第12話:入学式(1)
無事、俺は合格通知を受け取った。
俺は賢者なので、この程度のイージーな試験ならラクラク合格できる。
賢者試験の方が、よほど難しかった。
クリスタリア魔術学院を卒業すれば、俺は魔術界でも最高峰の学歴を取得できる。
学歴があれば、書類審査で弾かれて、苦い思いをすることもない。
賢者の大半は五大校の出身であり、出身校に応じて学閥を形成している。
俺は独学で賢者になったので、学閥には加入できずに孤立しており、共同研究ができず、素材の入手にも苦労していたが、クリスタリア魔術学院を卒業すれば、クリスタリア魔術学院系の学閥に加入できる。
俺は最強賢者だが、賢者の世界では、強さだけではなく、学歴もなければ正当な評価は得られない。
だが、クリスタリア魔術学院を卒業すれば、そうした悩みの大半は解決するだろう。
学歴があれば良い仕事に就けるし、高級住宅街に住むこともできるし、良い結婚相手を見つけることもできる。
今日は入学式。
俺の輝かしいキャンパスライフが、ここから始まるのだ!
思わず、テンションが上がってしまった。
俺は幼い頃から小説を読むのが好きで、特に学園ラブコメが大好きだった。
学園ラブコメの舞台は、大半が魔術学院だった。
そんな、夢見ていた華やかな学園に、今日から通えるのだ。
外に出て、空を見上げた。
雲ひとつない青空が広がっていた。
太陽も、俺を祝福してくれていた。
さあ、進もう!
入学式の会場は、俺と同じように、高揚した表情の学生が大勢いた。
五大校の入試は難関で、多くの学生は滑り止めとして1ランク下の学園も受験する。
合格者の大半は、長く苦しい受験勉強を乗り越えて、今ここに立っているのだ。
「アレクさん! おはようございます!」
俺を見て、ユリカが駆け寄ってきた。
「おはよう、ユリカ。……そういえば、ユリカは、どのくらい受験勉強したんだ?」
合格者の話題としては、受験勉強は定番だ。
「……え? 受験勉強ですか? 全くしてないですよ?」
ユリカはきょとんとした表情を浮かべた。
「……クリスタリア魔術学院は五大校だぞ? 受験勉強抜きだと、筆記試験は解けないはずだ」
「はい。ですから、私特製の合格鉛筆の力を借りました。転がすだけで、簡単な問題なら自動で解いてくれる優れものです!」
「……それ、大丈夫なのか? カンニングにならないのか?」
「はい。筆記試験では、既製品の高機能鉛筆の持ち込みは禁止ですけど、手作りなら問題ありません。それも含めて実力ですね!」
「……問題を自動で解くアーティファクトを作るのは、普通に問題を解くより大変じゃないか?」
「私は錬金術アカデミーに通ってましたから、こうしたアーティファクトを作るのは得意ですよ。アレクさんも、アーティファクトを作る際は、私に気軽に何でも相談してくださいね!」
確かに、俺も無限の砂時計の製作で行き詰まっていた。
アーティファクトの専門家である錬金術師に聞いてみるのは、有益かもしれない。
「ところで、アレクさんは、どのくらい受験勉強したんですか?」
「全くしてないぞ」
「良かった! 私たち、仲間ですね!」
こうして、俺とユリカは友情を深めた。
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