第28話:未踏の迷宮と不死者の鎮魂歌
場所:シーニス市 青い竜の宿
マホガニーで装飾された広々とした宿の部屋の内部の雰囲気は、息苦しいほど緊張していた。詩織は織物の絨毯の上を行ったり来たりと歩き回り、その心は複雑な連動する歯車の配列のように回転していた。
重い木の扉が開き、ゆあとめいが実質的にスキップしながら部屋に飛び込んできた。その腕にはカラフルな紙の買い物袋が抱えられていた。
「詩織、ただいま!」ゆあは陽気に宣言し、フリルのついたパステルカラーのドレスを掲げた。「商人が前衛のメンバーだってことで値引きしてくれたの! これって――」
彼女は止まった。詩織から放たれる抑圧的で冷たいオーラは無視できないものだった。めいは静かに買い物袋を床に下ろし、その笑顔は消え去った。
「座って、二人とも」詩織は言った。その声は緊張していた。「男子たちを待つわ」
詩織は目を閉じ、こめかみを叩いて、前衛の念話ネットワークにアクセスした。
<【精神通信:起動中】>
翔太くん。和良くん。佳志くん、詩織は思考を投影した。その精神的な声はガラスを切るほど鋭かった。夕方の点呼に二十分遅れているわ。どこにいるの? そして一体何をしているの?
相手側からは短いパニックのノイズが聞こえた。そして、佳志の落ち着いた実用的な声が通った。
すみません、詩織さん、佳志は慣れた完璧な実行で嘘をついた。彼は亜人のメイド喫茶の真ん前に立っていた。鍛冶屋の列が予想よりも長かったんです。今、研磨石を確保しているところです。あと五分で宿に戻ります。
急いで、詩織は返し、接続を切った。
佳志の言葉通り、三人の少年は五分後に正確に部屋に駆け込んだ。翔太は大量の汗をかいていて、信じられないほど罪悪感があるように見え、和良は目を合わせるのを避けていた。佳志はただ眼鏡を押し上げ、一切の感情を裏切らなかった。
「鍵をかけろ」詩織は命じた。
死錠がカチリと音を立てると、詩織はクラスメイトに向き直った。聖女イヴリンは部屋の隅に静かに立ち、その手を祈りに組み、状況の重大さを裏付けていた。
「一時間前、ルシウス様が高位通信で私に連絡してきた」詩織は始め、オークのテーブルに身を乗り出した。「ヴェイン将軍が大聖堂の最深部の牢獄から脱走した」
驚愕の沈黙がティーンエイジャーたちを包み込んだ。
「脱走?」和良はどもり、新しく買った研磨石を大きなガチャンという音とともにテーブルに落とした。「どうやって? ルシウスは彼を対魔法の鎖で縛っていたんだぞ! 彼は生きている人間の中で最強のはずだ!」
「その通りよ」詩織は陰鬱にうなずき、その分析的な頭脳がパズルを組み立てていた。「この世界をチェス盤だと考えてみて。ルシウスは教会が持つ最も強力な駒よ。もし敵の駒が気軽に彼の盤面に歩み寄り、彼の絶対的な防御を破ることができるなら、それは敵が標準的な交戦ルールの外で活動していることを意味する」
「誰がやったんだ?」佳志は尋ね、その眉をひそめた。
「完全な情報がないため、絶対的に確実とは言えない」詩織は認め、その目を暗くした。「しかし私たちが対峙した悪魔司令官たちの心理的プロファイルに基づけば、私はクリムゾン・スカーレットを疑っている。深淵の死神よ。彼女は北の要塞から退却したわけではない。彼女は影の中に隠れていたのだ」
翔太はごくりと飲み込み、鎌を振り回す恐ろしい少女の記憶が彼の胃をかき回した。「じゃあ…どうすればいいんだ? もしヴェインと彼の司令官たちが再び私たちを攻撃してきたら…私たちはルシウスが助けに来るのを待つしかないのか?」
「違う」詩織は即座にその考えを却下した。その声は絶対的な権威で響いた。「私は救助を待つポーンになることを拒否する。もしルシウスだけに頼ったら、彼が気を取られた瞬間に私たちは死ぬ。私たちは自分自身に頼らなければならない。私たちの力の差を埋める必要がある」
彼女はイヴリンの方を向いた。「聖女イヴリン。近くにダンジョンはある? 私たちの現在の水準に適したものが」
イヴリンはゆっくりとうなずいた。「はい。シーニスの空洞です。東の市門のすぐ外にある中位の迷宮です。地元の冒険者は、マナの結晶を収穫しレベルアップするために、上の階層を頻繁に利用しています。あなたたちの地位の前衛パーティーにとっては比較的安全です」
「比較的?」詩織はその躊躇を捉えた。
