているよ。引き止めてしまってすまなかったね。夏休み、楽しんでおいで」


 ダン先輩はテーブルの上に置いてあった二冊の本を取り、ぼくに手渡してくれた。


「ダン先輩、ありがとうございます!」


 ぼくがお礼を言うと、後ろにいた第3王子が、ぼくが持っている本の背表紙をまじまじと見つめながら、耳打ちをする。


「そうか……。ここで君に巡り会えたのも運命かもしれないな。また会おう、お(・)嬢(・)さ(・)ん(・)」


(オジョウサン!?!)


 ボンッ!


 マグマのように、ぼくの顔は一瞬で熱くなった。


「おぉ……サラの顔がまた真っ赤っかだ! ダルテ、今度は君が何を吹き込んだんだい?」

「それは――」

「は、恥ずかしいから絶対に言わないでくださいっ!」


 左手で二冊の本を抱え込み、右手でお兄さんの口を塞ごうとしたけれど、彼の身長が高すぎて、空を切ってしまう。


「惜しいな……」

「うぅっ!」


 口元を緩める第3王子。

 

 一方で、ぼくは口をムッとさせながら、ひたすら背伸びをしたり、ジャンプを繰り返していた。


「サラ、可哀想に。あっ、良いことを思いついた! 疲れただろう、わたしが君を部屋まで抱えて送ろうか?」

「っ?!」


 予想だにしなかったダン先輩のセリフに、ぼくは驚愕して、思いっきり口を開いてしまった。


(ま、まずいよ! ダン先輩がぼくの部屋に来るのは……! 部屋に女の子だってバレちゃう私物を置きっぱなしにしてる……)


「断る。ダン、今は俺がこの子と話している」

「ダルテ、わたしはこの子と一緒にアイスを食べたんだ。だから、わたしが面倒を見るよ」

「ふーん。ノイラの暴言で困っていたところを助けたのは俺だ」

「その件は恩に着る。だが、わたしは――」


 バチバチにオーバーヒートしているダン先輩と、ニコくんのお兄さん。

 

 そしてテーブル席では、さっきから真っ白な灰のまま、魂が抜けている第4王子。


 シュールでカオスすぎる光景だ。


(なんだか、特別科の王子様って面白いかも! ……って、いけない! のんびり観察している場合じゃなかった!)


 ケンカを止めたいところだけれど、二人とも190cm以上の大柄な王子様だ。


 枝豆の豆粒並みに小さいぼくは……勝てそうにない。


 今日に限って、木刀を持ってくるのも忘れちゃったし。


 うん、決めた。


 言いたいことだけ伝えて、逃げるのが一番の得策だ。


「ケンカはやめて! でも、みなさん。楽しい夏休みをお過ごしくださいませ! それでは、さようならぁあああああ!」


 ぼくは巨躯の王子たちの隙間を掻い潜るようにすり抜け、脱兎の如く廊下を全速力で走り、そのまま一般科の男子寮に戻った……。

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― 新着の感想 ―
特別科の王子様たちが勢揃いして、かなり賑やかで楽しかったです(〃^∇^)b ノイラ王子の初っ端から飛ばしすぎな質問には笑いました。サラちゃんが「第一王女様に嫌われますよ!」と本音をぶつけた途端、本人…
 ノイラ(ジョー)立つんだ!と、私が丹下さんになりながら、  ダン先輩の「あらまぁ」で大笑い。ニヤニヤと読んでました╰(*´︶`*)╯♡  第二王子〜第四王子まで豪華キャストの出演。ありがとうござ…
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