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京都に住んで和風ファンタジー(時には中華風)の取材などする日記  作者: 鷲生 智美


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中国明代『本草綱目』初版本の実物・なんでも鑑定団・京都府立植物園

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 今回はこの3つのワードが絡むお話です。

 中国明代『本草綱目』初版本、なんでも鑑定団、京都府立植物園……さて、どんな話になるのでしょう?


 簡単に言えば、京都府立植物園が、所蔵していた『本草綱目』を「開運!なんでも鑑定団」に出し、初版本(金陵本)であるなどの理由で一億円!の鑑定額がついた、というお話。

 これはスゴイ!


 この『本草綱目』(金陵本)の実物が、2026年5月8日(金)から5月17日(日)まで公開されているので、鷲生もお出かけして見てきたのです(※1)。


 なんで京都府立植物園が持っているかと言いますと。


 他地域の人はごぞんじないかもしれませんが、この植物園は「日本最古の公立植物園」にして「約24万㎡(甲子園球場約6個分)」の広大な土地に1万種以上の植物があるという日本有数の歴史と規模を誇ります(※2)。


 この『本草綱目』(金陵本)は、開園したときの京都府知事を記念したコレクションに、エライ植物学者の白井光太郎氏が寄贈したもの(この白井氏の前には、紀州の本草家が所蔵していたそうです)。


 本草綱目とは、中国明代に出版された、今でいうところの百科図鑑のようなもの。


 展示会場に「開運!なんでも鑑定団鑑定士八木 正自先生によるコメント」が掲示されていたので引用しますね(コンパクトにまとまった解説なので)。


 *****


 中国明時代に出版された初版本、いわゆる金陵本。


『本草綱目』は、作者の李時珍がたった一人で52巻もの壮大な書籍を書き上げ、世界の医学、博物学を大きく発展させた歴代中国刊行書の中でも大変優れた貴重な本で、その初版本には大変な価値がある。

 ダーウィンも著書「種の起原」の中で数カ所にわたって本草綱目を引用しており、「中国古代の百科全書」 と称賛している。


 2011年には「中国伝統医学の歴史において書かれた最も完全で包括的な医学書」としてユネスコの世界記憶遺産にも選ばれた。

 初版本が全52巻のうちほぼ揃いで残っているのは世界で8組しかないとされ、 本家の中国にもわずか2組、米国議会図書館に1組、残りの5組は全て日本にあり、 依頼品はその内のひとつ。


 本草綱目は、度々復刻されているが、依頼品には発行した胡承龍の名前やその住所である金陵の文字が記されており、初版本であることがわかる。

 日本の植物病理学を開拓した植物学者 白井光太郎の旧蔵本で、これを寄付する旨を記した自筆の文も貼られている。

『本草綱目』は、江戸時代の本草学者 小野蘭山がこれを元に日本独自の品種を加えた『本草綱目啓蒙」を享和3年(1803)に48巻で刊行したり、その他にも別の作者によるものが6種も刊行されており、日本に於いてもその影響力は多大て、 本草学に留まらず、植物学へも波及した。


 *****


 この鑑定結果を受けた京都府立植物園としては、今回の展示の出口付近の掲示物で、以下のように述べておられます。


 *****


『本草綱目』(金陵本)とは

 - おわりに -

「開運!なんでも鑑定団」における今回の鑑定は、古書の価値を単なる高額査定に還元せず、医学史・書誌学・文化史の文脈で捉え直す好例となりました。『本草綱目』(金陵本)は、単なる古典籍ではなく、東アジアの知の歴史を物語る重要な資料です。

