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第11話:入学試験(9)

 ようやく、俺の自由試験がスタートした。


 個人的には、「自由」と言われるのが一番困る。


 俺は賢者なので何でもできるが、選択肢が多すぎて絞り切れないのだ。


「アレクさん。これまでの試験結果で、合格は確定しておりますので、難しく考える必要はありません。アレクさんが得意なことを、私たちに見せて頂ければ大丈夫です」

 試験官の女性は、柔らかな笑みを浮かべた。


 俺の得意なことか……。

 大抵のことは器用にできるが、「得意なこと」を聞かれても、すぐには思いつかない。


 そうだ。

 今研究している、世界最先端のアーティファクトを見せてみよう。


 俺は、荷物袋から無限の砂時計を取り出した。


「……これは何ですか?」

「無限の砂時計です。俺が自作したアーティファクトですよ。砂が落ち切ると、自動的にひっくり返る、無限に使える砂時計です」

「……えーと、それのどの辺りが凄いのでしょうか?」

 試験官は、疑問符を浮かべていた。


 まあ、無限の砂時計は、見た目だけは普通の砂時計だからな。

 一目見ただけで凄さが分からないのは仕方ない。


「もうすぐ砂が落ち切りますね。よく見ておいてください……」

 砂が落ち切ると、無限の砂時計が反転した。

 その際に、時空魔法が自動で発動し、周囲の空間が一瞬歪んだ。


「……今、何が起こったのですか?」

「この無限の砂時計は、砂が落ち切る度に自動で時空魔法が発動し、因果律を改変して、持ち主にささやかな幸運をもたらします。世間では、幸運のお守りがよく売られていますが、こうしたお守りは全て、ほとんど効力を発揮しないまがい物です。しかし、この無限の砂時計を使えば、本当に持ち主に幸運をもたらすことができるのです。凄いでしょう?」

「……ねえ、アレクさん。私も、その無限の砂時計が欲しいですね。いくらで売って頂けますか?」

 無限の砂時計を見る試験官の目は、ギラギラと輝いていた。


「残念ながら、この無限の砂時計は試作品です。安全性が保証されておりませんので、他人に譲ることはできません」

「……分かりました。入学した暁には、私の研究室に来ていただけませんか? 一緒に、無限の砂時計の量産化について研究しましょう!」

「……あ、あはは。前向きに検討します」

 熱烈なラブコールを受けて、俺は笑ってごまかした。

「面白かった」「続きが読みたい」などと思われましたら、

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