第22話:蒼き都と不死の味
場所:要塞の中庭 戦後
ルシウスの壊滅的な一撃の塵がついに静まり、オゾン、焦げた土、そして流された血の臭いが漂うクレーター状の風景が残された。勝利は絶対的だったが、その代償は生存者の顔に刻み込まれていた。
十七人の聖騎士が戦死し、その銀の鎧は前衛の悪魔たちの深淵の魔法によって粉砕された。四人の教会の英雄たち、数え切れない小競り合いの熟練者たちが、クリムゾン・スカーレットの恐ろしい歓喜の舞踏によって虐殺された。生き残った教会の戦力の中で、カレブは粉々になった石の柱に重くもたれかかり、その顔は白亜のように青白かった。彼の右腕はなく、肩からきれいに切断され、その断端は厚く包帯され、生き残った仲間たちの必死の回復魔法の残光で輝いていた。彼は生きていたが、前線での日々は終わった。
数ヤード離れて、詩織は翔太の胴体に厚い包帯をきつく巻いていた。
「痛っ! 詩織さん、もっと優しく!」翔太はシューッと音を立て、割れた肋骨に圧力がかかって顔をしかめた。
「優しくしないわ」詩織は鋭く言い放ち、その紫の瞳は珍しいフィルターなしの怒りで輝いた。新しく白くなった髪が彼女の肩に落ち、彼女は一切の優しさなく結び目を固くした。「あなたのしたことは記念碑的に愚かだった。自分を刺して理論上の呪いを発動させるだって? もしヴェインがあなたを蹴らずに、代わりにあの大剣を振っていたら、あなたは今ごろ真っ二つだったわ」
翔太は視線をそらし、首の後ろを揉んだ。「うまくいっただろ? あいつは強すぎた。システムを利用するしかなかった」
「システムを利用するのは戦略でやるのよ。自分自身を生贄として使うんじゃない!」詩織の声はわずかに震え、彼女は深呼吸して自分を落ち着かせた。彼女は彼の肩に手を置き、その口調を和らげた。「ただ…もうあんな危険な真似はしないで、翔太。お願い。あなたたちを誰も失いたくない」
翔太が答える前に、金属の重いガチャガチャという音が彼らの注意を引いた。
ルシウスが中庭を歩いていた。彼はヴェイン将軍を後ろに引きずっていた。巨大な裏切り者は深淵の鎧を剥ぎ取られ、対魔法のルーンが刻まれた厚く輝く鎖で完全に縛られ、それが彼の肌に当たってシューッと音を立てていた。ヴェインはまだ意識を失っており、完全に無力化されていた。
ルシウスは詩織から数歩のところで止まった。彼の天空の青い瞳は彼女を見たが、彼女を通り抜けて見ているようだった。彼は人間というより、美しく彫られた彫像のように感じられた。
「私は裏切り者を都に連れて行く」ルシウスは言った。その声はメロディアスだが、ぞっとするような単調さだった。「大聖堂の地下にある最高警備の刑務所だけが彼を収容するのに適している。ここからは遠い旅だ」
彼は手を開いた。彼の銀の籠手に完璧に収まっていたのは、完璧にカットされた輝くサファイアの魔法石だった。彼はそれを詩織に差し出した。
「王国は召喚された英雄たちが休息することを要請している」ルシウスは続けた。「最寄りの友好都市へ進みなさい。この石を持っていなさい。もし前衛の生存を脅かす緊急事態に直面したら、あなたの魔力をそれに注ぎ込みなさい。私はあなたの座標に転送する」
詩織はサファイアを受け取った。それは触れると凍るように冷たかった。「ありがとうございます、ルシウス様。しかし、今日私たちが直面した悪魔たちの性質についてですが…」
「あなたは裏切り者やこの要塞の残党について心配する必要はない」ルシウスは遮った。その口調は議論の余地を全く残さなかった。「私は問題なく彼を処理する。休みなさい、英雄よ」
彼女がもう一言話すのを待たずに、ルシウスは振り返った。まばゆい聖なる光の閃光が彼と意識を失ったヴェインを包み込んだ。詩織が瞬きをすると、彼らは完全に消え去っていた。
「せめて負傷者を運ぶのを手伝っていくくらいしてもよかったのに」和良が呟き、近くで佳志を立ち上がらせるのを手伝った。
「忘れましょう」詩織はため息をつき、サファイアをポケットにしまった。「皆を集めて。移動するわ」
◆
場所:南への道
十人の生き残った聖騎士の分遣隊が、詩織、彼女のクラスメイト、そして聖女イヴリンを廃墟となった要塞から護衛した。彼らは雪が晴れていく中を着実に行軍し、文明に向かって南へ進んだ。
