6。
部屋に明かりが差してきて朝を知る。
あのまま寝てしまったんだ・・・・・・。
起き上がり鏡を覗くと瞼の腫れぼったい私が映っていた。
サイテーだ。
ザブザブと顔を洗い身支度を整える。
時計を見るといつもより30分早い起床だった。
ちょうどいい。
私は手早く朝食を済ませいつもより早く家を出た。
途中、コンビニに寄り猫用のカリカリを買う。
いつもなら猫缶をあげるところだけれど、うまく会えるか分からない時間帯に猫缶をあげるのは気が引けた。もしも会えなくて時間が経過してしまったら今の時期猫缶は傷んでしまうかもしれない。ならば味が落ちるとしてもカリカリが安全だろう。
足早に向かった朝の公園は健康的で見慣れないお年寄りが朝の日差しを受けながら体操をしていたりする。いつものベンチに座りさりげなくカリカリを撒く。食べに来てくれるだろうか?
思い付いて携帯を取り出し梨華にメールする。
《おはよう。今日からランチは一人で食べようと思うんだ。ごめんね。》
すぐに返信が来た。
《おはよう。分かったよ。一緒に食べたくなったらいつでもメールして。》
《ありがとう》
結局猫には会えないまま私は公園を後にした。
会社に着くと坂下さんと北村君が談笑している。昨日の今日で胸がギュッと押し潰されそうに苦しい。私に気付いた坂下さんが満面の笑みで近づいてくる。
「桜井先輩、おはようございます。昨日の食事会残念でしたね。あの後木村さん、桜井先輩とちゃんと話してみたいってメールくれました。気になってるみたいですよ。私もふたりならとってもお似合いだと思います。」
「食事会?」
北村君に尋ねられると坂下さんが嬉々として答える。
「そう、昨日、私の友達と友達の会社の先輩の4人で食事会したんだけど、友達の会社の先輩が桜井先輩の事気に入ったみたいでゆっくり話したいって。昨日、急な用事が入っちゃって途中で抜けちゃったからって。」
「ふうん。そうなんだ。」
北村君はさして興味無さそうに答えた。
違うんだよ。
違う。
真相は違うの。
話があると誘われた先は、坂下さんがセッティングした食事会で私は確認も取られることなく木村さんを紹介されて、木村さんにこんなおばさんは嫌だって逃げるように帰られたの。心の中で弁明する。坂下さんは相変わらずの笑顔を私に向けてくる。
「後で連絡先教えますね。ほら、和樹行くよ。じゃぁまた。」
坂下さんが北村君の腕を取り去っていった。
払うでもなくされるがままに着いていく北村くんを見て満更でもないのかなと思う。坂下さんは勝ち気で明るくて何よりも可愛らしい。その場に居るだけで明るさが増すような魅力的な女の子だ。誰だってそんな子から迫られたら悪い気はしないだろう。
傷心であるならなおのこと・・・・・・。
私だって傷ついている。
坂下さんのしたことを全てぶちまけてやろうか?
ぶんぶんと頭を振り払う。
これ以上ややこしくしたら北村くんが困るだけだ。
事態がどうなろうとも静観を続けることを心に誓う。




