2-8 夢
……ふう。
部屋に入り、靴を脱いだ瞬間、どっと疲れが出てきた。
やっぱり、緊張してたんだな。でも、なんとか乗り切れた……。
着替えるのも億劫で、そのままベッドに座り込み、身体を横たえる。寝るつもりはないけど、少しだけ……。
……美鈴が見たら、行儀悪いよ、と窘めてきそうだな。
……火葬はもう、終わっただろうか。
自分の……火葬。
これで、本当に……終わったんだな。
美鈴。
大丈夫かな。 通夜の後、眠れたかな。
優人。
寂しがってないかな。落ち着いて、いられてるかな……。
火葬の時……美鈴……泣いたかな……
——ほら、直文。こっち。優人の教室ついたよ——
——今は、朝のホームルームか。しっかり座って、前見てる。偉いぞ——
——ほら、廊下から見てないで、入るよ——
ホームルームの後は、生活単元学習。先生が優人にカードを渡して、そのカードに書かれた課題を、ひとつずつこなしていく優人。
……優人、頑張ってるなぁ。もう5年生だもんな。お、次の課題のカード、自分で受け取りに行った。凄いぞ。
——直文、顔がにやけてるよ——
美鈴に言われて、自分の表情に気づく。……しまった、ちょっと気味悪いかな……美鈴を見ると、優しく微笑んでる。気持ちは、一緒か。
優人が、課題の途中で、こちらを見た。
先生に促されて、ふたたび課題に取り組む。
しばらくすると、またこちらを見る。
得意そうに、笑った。
嬉しい。可愛い。優人の表情。ダメだ、頬が緩む。
——なんで、子供を見て笑うの?——
どこからか、声が聞こえた。
——え?だって、あんなに一生懸命頑張れるのって、凄いじゃないか——
……目が覚めた。
「しまった……寝てた」
見回すと、窓の外はすっかり暗くなっていた。
「夢、かぁ……」
支援学校の、授業参観……初めて見た時、嬉しかったんだよな……優人、誇らしげに笑ってて。
「それにしても……最後の声、なんだったんだろう」