「とにかく言いたいのは、あの男は完全なチートだってことだ」翔太は杖代わりに使っている木の棒に重く寄りかかりながら愚痴った。「彼は現れて、詠唱もせずに超高層ビルを粉々に爆破して、テレポートで去っていった。あんなNPCが存在してるのに、システムのバランスはどうなってるんだ?」
彼らの隣を優雅に歩く聖女イヴリンは、小さな楽しげな笑みを隠すために口を覆った。「落胆しないでください、英雄翔太。あなたたちは召喚された英雄です。十分なレベル上げと時間があれば、ルシウス様の高みに達します」
「彼は一体誰なの、イヴリン?」詩織は尋ねた。その分析的な頭脳はまだ遭遇を分解していた。「彼は普通の教会の英雄には感じられない。クリムゾン・スカーレットにも全く反応しなかった」
「それはルシウス様がフロンティエラの出身ではないからです」イヴリンは説明した。その口調は深く敬虔なものに変わった。「彼は隣接する聖国サンダーランドで生まれました。彼がまだ幼児だった時、高位枢機卿たちは女神カミヤの印を彼の魂に直接発見しました。彼こそ真の選ばれし者です」
ゆあは瞬きし、眼鏡を直した。「待って…もし彼が伝説的存在なら、何歳なの?」
「一世紀以上です」イヴリンは滑らかに答え、生徒たちは自分の唾でむせた。「女神は彼の聖なる業を続けるために、彼の老化プロセスを遅らせました。彼は百年以上にわたって深淵と戦ってきました。国際教会は彼を国境を越えて昇格させました。彼は一人の王ではなく、教皇と女神にのみ従います」
「もし彼がそんなに強いなら」佳志が口を挟んだ。「なぜ自分で100階層まで進軍して魔王を殺さないんだ?」
イヴリンの微笑みはわずかに揺らぎた。「彼は試みました。数十年前、ルシウス様は一人でアウトランドダンジョンに進軍しました。彼は九十九階層を制覇しました。しかし、100階層への扉に到達したとき…彼は入れませんでした。絶対的で基本的な魔法で鍛造された空間障壁が彼を跳ね返しました。その最後の封印を破ることができるのは、召喚された英雄たちの合わせた力だけだと言われています」
イヴリンは地平線を見つめた。「彼はまた、深淵の死神クリムゾン・スカーレットと因縁があります。104年の虐殺の時に彼らは激突しました。歴史書は明確な勝者を示していません。ただ、ルシウスが生き残り、スカーレットが退却したことだけが記されています」
詩織はポケットのサファイアに触れた。彼は100階層に入れなかった、と彼女は思った。システムが彼を阻んだ。女神の究極の武器はラスボスに届かなかった。パズルのピースはバラバラだったが、彼女はゆっくりと恐ろしい絵が見え始めていた。
夕方までに、広大な大都市が視界に入った。
それは息をのむほど美しかった。都市シーニス、北の蒼き宝石。深い青色の魔法の石で完全に構築された巨大な曲線を描く壁が周囲を守っていた。広がる邸宅やギルドホールの屋根は、沈みゆく日光を受けて輝くセルリアンのタイルで覆われていた。
前衛が巨大な鉄の門を通過するとき、詩織は即座に緊張した。彼女は全てを観察した――衛兵の交代、路地の幅、射手塔の配置。以前の貴族の村、彼らが祝われてから政治に巻き込まれた記憶は、まだ彼女の口に苦い味を残していた。彼女はこれ以上のトラブルを望んでいなかった。
しかしシーニスは違った。それは賑やかで混沌とした商業の中心地だった。通りは木箱を運ぶ獣人、鍛冶屋と値切り交渉をする装甲の傭兵たち、そして浮かぶ本の山を運ぶ魔法使いたちで混雑していた。誰もパレードを開くために立ち止まらなかった。シーニスの市民にとって、泥と血にまみれた疲れ果てた傷ついたティーンエイジャーたちは、過酷なダンジョン襲撃から戻ってきた別の高ランクの冒険者パーティーにしか見えなかった。何週間ぶりに、彼らは事実上、見えなくなった。
◆
場所:100階層 絶対深淵
地のはるか下で、草薙京也は壊滅的な形而上学的危機に見舞われていた。
彼の体は依然として巨大な濃い紫のスライムの水たまりに縮こまっていた。彼の心の中のシステムインターフェースは、目がくらむような深紅のエラー通知の壁だった。彼の【絶対強欲の万物】内の意識的なグリッチは、頑固に、激しく不死の魔王を吸収しようとしていた。