 本書が今日まで保存されてきた事実は、京都府立植物園 (京都府)の財産にとどまらず、文化的意義を持つものであり、これからも慎重な保存と学術的活用が望まれます。

 今後、アーカイブ化を進め、幅広い活用を目指すとともに、 時には特別展などを開催し、来園者の目に触れる機会も持ちたいと考えています。

 結びに、大森文庫の設立や古書籍の収集にご尽力いただき、また世界的に貴重な『本草綱目』(金陵本)をご寄付いただいた白井光太郎博士に、感謝の意を表します。


 *****


 ↑

 この文面から感じ取れるかと思いますが、京都府立植物園、わりと学術色の強いところなんですよ。


 質量ともにレベルの高い植物園でありながら、近年は入場者数が減ってきており、それが今回テレビ番組に鑑定を依頼した原因だそうです。


 展示会場入り口の掲示では、「令和7年7~9月の入園者が前年より2割ほど減り、それで予算が削られるかも」という危機感を持って鑑定に出し「お宝なら展示してお客さんを呼び込もう」と思われたんだそうです。


 鷲生はこの日記エッセイにたびたび府立植物園の探訪記を書いておりますが、確かに「府立植物園があるのは知っているけど行ったことない」という人も多いようには思います。

 これをきっかけに、市街地にこうも緑豊かな植物の宝庫があるということはよく知られてほしいなと思います。


 また、鷲生が府立植物園にしょっちゅう行くのは、和風中華ファンタジーを書く上で、作中に登場させる植物の実物が見たいからなんですよね。


 和風や中華風ですから、昔からアジアにある「漢字で書く植物」を見たいワケなんですよ。

 その点、京都府立植物園は、京都にあることから日本の自然を再現した植物生態園なんかもあってとーってもありがたいです。


 今回の『本草綱目』の件も、アジアの植物、その人間との歴史的かかわりを記した一級資料ですから、鷲生の興味関心とわりと近いんですよね。


 鷲生は『本草綱目』は名前だけ知っていても、それ以上の深い知識はないんですが、これを機にちょっと調べてみようかと思います。


 てなわけで。

『本草綱目』をキーワードにしてカーリルで検索してみたら。


 こんな本が出てきました。

『[現代語訳]和語本草綱目 抄訳』岡本 一抱 原著 千福 貞博 編訳


『本草綱目』を江戸時代の日本人が再編集して、それの現代語訳の抄訳といった感じの本のようです(私もたった今見つけたばかりでよく分かっていないです、スミマセン)。書誌情報などはこちら→※3


 この出版社は中医学の本を出しているようです。

 鷲生は中華ファンタジー資料本を紹介するエッセイをカクヨムに連載しているので(※6)、何かいい本が見つかったらそちらでご紹介しますね。


会場の写真撮影は可でしたので、展示中の『本草綱目』(金陵本)の実物も、その他解説パネルもぜーんぶ写真撮ってきました。

まとめてnote記事に掲載しております→ https://note.com/eagle9052/n/n6780f31965e7


 *****


 ※1 京都府立植物園公式ウェブサイト イベント「【5/8(金)~5/17(日)】「本草綱目」特別展示会」

 https://www.kyotobotanicalgardens.jp/ibentoqing-bao-2/%E3%80%8C%E6%9C%AC%E8%8D%89%E7%B6%B1%E7%9B%AE%E3%80%8D%E7%89%B9%E5%88%A5%E5%B1%95%E7%A4%BA%E4%BC%9A


 ※2 京都府立植物園公式ウェブサイト

 https://www.kyotobotanicalgardens.jp/


 ※3 『[現代語訳]和語本草綱目 抄訳』2026 岡本 一抱原著 千福 貞博編訳 東洋学術出版社

 https://www.chuui.co.jp/book/003128.php


 出版社のウェブサイトの紹介文を引用しておきます。

 *****

『本草綱目』を日本の臨床へ―― 江戸随一の実用薬物書,現代語で甦る。

 江戸時代の医師・岡本一抱が,中国の大著『本草綱目』を日本人医師の実践に役立つ形へと再構築した『広益本草大成』(別名『和語本草綱目』)。本書は,その“千福流”現代語訳。

 *****

 ↑

 千福貞博さんは、大阪医科大を卒業された医師のようです。

 漢方にお詳しいようで、ツムラでレクチャーされるというイベントの告知記事がでてきました。https://medical.tsumura.co.jp/sites/default/files/media_document/lecture_20250622.pdf


※6「中華ファンタジー・中華後宮モノを書きたい人への資料をご紹介!」

https://kakuyomu.jp/works/16817139556995512679

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