「それは未踏の迷宮です」イヴリンは優しく説明した。「つまり…どの人間も最深部に到達したことがないのです。正確な深さと最終ボスの性質は完全に不明です。冒険者は最初の二十階層だけを狩り、撤退します」
「完璧だ」詩織は宣言した。「明日の夜明けに入る。しかし私のルールを聞き、よく理解しなさい。もし誰かが深い裂傷を負ったら、撤退する。もし魔力または持久力が三十%を下回ったら、撤退する。私たちは限界に挑戦するが、命を賭けて賭け事はしない」
クラスメイトたちは彼女を見た。詩織はもはや地球の高校のトップの生徒だけではなかった。彼女の前に立ち、計算された容赦ない命令を発する少女は、真の前衛司令官だった。
「了解」佳志はうなずいた。翔太、和良、ゆあ、めいが一斉に同意の声を発した。
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場所:蒼の海 鉄の巨獣船上
鉄の巨獣は夕方のうねりを切り裂き、その鋳鉄エンジンは広大で抑圧的な海の静寂に対して安定した機械的な心臓のように鼓動していた。頭上は深い紫と黒の色合いに傷つき、見慣れない星々の冷たい光が散らばっていた。
ソフィア・ヴァイルブラッドは船首の最も端に立っていた。彼女の深紅のマントはこぼれたワインのように彼女の細い肩に掛けられ、塩辛い海風に激しくはためいていた。
アウトランドは消えていた。何世紀もの間、彼女の牢獄であり、玉座であり、孤独な地獄として機能してきた島は、暗い地平線に飲み込まれ、まるで存在したことがないかのように消去されていた。彼女は泡立つ波頭の水を見下ろした。恐ろしい魔王、システムの絶対的な異常者は、海の広大さに対して信じられないほど小さく見えた。
長く伸びる沈黙の後、彼女は目を閉じ、歌い始めた。
彼女の声は低く、ほとんど壊れやすいささやきだったが、それでも冷たい冬の風のように重いオークの甲板を運ばれた。旋律は心を奪われるほど美しく、ゆっくりとした悲しげな短調で奏でられた。それは古代の悲しみの歌であり、彼女がほとんど忘れていた断片で構成されていた。
「私は冠の前に名前を持っていた、
鎖の前に、溺れる前に。
波がそれを奪い、年月が手放した、
今は私さえも知らない。」
船尾で、ケイン・アシュフォードは重い木の舵輪の前に立っていた。最初の音が彼の耳に届いたとき、彼の手は舵輪のスポークで凍りついた。彼は振り返らなかった。ただ真っ直ぐ前を見つめ、一言も逃さないように呼吸を遅くした。
「私をしっかり握ってくれた手があった、
夜を通してささやく声があった。
記憶は燃え、そして灰になる――
顔のない肖像画。」
ケインは歌詞が鉄の石のように重く胸に落ちるのを感じた。彼はその孤独を理解していた――世界があなたなしで動き続ける中、一人で立つことの息苦しい重みを。舵輪への彼の握りが強まった。
数フィート離れて、セバスチャンは真鍮のやかんからコーヒーを注いでいた。二番目の詩が甲板に漂ったとき、悪魔は注ぐのを途中で止めた。暗く湯気の立つ液体はカップを完全に外し、木の上に飛び散った。彼は気づかなかった。
「星は全て死に、王国は滅びる、
私は一人で立ち、全てを見つめる。
私が流す血、私が抱く涙――
不死者の収穫、冷たく深く。」
ケインの顎が引き締まった。【永遠の孤独】の呪いは単なるシステム通知ではなかった。それはこれだった――他に聞く者がいないからこそ、誰もいない海に向かって歌う女性。
「だから海に私の嘘を歌い返させよ、
風に私の叫びを消させよ。
私は影、私は刃、
神々が作った孤独の女王。」
歌が終わると、続く沈黙は巨大だった。残された音は、鉄の船体に波がリズミカルに打ち付ける音と、遠くの蒸気エンジンのシューという音だけだった。
ソフィアは振り返らなかった。彼女の目は、彼らの前に広がる暗く果てしない地平線にしっかりと固定されたままだった。
「東へ進め、ケイン」ソフィアは命じた。その声は完全に空洞化し、いつもの貴族的な誇りも隠された悲しみも欠いていた。「私はあの場所にはもう用はない」
ケインは黙ってうなずいた。彼は舵輪への握りを調整し、それを数度回し、彼女の美しく悲劇的な旋律の残る幽霊が彼らを暗闇へと導くままにした。
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