<宿主、空間パラメータが破綻しています>ノヴァの声はパチパチと音を立て、本当に緊張しているように聞こえた。<私はバイパスコードを強制ループしています。対象の物理的な器を【無限収納】にリダイレクト。対象の魂の特徴を【宿主核システム】にリダイレクト>
ソフィア・ヴァイルブラッドは完全に動かずに立っていた。暗いスライムがゆっくりと彼女のブーツ、次に膝、そして腰を包み込んだ。彼女は抵抗しなかった。ただ、京也の壊れた論理回路が世界の絶対的な法則と戦うのを、軽い傲慢な好奇心で見守った。
「ゆっくりでいいわよ、京也」ソフィアはからかうように言い、スライムが彼女の胸に達するのを見下ろした。「私は永遠を持っているから」
突然、赤い画面が粉々に砕けた。鮮やかで恐ろしい紫のコードの閃光が、システムの基本的な法則を完全に上書きした。
柔らかい流れるような音とともに、ソフィア・ヴァイルブラッドは消え去った。
紫のスライムは積極的に収縮し、再び集まって急速に上方へと形を変えた。骨が軋み、肉が再生し、草薙京也は立ち上がり、人間の姿に戻るにつれて息を切らした。彼の暗い背広は再び完璧だった。彼は膝をつき、魔力がゼロからゆっくりと回復する中で胸を押さえた。
「ノヴァ…」京也は息を切らし、冷や汗が顔を伝った。「彼女はどこだ? 誤って消去してしまったのか?」
<否定、宿主。強制吸収にはかなりの時間と処理能力を要しましたが、成功しました。存在:ソフィア・ヴァイルブラッドは死んでいません>
京也は瞬きした。「じゃあ、彼女はどこに?」
<彼女の物理的な器は、あなたの【無限収納】内で完全に保存され、無傷です。しかし、彼女の不死の状態のため、彼女の意識は静的な空間に保存することができませんでした。彼女の魂はあなたのシステムネットワークと共生的にリンクされています>
かなり狭いネットワークだな、と言い添えておくわ、とメロディアスで非常に楽しげな声が突然、京也の脳内に直接響いた。
京也は飛び上がり、頭を抱えた。「ソフィア?」
そう、私よ、ソフィアの声が彼の心の中で喉を鳴らすように響いた。暗い劇場に座って、あなたの目を通して世界を見ているような気分よ。非常に異例だけど、密輸には信じられないほど効果的ね。
「やったぞ」京也は息をつき、大きな勝利の笑みが彼の顔に広がった。彼はついに世界のラスボスの誘拐に成功したのだ。
しかし彼の勝利はちょうど二秒で終わった。
<警報>ノヴァが鳴らした。AIの口調には奇妙なためらいのざわつきがあった。<宿主、吸収プロセス中に強欲スキル内の意識的なグリッチが二次的なエラーシーケンスを引き起こしました。私はそれをブロックできませんでした。それは自動的に有機的な感覚上書きを起動しています>
「待って、何? 何の上書きだ?」京也は要求した。
【システムエラー:対象存在を吸収しました】
【強制感覚フィードバックが開始されました:味覚】
京也は息を呑んだ。彼の目は信じられないほどに見開かれた。突然、彼の味蕾は圧倒的で絶対的な感覚体験で激しく満たされた。それは魔王の魂の味だった。それは信じられないほど熟成された、酔わせるほど豊かな暗いベルベットのワインの味に、鉄の金属的で鋭い酸味、そしてダークチョコレートと砕けたバラの甘美さが混ざっていた。それはあまりに強烈で、彼の膝が弱くなった。
京也は口に手を当て、その顔は見事な赤色に変わった。「な、なんだこれ…! ノヴァ! 止めろ! 止めてくれ!」
彼の頭の中で、システムのフィードバックループが彼が何を経験しているかをソフィアに認識させたため、彼女は完全に一瞬沈黙した。
そして、彼女は音楽的な制御不能な笑い声の発作に爆発した。
おやまあ、ソフィアは彼の心の中でくすくす笑った。その声は純粋無垢な嘲笑を滴らせていた。あなたのスキルが強欲だとは知っていたけど、あなたが絶対的な強欲の変態だとは気づかなかったわ。教えて、英雄…私の味はどう?」
「黙れ!」京也は空っぽの洞窟に向かって叫び、その顔は絶対的な屈辱で燃えながら、ダンジョンの出口への長い歩みを始めた。
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