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京都に住んで和風ファンタジー(時には中華風)の取材などする日記  作者: 鷲生 智美


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25/30

神仏習合の妖しい迫力「吉野・大峯」展@奈良国立博物館に行きました!

 奈良国立博物館にて開催中「吉野・大峯」展に行ってきました(※1)


 鷲生は神戸生まれ育ち、学生時代以降はずっと京都に住んでウン十年(途中で東京に2年いましたが)。


 今でこそ神戸と奈良との間に私鉄が直通で走ってたりしますが、鷲生が神戸にいた頃はそんなものはなく、かなり不便でしたから、神戸から奈良に行ったことがほとんどありませんでした。


 京都から近鉄奈良駅までは気軽に行けますが(東大寺や奈良博があったり、途中の西大寺駅には平城宮跡歴史公園があります)、それより南にはほとんど行くことがありません。


 というわけで。

 鷲生はいまだ、奈良の南の方にある、吉野・大峯にはまだ行ったことがありません。

(行ってみようかなーとGoogleMapでルートを検索したら3時間ちかくかかるそうです。東京駅に行くのと同じくらいw 奈良国立博物館と金峯山寺の位置関係については※2)。


 行ったことがないと、知識も得る機会もなかなかなくて……。

 私は平安ファンタジーを書くので、藤原道長が参詣した場所だということは知っていましたが、それくらいの予備知識しかなかったです。


 その、吉野の金峯山寺で主に祀られている蔵王権現。

 仏教に紐づけられていますが、実は日本で生まれた仏様なんだそうですね(スミマセン、もの知らずで)。


 開祖はアノ役小角。

 修験道の本場です。


 今回、奈良国立博物館で開催されている「神仏の山 吉野・大峯」展。

 しょっぱなから役小角が前鬼・後鬼を従えている像から始まります。

 二種類あったと思いますが、両方とも鬼は片方が斧、片方が瓶を手にしていました。


 南北時代の大峯八大童子立像。

 人間の膝丈くらい(のように思えました)で、とても動きがあります。

 ↑

 和風ファンタジーで、小さな異形の神々が隊列を成して動いている場面って何かに使えそう。


 この展示室には国宝・日本霊異記が!

 平安時代10世紀のもので、興福寺所蔵です。

 書かれている文字が、実用的な書体というか……。

 例えば、奉納するお経はカチッとした楷書ですし、美術品としての書は流れるような書体です。

 その中間くらいの、話の内容を伝えるための自然な書体だと感じました。

 今から1000年以上前の誰かの手の動き、物語を取り巻く人々の表情が見えるようです。

 ちなみに2024年に『口語訳 日本霊異記』が出版され、鷲生も手元に持ってます(※3)。


 同じ並びに天武天皇の像だと伝えられている小さめの像がありました。

 お顔がクドイ感じでしたが、ご本人もそうだったのでしょうかね。


 その隣に如来坐像。

 古風な、佛教伝来当初のモノのような金銅仏です。

 首都圏の方でしたら、東博の法隆寺宝物の中にこんな感じの金銅仏がたくさんあったかと思います。


 あと、錫杖もありました。

 さっき、童子姿の小さな異形の神々を和風ファンタジーに登場させてみてはどうだろうと思いましたが、錫杖の音を鳴らしてみるのもアリですよね、うん。


 金峯山には、平安時代、修行僧の日蔵が冥土で苦しむ道真と醍醐天皇に出会ったという伝説が残されて、道真を祀る神社もあり、天神信仰関連の展示もありました。


 北野天満宮所蔵の鬼神立像も奈良博に来てましたが、これらは平安時代10世紀にさかのぼるもの。

 また、現在、京博で「北野天神」展をやっており、そこに出ている鬼神立像と同じグループのようですね。


 また、わりと大きめの(実物の人間を少し小ぶりにしたくらいの大きさ)の釈迦如来があったのですが、そのお顔立ちが独特で。

 これは奈良博の常設展示の仏像館にある、兵庫県所蔵の天部形立像と顔立ちと製作年代(10世紀)に共通するものがあり、関連があるとされています。

 その仏像館の方の展示の解説には「目鼻を顔面いっぱいに配した風貌は個性的で」とあります。


 ここで、この特別展のチラシに使われている蔵王権現立像です。

 躍動感と、端正な均衡とが両立する、エエお像です。


 右足を高く上げるこの姿勢の像は他にもたくさんあり、ずらっと並んでました。


 このポーズこそが、蔵王権現を蔵王権現たらしめている特徴であり、これが日本のいつの時点で成立したのかは重要な論点だそうです。

 それで、今となっては骨組みだけとなっていますが、金剛蔵王立像心木も目立つように展示されていました。

 木の骨組みだけなのに、それだけで、なにかが跳ねている動きが伝わってくるのが印象に残りました。


 平安時代が好きな鷲生が個人的に盛り上がったのが、長保3年(1001年)蔵王権現鏡像。

 2024年NHK大河ドラマ「光る君へ」でもばっちり取り上げられていた年です。

 彰子様が入内した翌年であり、長徳の変(定子様の兄の藤原伊周が失脚する事件)の前年です(※4)。


 この蔵王権現鏡像には「長保三年辛丑四月十日辛亥内匠寮史生壬生□」との銘があり、年代がはっきりわかるもので最古だそうです。

 で、「内匠寮」の名前があるのが嬉しかったんですよ、鷲生にはw


 最後の蔵王権現立像はアメリカの美術品で所蔵されているもので、撮影可でした。

 桜の花の飾りを額の上につけているところが特徴です。

 吉野は桜の名所、それにちなんで、この撮影スポットも周りが満開の桜の絵で埋め尽くされていました。


 お土産売り場で、面白いものを発見!

