台風直後に嵐山で伊藤若冲@福田美術館
先週は台風6号が大雨を降らしながら日本列島そばを通過していきました。
京都では6月2日の夜の風雨が激しく、3日午前にまだ雲は厚く垂れ込めていたものの、嵐は去ったという感じはしました。
で。
思ったのです。
こういうときこそ観光地が空いているのではないか、と。
全国の皆様もご存知のとおり、京都の名所は観光客であふれかえっています。
地元民としては、そんなエリアをひたすら避けて生活する毎日。
あ、言っておきますが、海外からのツーリストだけじゃなくてもちろん日本人も多いですよ。
そして、日本人観光客については、台風が来てれば観光目的の外出を控える人が多いだろうと思います(海外からだと予定を変えるのが難しいとは思いますが)。
3日はちょうど午後が空いていました。
さて。普段は激混みで近づけないエリア……どこに行こうかな?
そこでふと、嵐山嵯峨野にあるミュージアムで伊藤若冲の展覧会があったのを思い出し、嵐山に行くことにしたのです。
鷲生が嵐山に行ったのは……うーん、下手したら独身の頃(ウン十年前)にさかのぼるかも。
近いところでは、嵯峨野大覚寺(嵯峨野でも東の方)に行ったとき、バス停に来たバスに乗ったら思いがけず嵐山駅行きだったことがあって、その時に嵐電嵐山駅の近くを歩いたことがあるくらいですかね。
そのときはコロナ禍中とはいえ紅葉の季節で、その時と比べると、台風6号直後の今回の方がぐっと人出は少なかったと感じます。
台風直後で日本人は少なくなっても、外国人観光客はそれなりにたくさんいました。
で、人力車とか屋台とかがありましてね。
よく、インバウンド向けの観光産業のせいで「京都らしさ」が失われて云々と言いますが。
京都という街は観光とともに姿を変えてきた歴史もあるわけで(最近、図書館で『観光の人文地理学』という本を見つけて読みました。面白かったですよ。※1)、それも「京都らしさ」ではないかと思います。
あと、観光客がたくさんいるって、独特の活気があるなーと感じますます。
私は神戸の出身で、1月に神戸市立博物館に行ったんですけど「あれ、神戸ってこんなにさみしい場所だったっけ?」って思っちゃったんですよね。
やっぱり観光客の浮かれている空気は街を華やかにするものだと思います。
鷲生は家人の仕事の都合でアムステルダムに行くことが何度かありましたが、アムスも肌や髪、瞳の色がさまざまな世界各国の観光客がぞろぞろ歩いている都市ですが、だからこその賑やかさがある街だと思います。
で。観光地って、楽しそうなんですよ、虚心に見れば。
一口に「外国人」っつーても、200近い国と地域の方々であり地元の文化も様々です。
そんな人たちをいっぺんに惹きつけるアトラクションというのは、だれにとっても面白いものなんですよね。
私、嵐山を歩きながら思いましたもん、「あー、私もレンタル着物きて、人力乗って、屋台で買い食いしたいーっ」ってw
いや、別に日本人でもやっていいとは思うんですがw でもそこはやっぱり京都人として場違い(?)な感じがして。
あー、私も観光客になって京都観光してみたいわぁ~。
さて。
鷲生の目当ての伊藤若冲の展覧会があるのは、大堰川沿いにある福田美術館。
2019年開館の新しいミュージアムです(※2)。
伊藤若冲の展覧会の名称は「若冲にトリハダ! 野菜もウリ!」
日本美術の展覧会といえば堅苦しい名称を想像されていたかもしれませんが、グッとくだけた感じのタイトルですね。
若冲といえばアレという「ニワトリ」の絵があることと、野菜をフィーチャーした展示があるのでこういう名称になったのでしょう、。
どんな内容か、公式ウェブサイトから引用しておきます。
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2019年10月に開館した福田美術館は、江戸時代から現代にかけての美術品を幅広く網羅する豊かなコレクションで、お陰様で大変ご好評をいただいております。
なかでも注目を集めているのは、2023年にその存在が確認された伊藤若冲(1716-1800)の《果蔬図巻》です。この作品は長年ヨーロッパの個人が所蔵していましたが、一昨年日本へ里帰りし、福田コレクションの仲間入りを果たしました。
本展では約1年間の修理を終えた本作品と、《果蔬図巻》の翌年に描かれた重要文化財・《菜蟲譜》、新出作品10点を含む初期から晩年までの若冲作品約40点を一堂に紹介します。
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残念ながら重文「菜蟲譜」は展示期間でないので見られませんでしたが(今後の展示期間は6/20~7/5)、その他の若冲作品は山ほどw見ました。
いやー、鷲生の持っていた伊藤若冲のイメージってすっごく狭かったんだなあと猛省です。
鷲生は、このカクヨムでの投稿作品でお分かりのように、日本史でも古代史に関心があるだけで、江戸時代にはほとんど知識がありません。
江戸時代の有名画家や作品は、展覧会があれば鑑賞しに出かけますが、個々の画家のことまで詳しく知らないのです。
私が伊藤若冲に出会ったのは、高校生くらいの時に京都国立博物館でやってた日本名宝展みたいな展覧会。
そこで、多分「動植綵絵」でも見たんじゃないかな。
多くの色を使った緻密な描きこみ……当時の鷲生には、ちょっと偏執狂じみて見えました。
そして、以来、私は伊藤若冲に、どこか「神経質で変わり者」というイメージを勝手に持っていたのです。
ところが。
展覧会の第一室で「アレ?」とw
あ、写真はnoteに掲載しております。
https://note.com/eagle9052/n/nfbc079bf95cd
確かに最初の方の「蕪に双鶏図」は鷲生の若冲イメージどおりの絵なんですが、墨絵がいっぱい……。
まあ、若冲だってカラーばかりじゃなくてモノクロも描くこともあったんだろうなと真面目な作品を見ていると、真面目っちゃ真面目だけどグッとデフォルメが効いている作品もあります。
そして、「托鉢図」なんかむっちゃユーモラスやん!
