◆うさぎの森
◆うさぎの森
あれから頑張って走って、俺たちは いま宍道湖SAにいる。
途中、サキさんにも運転を代わってもらい、目指す出雲はもう目前だ。
ここのSAからは、宍道湖に沈む夕陽がきれいに見える。
しかし、今日は残念ながら曇り空&既に日没後である。
これから行くキャンプ場までは、まだ2時間半ほどかかるのだけれども、軽キャンで来たのでテントの設営はいらない。
それに夕飯は、サ-ビスエリアで食べて行くことにした。
なぜなら、腹ペコのサキさんが、また変な作詞作曲をして歌を歌い出したからだ。
「宍道湖よいとこ一度はおいで♪ しじみやお蕎麦が美味しいよ♪ は~やく食べなきゃしんじゃうわ♪」
「サキさん分かったから。 みんなが見てて恥ずかしいからやめてよ」
「うふっ。 なら早く食べに行きましょう♪」
俺たちは結局、サキさんの歌詞に出て来た、しじみラーメンと出雲そばを頼んだ。
途中まで食べて交換し、二度美味しい。
ついでにデザートは、柿ソフトと しまねっこどら焼きを買った。
今日行くのは、異世界側のオートキャンプ場、うさぎ森林公園 夢の森う○ぎ という可愛らしい名前の場所である。
「わたし、ここに行ってみたいです」
サキさんは、キャンプ場の名前がお気に入りなようで、速攻で決まった。
キャンプ場が近づくと霧が出始める。 さらに進んで行くと道が見えなくなるほど霧が濃くなる。
そして、霧がいっきに晴れると目の前に管理棟が現れた。
さっそく、チェックインの手続きをするために、中に入るとサキさんが、俺の腕をギュッと掴んで来た。
「か・・かわいいい~♪」
ここの管理人さんは、キャンプ場の名前のとおり、うさ耳の若い女性である。
ピンクのエプロン姿で、ニコニコと笑顔で受付対応をしてくれる。
サキさんが、かわいさのあまり、うさ耳を触ろうとしたので、慌てて止めた。
外は暗かったけど何とか指定された区画にクルマを停めた。
’きなこ’は、管理人さんと話しをするため、管理棟で下したまま別れた。
’きなこ’は、このキャンプ場で、しばらくの間お世話になるのだ。
だから、今夜はサキさんとふたりっきりだ。
昼間、サキさんの裸を見てしまったので、モヤモヤモンモン状態でベッドをこしらえる。
もちろん自動でポップアップできる屋根も上げて準備が完了。
サービスエリアで買ったワインも冷蔵庫で冷やしてある。
異世界側のキャンプ場は、雲ひとつなく星がすごく綺麗だ。
せっかくなので、サイドオーニングを引き出し、組み立て式のテ-ブルとベンチを置いた。
小さめなバケツにブロックアイスとワインボトルを入れて冷やす。
カマンベールチーズと生ハム、スモークタン、たくさんのナッツも用意した。
が、これらが裏目にでた。
ふたりで星空を眺めながら、ワインで乾杯。
美味しいおつまみでお酒も進み、二人とも結構酔ってしまった。
「あ゛ーー 蒼汰さん。 さっき、せっかくうさ耳を触ろうとしたのに、なんでとめたんれすかぁ」
「だって、いきなりそんなことしたら失礼でしょ!」
ヤバイぞ。 サキさんが絡み始めた。
「だってって、かわいいんだから、いいじゃないれすかぁ」
「ぜったいにダメです」
「蒼汰さんのいじわる~」
ポコスカ、ポコスカ ←サキさんのポコスカ攻撃である
ふざけてやっているので、痛くはないけど、だんだんうっとおしくなる。
なので、ギュッと抱きしめて攻撃をブロック。
なおも、うさ耳の事をグダグダ言ってくるので、KISSで口を塞いだ。
これで さすがのサキさんもやっとおとなしくなる。
そのあと、満天の星空を眺めながら、少し話をしていたらサキさんがウトウトし始めた。
俺はまたお姫様抱っこをして、ベッまで運んだのだけれど、入口が狭くて超大変だった。
こうして、出雲初日の夜は何事も起こらずに更けていったのであった。




