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京都に住んで和風ファンタジー(時には中華風)の取材などする日記  作者: 鷲生 智美


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「完璧やで!」&「偶然過ぎる?落雷問題」@京博「北野天神」展

 現在、京都国立博物館で「北野天神」展が開催されています(※1)。


 ほら、皆様も受験の時には「天神さん」「天満宮」にお参りに行って、お守りとか貰ってこられたでしょう? 

 あの天神さん、つまり菅原道真です。


 学問に優れていた菅原道真。

 政敵・藤原時平に敗れ、九州の大宰府に左遷されてそこで没するものの、恨みを抱えて雷を操る怨霊となり、京の都に復讐を果たしに現れる……。


 皆様も日本史の教科書・資料集で「黒雲に乗った雷神が寝殿造りの貴族たちに雷を落としている」絵巻の絵をご覧になったことがあるはずです。


 ソレですよ、ソレ。

 それの実物が京都国立博物館で展示されてるんです。


 同じような内容の「北野天神絵巻」はたくさんあり、今回の京博にも複数種類が登場しています(重文)。

 その中でも国宝になっているのが「承久本」。

 みなさんが歴史の教科書や資料集で見たことがあるのもこの承久本です。


 この承久本、実物を見てまず思うのが「デカい」。

 この展覧会公式サイトによれば縦52㎝だとか。

 普通の絵巻はそれより小さい……ええと、具体的な数値は鷲生も知らないのでAI君に聞いてみたところ30㎝から40㎝だとか。うん、鷲生の体感とも合致します。

 一般的な作業用のデスクが奥行き50㎝から60㎝なので、それのほぼ全面を覆う大きさだとイメージしてください。

 ね、かなり大きいですよね。


 どうやってそんな大きな絵巻になっているのか。

 一般の絵巻とは紙の継ぎ方も異なります。以下は、所蔵元の北野天満宮のウェブサイトからの引用です。


 *****

 根本縁起とも呼ばれるこの絵巻の特徴は、なんと言ってもその画面の大きさです。普通の絵巻では料紙が横に継がれているのに対して、承久本は料紙を縦にして継がれており、縦50センチメートルを超える大画面は、ダイナミックな筆致の絵と相まって圧巻です。

 *****


 大きさって、やはり「迫力」とダイレクトに結びつきますね。

 youtubeの動画でも、スマホ、タブレット、ノートPC、大型モニターとなるにしたがって「迫力」出ますやん?

「大きさは正義」なんですよね。


 しかも。

 北野天神絵巻(承久本)の迫力は、「大きさ」だけではありません。


 上記の引用にも「ダイナミックな筆致の絵」とあるように、上手いんですよ、絵が。

 イッキイキ動いてるんですよね、中のキャラが。


 こういうのを見ると、Mangaは日本の伝統なんじゃないかと思います。

 漫画『極主夫道』見てると、お話がおもろいだけでなく、1枚の止め絵として見ても「上手いなあ」と思うんですよ(現役高校生だった子どもも同じこと言うてましたw)。

 作者のおおのこうすけさんは、京都精華大のマンガ学科出身で、やっぱり画力がしっかりしてはんねやなあ~と。


 そういう、マンガとかで「あ、この絵上手い」って思うような、人を惹きつけるような上手さが、北野天神絵巻(承久本)にもあるんですよ。

 マンガの源流に鳥獣戯画が取り上げられますが、アレ以外の各種絵巻にも「ああ、マンガの国の文化財だよなあ~」と思うものは多いと鷲生は思います。


 で。

 日本史の教科書なんかでおなじみの、雷神の天神様が清涼殿に黒雲に乗って現れるシーン。

 対する時平が刀を抜いて立ち向かっているので、「時平抜刀」シーンとも言います(展覧会公式サイトで見られます※2)。


 この京博の「北野天神」展は、国宝の承久本を気前よく見せてくださる展示ですが、このシーン(第五巻第四段)26~31日の5日間で短めです。

 鷲生は混雑を避けて夜間開館を狙いましたが、やはり「時平抜刀」には列に並ばないと見れませんでした。


 そして、絵巻というのは向かって右から見ますし、右から列が進んで行くので、絵巻を手にした人が絵巻を眺めるのと同じように(右手で繰り出し、左手に巻き取りながら見ます)、右から順番にキャラを見ていくわけです。


 また、そこにいるモブキャラの動きもイイんですよ。


 昨年、鷲生はフランスに美術館巡りに行ったんですが(※3)。

 大枚はたいて行くにあたって、日本で予習をしまくった中に『名画というのは視線の誘導が上手い』と解説する本がありましてね。


 登場人物が何かを指し示してたらそっち見ますやん?