托鉢に回るお坊さんたちの列が、互いに会話していたり、あっちこち向いていたりと見ていて楽しい作品です。
2階に回ると、おおお!と。
出入り口正面に、「三十六歌仙図屏風」。
三十六歌仙の絵といっても、お澄ましなんか全然してなくて……。
ええっと、どんな絵かAI君の解説を下に引用しておきます。
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伊藤若冲が数え年81歳(寛政8年/1796年)の時に描いた晩年の水墨画の傑作に《三十六歌仙図屏風》があります。伝統的な和歌の名手36人を、当時の市井の風俗や日常のパロディとしてユーモラスに描いた、若冲らしい遊び心にあふれた作品です。若冲の《三十六歌仙図屏風》の特徴驚きのパロディ描写: 尊い存在であるはずの歌仙たちが、煙管をふかしたり、お餅を焼いたり、豆腐田楽を作ったり と、思い思いにくつろぐ姿が描かれています。
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↑この引用に「若冲らしい遊び心」ってあって、鷲生は自分のもの知らずを思い知らされます。こんど、時間のある時に江戸時代の日本画家についてもちゃんと調べっておこう……。
そうそう、今日本絵画の本を図書館で借りているんですよ。
今週末に読めればいいなと思います(※4)。
今回の展示の目玉の一つ、「野菜もウリ」の「果蔬図巻」もちゃんと見られました。
(「菜蟲譜」は展示期間でないので見られませんでした)
どちらも野菜の絵です。
この2つについて公式ウェブサイトからの説明を引用します。
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「《果蔬図巻》は、京都・錦市場の青物問屋に生まれ、生涯を通じて身近な食材に深い愛情を注いだ伊藤若冲が、約3メートルの絹本に色とりどりの果物と野菜を描いた作品です。この巻物の末尾には、若冲の精神的支柱であり、最大の理解者でもあった相国寺の僧侶・梅荘顕常(大典)による跋文(後書き)が添えられています。一方、《菜蟲譜》は、《果蔬図巻》の翌年に描かれたもので、国の文化財に指定されている晩年の代表作です。」
「2023年にその存在が確認された伊藤若冲(1716-1800)の《果蔬図巻》です。この作品は長年ヨーロッパの個人が所蔵していましたが、一昨年日本へ里帰りし、福田コレクションの仲間入りを果たしました。
本展では約1年間の修理を終えた本作品と、《果蔬図巻》の翌年に描かれた重要文化財《菜蟲譜》」
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野菜のラインナップが、「昔は食べていたけど今は食べていない」野菜もあれば、「あれ、これ、江戸時代から食べてたんだ」という野菜もあり、食の歴史を考えるうえで興味深かったです。
また、この「果蔬図巻」の並びに、「涅槃会」のキャラを野菜で描いたものもありました。
そして、最後は、墨の線だけで鶏をイッキイキ描いている屏風。
ほんと、さっと描いた線だけで、動きを表現できて、ただただスゴイ……。
公式サイトにはこのような文言があります。
「細かく丁寧な色彩表現と、ユーモアあふれる水墨画――その両極を自在に行き来した、若冲の飽くなき探求心が生み出す作品をご堪能ください。」
いや、ほんま。
伊藤若冲って本当に幅広い絵を描いていたんですね……。
あと交友関係も広くて(友達と一緒に淀川の川下りをした絵も残ってる)。
鷲生が勝手に持っていた「偏屈そう」なイメージは完全に崩れ去りましたw
伊藤若冲が好きな方は、ぜひぜひ足を運ぶべき展覧会だと思いますよ!
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※1 『ニュー・ベーシック観光学 観光の人文地理学 ―観光地の見かた・とらえかた―』 2025 有馬 貴之・菊地 俊夫(編著) 朝倉書店
https://www.asakura.co.jp/detail.php?book_code=16366&srsltid=AfmBOooUhKcuYBruYBI_rSCey9Jp9JQuHvtIU8TnQwUtyRTtCCwaTvnM
※2 福田美術館
https://fukuda-art-museum.jp/
※3 福田美術館 「若冲にトリハダ! 野菜もウリ!」
https://fukuda-art-museum.jp/exhibition/202512264487
※4 京都国立博物館「北野天神」展や、この福田美術館のグッズ売り場で売られていた書籍を図書館で借りています。
今手元にあるのは
『見かたがわかればもっと面白い!日本絵画の教科書』2023 古田亮監修 ナツメ社
https://www.natsume.co.jp/np/isbn/9784816374395/
また、今後読みたいのは
『画題で読み解く日本の絵画』2014 佐藤晃子 山川出版社
https://onlineshop.yamakawa.co.jp/product/15063




