2-14 重い
数日が過ぎた。
学校にも、少しは慣れてきたかな。
クラスメイトたちも、事故のことを知っているからか、何かと気にかけてくれる。
「永田さん、次、移動教室だよ」
「うん、わかった」
「購買?ああ、そっちの階段降りて右に行ったところだよ」
「あ、ありがとう」
「学食なら、1階の廊下をまっすぐ行った突き当たりだよ」
こんな感じで、みんな優しい。
話しかけると、普通に答えてくれる。
向こうから声をかけてくれることも。
でも、話しているうちに、なんとなくわかってきた。
理真……これまで、あまり自分から中に入っていかなかったんじゃないか?
この子達……あるいは、他の人と、あまり深く関わってなかったのかも。
そんな事を考えながら、学校を出た。
「さて、今日の晩ご飯、どうしようかな」
冷蔵庫の中を、思い出してみる。食パン、卵、漬物、あといくつかの野菜、冷凍庫にうどん……
…………。
「なんか、自炊するって言ってた割に……」
それまでの食生活から、大して進歩してないような。
料理のレパートリーとか言うよりも、これは……
「米、炊いてないな」
うどんやパンも悪いわけじゃないけど、やっぱり。
「米、買おう」
そうと決まれば、早速スーパーに……
「って、炊飯器も要るな。となると、量販店か」
スマホで調べて、近くの店に入る。炊飯器のあるコーナーまで来た。
「……まあ、3合炊きで充分か」
一人なら、それで十分だろう。
棚に並んでいるものを見比べる。シンプルなもの、高性能のもの。
かまど炊きとか、美味しくなりそうだな……
「……っと、待った」
これも、理真の部屋に置く物になる、んだよな……。オレが勝手に選んで。
この前、鍋や食器も、勝手に買ったんだ。あまり高いものを買っていいもんじゃ、ないだろう。
結局、シンプルな小さめのものを選んだ。
店員に、自宅まで発送するか聞かれたけど、この程度なら持って帰れるだろう。そんなに大きくないし。
……と、思ったのだけれど……
「け、結構重いな」
店から出て歩く途中、何度か腕が疲れて持ち替える。
これくらいの荷物、軽く持てるはずなんだけど……?
「……あ、そうか」
いまは、理真の身体だからか。
つい、元の自分の感覚で考えてた。
「気を付けないとな」
……荷物、一回置きに帰ろう。
米も買うつもりでいたけど、予定変更。一度部屋に戻り、荷物を下ろした。
キッチン近くに新たに置かれた、炊飯器。
鍋や食器に並んで、また少し物が増えたな、と感じた。
改めて、冷蔵庫の中を見る。
「やっぱり、野菜が少ないよなぁ……」
そこで、ふと思い出す。以前よく通っていた、直売所。
「あそこ、今の時間、まだやってるよな」
畑でとれた野菜や、隣接する工房で作った薄揚げなんかが、美味かったんだ。
「久しぶりに、あそこで野菜、買いたいな」
時計と、電車の時刻表を確認する。まだ、間に合いそうだ。
「よし、行こう」
財布とスマホを持って、再び部屋を出た。