 これほど明示的でなくても、物の配置や衣のたなびき方で、自然と目の動きって、絵に誘われるんですよ、確かに。


 この『北野天神絵巻(承久本)』の時平抜刀シーンでも、警備の人たちが「うわあ!」って感じで外に逃げている場面から、もうちょっとエライ感じの装束の人がすっころんでたり、駆け出していたり、寝殿の高欄からジャンプしてたり(黒の袍だからかなりエライキャラ)して、その躍動感たっぷりのリズミカルな動きを目で追っていて、ふっと見上げたところに、雷神登場。


 思わず口から言葉が転げ落ちました。

「完璧やで……」

 鷲生は一人で見に行って知り合いも誰もそばにいないのに、結構はっきりと、そう声に出してしまったのです(恥)。


 黒の袍のおそらく大臣クラスが派手に高欄から吹っ飛んでる、その原因を追って目をやった先に、その位置、大きさ、色、造形が「こうでなくっちゃあ!」とドンピシャな感じの雷神が、ピカピカ稲光を発してドーンと座ってるんですよ!

 なんか射抜かれるような、そんな感覚がありました。


 いやあ、エエもん見られましたわ~。


 実物は京博でも短期間の公開でしたが、北野天満宮所蔵のものですから、北野天満宮でまた見られる機会があるかもしれません。

 また、平安京の巨大模型がある平安京創生館という施設にデジタル技術による複製があるそうです(ここには巨大&学術的な裏打ちバッチリな平安京の模型があり、これも皆様は日本史か古文の教科書・資料集で見たことがあるハズですよ※4)。


 さて。


 鷲生は前から、この「菅原道真が怨霊となって雷を操り、清涼殿に雷を落として政敵を死に追いやった」というストーリーに触れるたびに「そんなに都合よく落雷がおこるもんなの?」と不審に思っていました。


 現代の京都も雷は落ちますが、たいていは避雷針のあるどこかに落ちてるんでしょう。

 平安時代に高層ビルや避雷針はなかったですが、寺院の塔はありました。

 また、清涼殿よりは紫宸殿が、当時であれば朱雀門などの他の建物の方が高かったのではないでしょうか。

 そんな中で、なんでまたよりによってピンポイントで清涼殿に落雷するの?


 あるとき、そんな鷲生にとって納得のいく解説を見かけました。


 日本刀に何らかの霊力があると考えていた昔の人が、雷がゴロゴロとなりだし「道真公の怨霊が来た!」場面で、「怨霊退散!」と刀剣を振りかざす……そりゃ、尖った金属を雷に向けてるんだから、そこをめがけて雷が落ちるも当然……。


 鷲生は「なるほど!」と腑に落ちたんですよ。

 しかしながら、どこの誰の見解としてそれを見聞きしたのかが思い出せないw


 こういうときこそAI君の出番です。

 聞いてみましたよ、Google検索でGemini君に。


 質問:あんなに都合よく清涼殿に落雷することが不思議だったのですが、どこかで、「刀剣で怨霊を退治しようと刀を振り回すから、そこに落雷したのだ」という見解を見ました。誰の見解か分かりますか?


 AI君の回答は、(いろいろ文章は前後に続きますが)要は「俗説です」とのこと。

 ……ええー、なんか画期的な説明だと思ったのに、ちぇっ。


 やはり、落雷事件は怨霊道真公の霊力の賜物……ということになるんでしょう。


 ちなみに、道真公は弓術にも優れ、武芸の神様としても尊崇されたために、北野天神展には奉納された甲冑や刀剣の展示もありました。


 甲冑や刀剣は鷲生の興味の対象外なんですが、今回の京博の「北野天神」展において、ある意味、国宝「北野天神絵巻(承久本)」と並ぶ目玉展示だったのが刀剣。


 なんでも「髭切」「膝丸」の二つが名高い刀剣なんだそうで(よく知らなくてスミマセン)。

 これらが展示されている部屋だけ撮影可。

 刀剣もライトアップされてましたw


 この京博の「北野天神」展、オンラインゲーム「刀剣乱舞」とコラボしており、館内のそれ関係のイラストがあり、付属カフェでもコラボメニューがあるようです。


 確かに、「刀らぶ」ファンなんだろうなーという女性陣が熱心に「髭切」「膝丸」に見入っている姿が目立ちました。

(鷲生の行く時間帯によるのか、元からの刀剣好きらしい渋い観客も多かったですよ)。


 平安時代の古式ゆかしい展示物から、各種「北野天神絵巻」(国宝&重文)、「刀らぶ」ファンを誘う名刀、それから「芸能の神様」ともされたために能の仮面や衣装など。

「北野天神」の信仰の多彩な拡がりを示す、盛沢山な展示でした!


 *****

 ※1 京都国立博物館 特別展 「北野天神」

 https://www.kyohaku.go.jp/jp/exhibitions/special/2026_kitano/


 ※2 展覧会公式サイト:特別展「北野天神」

 https://kitano-tenjin2026.com/

「時平抜刀」シーンは、トップページの右上、真っ先に目に入るところにあります。


※3 旅行記はコチラ↓

「パリの京都人」

https://ncode.syosetu.com/n4467lk/


※4 京都市平安京創生館

https://asny.ne.jp/souseikan/index.html










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