「ホラ貝」です。

 ホラ、山伏が「ブォー」と鳴らすアレ。


 お値段は20万円。

 商品傍の説明書きには、「金峯山ご所蔵品を特別に販売いたします」旨書かれており、しかしその次に「ご近所迷惑にならないように気を付けてくださいね(笑)」との表記も。

 ホント、(笑)って書かれてたんですよw

 本気なのかネタなのか分かんないですねw


 そういえば、4月に京都の醍醐寺の上醍醐(むちゃくちゃ険しい山の上)の登った話を書きましたが(※5)、そこで「マイほら貝」を持ってきた方を見たんですよ。


 中年女性で、比較的痩せてらっしゃったかと思います。

 フツーの山歩き用のいでたちで、確かに腰のあたりに荷物を持っていらっしゃるなあと思ってはいましたが。


 その方が、腰の荷物を口に当てられると、「ブオオオーッ」という音があたりに轟き、「おお!ほら貝やあ!」って一緒に行った友人ともどもびっくりしたんです。


 今日、Xでこの奈良博の「吉野・大峯」展についてのポストを見ていると、中には「最近は女性の修験者が増えていて、でもお山は女人禁制なので、こうしてミュージアムで見られて良かった」という内容のものがありました。

 女性に人気……なんですか……。


 確かに、スピリチュアルなものが好きな人の中には引きつけられる人もいらっしゃるかと思います。

 やはり呪術の世界に寄っているせいか、独特の迫力があります。


 もし行ける機会があれば、ぜひ吉野の金峯山に実際に足を運んでみたいと思います。

 現地では意外に個々のお像のそばまで近寄れない面もあるそうですが、山岳修験道は山の上にあってこそ感じ取れることもあると思いますし(アクセス案内含めた、金峯山寺の公式ウェブサイトはコチラ→※6)。


 皆様も、奈良博の展示を見に行ける距離にお住まいでしたらぜひ!

(Xで見てると、鷲生みたいなもの知らずだけでなく、修験道に詳しい人にとっても充実の展示内容だそうですよ)。


 また、首都圏の方も、長保3年の線刻蔵王権現鏡像は普段は東京国立博物館にあるそうです(常設展示されているという情報も見られます)。



 *****

 奈良国立博物館「神仏の山 吉野・大峯─蔵王権現に捧げた祈りと美─」展

 https://www.narahaku.go.jp/exhibition/special/special_exhibition/202604_yoshino/


 ※2 GoogleMapで奈良国立博物館と吉野・金峯山寺との公共交通ルートを調べました。

 ↓

 https://www.google.com/maps/dir/%E5%A5%88%E8%89%AF%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E5%8D%9A%E7%89%A9%E9%A4%A8%E3%80%81%E3%80%92630-8213+%E5%A5%88%E8%89%AF%E7%9C%8C%E5%A5%88%E8%89%AF%E5%B8%82%E7%99%BB%E5%A4%A7%E8%B7%AF%E7%94%BA%EF%BC%95%EF%BC%90/%E5%9B%BD%E8%BB%B8%E5%B1%B1+%E9%87%91%E5%B3%AF%E5%B1%B1%E5%AF%BA%E3%80%81%E3%80%92639-3115+%E5%A5%88%E8%89%AF%E7%9C%8C%E5%90%89%E9%87%8E%E9%83%A1%E5%90%89%E9%87%8E%E7%94%BA%E5%90%89%E9%87%8E%E5%B1%B1%EF%BC%92%EF%BC%94%EF%BC%99%EF%BC%98/@34.5310922,135.6158457,11z/data=!3m1!4b1!4m14!4m13!1m5!1m1!1s0x60013991ec762bd1:0x86534c8f9901a7ed!2m2!1d135.8383055!2d34.6831318!1m5!1m1!1s0x6006c6373bcd65dd:0x59a87183e5e6ff1d!2m2!1d135.8589208!2d34.3685468!3e3?entry=ttu&g_ep=EgoyMDI2MDUxMC4wIKXMDSoASAFQAw%3D%3D


 奈良盆地の北辺に平城京跡、東大寺・興福寺・奈良国立博物館があります。

 奈良盆地を縦に南下して、橿原神宮を過ぎた奈良盆地南端にあるのが明日香村(飛鳥)。

 吉野・金峯山はそこから山岳地帯に入り込んだエリアということになるようです。

 鷲生は明日香村までしか行ったことないですね……。


 ※3 『口語訳 日本霊異記』 三浦佑之 2024 KADOKAWA

 https://www.kadokawa.co.jp/product/322403001259/


 ※4 今年の2026年、藤原彰子様を主人公にした歴史IF作品投稿しました!

「野藤の后 上東門院彰子異聞」

https://kakuyomu.jp/works/2912051595978712453


 ※5 

行く人は必読!「上醍醐」への道は険しすぎです!

https://kakuyomu.jp/works/16817330661485429107/episodes/2912051597105806217

世界遺産「醍醐寺」山上「上醍醐」伽藍

https://kakuyomu.jp/works/16817330661485429107/episodes/2912051597239324697


 ※6 修験根本道場 国軸山 金峯山寺

 https://www.kinpusen.or.jp/









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