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遅れてすみません
「リズお姉さんって国外から来てたんですね」
取り敢えずどうやってラットと出会ったのかを話すと意外そうな顔ををしていた。
「ええ、意外かしら?」
「はい!だってどう見ても肌も綺麗ですし、森の奥にある村から来たとは思えません」
確かに裏家業で鍛えたけど肌には気を使っていた……と思う。
私の座っている席の机には夕食が並べられていた。ラットがお前呼ばわりをしたお詫びだとカウンターにいたおじいさんもとい、マリア達の祖父のグランさんが持って来てくれた。
野菜スープに黒パン、猫にも同じものを貰った。美味しいが少し足りない感じがする。久し振りにシチューとかが食べたい気分だ。
そしてラットは今私の目の前で、夕食を食べている。
ただその前にマリアがラットに正座をさせて怒っていた。なんと言うか妹には逆らえない様で、ふて腐れながらも「女性に対しての対応」を一時間も聞き、足を痺れさせていた。
「ラット、足は大丈夫?」
「ああ、もう平気だ。……一時間も正座させやがって」
「お兄ちゃんのせいでしょ?こんな美人な人を、暗い時間にほっといて……悪い人に襲われたらどうするの。それに外から来た人にはここの宿屋を紹介しといてって私は言った筈だけど?」
「……食べられない様気を付けろ、とは言っといた」
「それだけ?」
「ああ……」
マリアはラットに呆れた様子でため息をつく。
「リズお姉さん、誰かに襲われたりしませんでしたか?」
確かにあったけど、言うほどじゃないわね。
「そうね。親切にこの宿を教えてくれた人ならいたわ」
「そうなんですか。でも気をつけて下さいね。もしかしたら恩を着せて迫って来ようとするかもしれません!」
ないわね。私が殴って気絶させちゃったし……と言うかラットって門番だから衛兵なのよね?
あの時、人が来ていた足音がしたけど衛兵じゃなかったの?
「それはないわ。それに私、山奥から来たのよ?少しは鍛えてるから大丈夫よ」
「鍛えてるとはいえ女なんですから、心配しますよ」
確かに、私には筋肉が余りない。多分貴族令嬢だからか変に見えない様にワザとでしょう。
力技では押し切られる可能性が高い。
「良ければ俺が鍛錬の相手になろうか?」
そういつの間には夕食を食べ終えて水を飲んでいるラットが言ってきた。
「ダメ、お兄ちゃんはそこそこ強いんだから怪我怪我をさせたらどうするの」
「まあ騎士目指してるからな。手加減くらい分かる」
確かに鍛錬相手は欲しいし、もう貴族じゃないから筋肉をつけてもいいかもしれない。
「それなら頼むわね」
と言う事で明日の朝から鍛錬をする事になった。
早朝、木剣同士が交わる音が闘技場に響いていた。
私とラットは闘技場に向かい、手合わせをしている。マリアに猫さんも付いてきているが見学だ。
私は隠し小屋から持ってきた鍛錬用の服(長袖に長ズボン)を着ている。
ラットは真剣な表情で私に向かってくるが馬鹿正直に突っ込んで来る。
「うわっっ!」
「足元はちゃんと見てないとダメよ」
木剣を何度か交わった後、ラットの足元が手薄になっていたので足をかけて転ばした。
ラットは思いっきり転んで頭を打ってしまった。
「くっそ、お前なんでそんなに強いんだよ!」
「そんなこと言われても……経験の差?かしら」
それはもう、何年も暗殺業やってたし獣人とはいえ、一介の衛兵に勝てないと自分に自信がなくなるわ。
「ちっ……もう一回だ、次こそ勝つ」
「お兄ちゃん!何回もやってるけど負けてばっかりじゃない。諦めて朝ご飯にしよう」
「うっせえ!」
布を土の上に敷いて、朝ご飯の準備をしているマリアの提案にラットは耳を傾けずに私へと木剣を向けて突進に近い感じで迫ってきた。
序でに猫は布の上でゆったりと寝転んでいる。
「ラット、それでは犬じゃなくて猪よ?毎回突進して来るんじゃなくて工夫しなさい。そればかりやってると動きを読まれるわよ」
「余計なお世話だよ!これならどうだ」
今度は私がラットへ木剣を真横へ振りかぶると同時にしゃがみ込んで私の後ろへと回って木剣で背中を狙って来る。
しかしそれは想定済みで、私は一回転飛躍してラットの頭を掴み足を首に巻いて思いっきり締め上げた。
「ぐ、ぐえ……」
「今のは惜しかったわね」
ラットを離して私はマリア達の元に行き、朝食を食べることにした。
ラットは離した時に大の字で寝転がってしまった。
「お疲れ様です!今日はお野菜たっぷりのサンドウィッチにして見ました。どうぞ」
マリアはバスケットを取り出してコップに水を注ぐ。バスケットの中はとても美味しそうな野菜とハムなどが挟まっていた。
ただ、やはりマヨネーズなどの調味料がないためか挟んだだけのものだ。
「頂きます……美味しいわ」
マヨネーズはないが野菜が新鮮なのかシャキシャキとしている。それにハムや卵を焼いて塩で味付けしていて美味しかった。
「良かったです!それよりもリズお姉さんはとても強いですね」
「そう?私の両親には負けるわ」
「やっぱり冒険者とかになって稼ぐ予定ですが?」
「そうね……」
全く考えてなかったわ。確かにずっと働かないとお金がなくなってしまう。冒険者でも十分暮らせるんだけど普通の仕事がしたい。
「……適当に何処かの店で働こうかしら」
「それなら私たちの宿屋で働いて下さい。もしそうなら住み込みで三食付きでね、是非!」
なんか必死さが見えて来る。マリア達の店は家族経営なのか従業員がいない。
やはり人手が欲しいのかしら?
「いやいや、リズなら女騎士にもなって見るのも良いだろう」
そこはラットが自分の首を軽く触りながらやって来る。
「ううん!リズお姉さんは看板娘としていけると思うの。それにもっと一緒にいたい!」
最後の言葉が本心なのかしら?出ちゃってるけれど……。
「それならマリア達の店で働くわ。ちょうど店で働いて見たかったの」
「わーい、やった!」
「いや、だけどよ。三食付きもただってやり過ぎだろう」
喜ぶマリアに文句を言うラット。
確かにそれだと私が得するだけよね。
「その代わりに俺に剣術とか教えてくれ」
なんだ、ただ剣術の練習がしたいだけだったのね。
「分かったわ」
「よーし!それならリズお姉さんの店で働くための服を作らないと!」
宿に帰るまで服についての話をマリアから聞かされた。
なんと言うか離しているのを想像していくと、ゴスロリに似そうだったのでシンプルなものにして貰った。
なんと言うか自分で今週の終わりとか言いながら二時間くらい過ぎてしまいました。
今度からは気を付けます|д・)…




