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第21話:裏切り者の安全装置と神の化身

場所:要塞の中庭 前衛の側面


ヴェイン将軍が深淵の大剣を抜いた瞬間、中庭の大気そのものが変わった。空気は恐ろしいほど密度を増し、前衛の生徒たちを物理的な重みのように押しつぶした。ゆあとめいは息を呑み、酸素がその場から逃げていくかのように胸を押さえた。和良の膝は、ヴェインの解き放たれた魔力の純粋な重力圧力の下でわずかに折れ曲がった。


七瀬翔太は広刃の剣を握りしめ、その呼吸は荒く、目に見える白い息となった。詩織の戦前の助言が彼の頭に響いた:ヴェインは裏切り者だが、それでも人間だ。人間の弱点を探せ。息苦しい圧力の中、翔太は【分析の目】を起動した。彼はヴェインの重い鎧に構造的な弱点を見つけられなかった。代わりに、将軍の頭上にかすかに浮かんで、システムが彼の魂に直接織り込まれた隠された受動的な称号を明らかにした。


【称号:前の英雄の呪い】


翔太の心は駆け巡り、その意味を処理した。なぜ呪いが称号としてラベル付けされているのか? そして、ピースが組み合わさった。女神カミヤは操作的な存在だが、同時に信じられないほど偏執的でもあった。ヴェインは自らの仲間を虐殺し悪魔に加わった前の召喚された英雄だった。それが二度と起こらないようにするために、女神は全ての召喚された英雄の生物学そのものに基礎的な安全装置を織り込んでいたに違いない。


もし英雄が別の英雄の血でその手を汚せば…その者の死期は早まる。「誰かが血を流さなければならない」翔太は息を呑んで呟いた。彼は躊躇しなかった。


「翔太、待て!」佳志が叫んだ。氷の魔法使いが突然陣形を破り、そびえ立つ将軍に向かって一直線に走った。


翔太は接近をカバーするためにギザギザの氷柱の斉射を放った。ヴェインは大剣を振るうことさえせず、装甲された手甲で氷の弾丸を空中で叩き落とし、無害な雪に粉砕した。


距離を詰めて、翔太は広刃の剣を振らなかった。代わりに、彼はベルトから小さな鋼鉄の狩猟用短剣を抜いた。鋭い痛みの息とともに、彼はその刃を自分の左前腕に深く切りつけた。深紅の血が即座に湧き出し、彼の手を覆った。


ヴェインの深淵の目が細められた。犠牲の戦術を即座に認識して、将軍は体をひねり、その重い鉄のブーツを壊滅的な前蹴りとして振るった。


蹴りは翔太の肋骨に正確に命中した。骨が砕け、翔太は激しく後方に吹き飛ばされ、十数ヤード離れた凍った泥に激突した。


「賢い」ヴェインは冷たく言い、その大剣を肩に担いだ。「しかし、か弱い魔法使いにはあまりに危険な動きだ――」


ヴェインは突然話すのを止めた。彼は自分の左の手甲を見下ろした。暗い金属の上に塗られ、彼の手首の露出した皮膚に滴っていたのは、翔太の新鮮な血の三滴だった。


【システム上書き:神の安全装置が作動しました】

【対象:ヴェイン。状態:敵対的血の共鳴】

【条件:細胞拒絶が開始されました】


ヴェインは激しくよろめき、片膝をついた。彼から放たれていた計り知れない息苦しい圧力は即座に崩壊した。彼は詰まった息を漏らし、その大剣は彼の手から落ちて石にガチャンと音を立てた。太い枝分かれした黒い静脈が彼の首と顔に激しく浮かび上がった。彼自身の魔法で強化された体が突然自己拒絶を始めたのだ。


翔太は血の塊を咳き込み、肘で体を支えようともがいた。「チャンスだ!」彼はクラスメイトに叫んだ。「今だ! 彼を倒せ!」


詩織の命令は絶対的だった:彼らは尋問のためにヴェインを生け捕りにする必要があった。致命傷は選択肢から外されていたが、急速に弱体化する標的には非致死性の制圧が完璧に機能するだろう。


「ゆあ、私と一緒に!」めいが叫んだ。二人の少女は元素の魔法を同期させた。


「疾風の虚空!」彼らは一斉に詠唱した。風と土の魔法の集中した球体がヴェインを包み込んだ。それは彼を押しつぶさず、即座の空間から全ての酸素を積極的に引き抜き、局所的な真空を作り出した。ヴェインは窒息し、肺が空気を拒絶される中、喉を押さえた。


「佳志、今だ!」和良が咆哮した。


佳志は有毒な紫色の煙の奔流――強力な合成神経毒の呪文――を放ち、和良は風の武術を使ってその毒を直接真空の球体の中に送り込んだ。空気を求めて息を吸わざるを得ず、ヴェインは麻痺させる蒸気を吸い込んだ。彼の残りの目は反り返り、巨大な伝説の裏切り者はうつ伏せに泥の中に崩れ落ち、完全に意識を失った。


◆


場所:要塞の中庭 教会前衛


生徒たちが将軍を制圧することに成功した一方で、教会の英雄たちは組織的に虐殺されていた。


エリアス、教会前衛の最年少は、激しく震えて立っていた。彼の水色の目は絶対的で純粋な恐怖で見開かれていた。彼は祝福された剣を両手で握り、クリムゾン・スカーレットに向けて構えていたが、その刃はあまりに激しく震え、鎧にガチャガチャと音を立てていた。彼の脚は動かなかった。死神から放たれる殺意はあまりに濃密で、深く凍てつく水の中を歩いているように感じられた。


「エリアス! 心を集中させろ!」ギデオン司令官が咆哮した。傷跡のあるライオンの肩当てを付けた老練の戦士、ギデオンは少年の前に立ち、巨大な聖なる盾を構えた。「彼女の視線に魂を貫かせるな! しっかり立て!」


ギデオンの右側で、二刀流の教会の英雄トマスが戦いの雄叫びを上げ、必死の回転攻撃でスカーレットに飛びかかった。


スカーレットは彼を見向きもしなかった。彼女は片手で魂刈りをだらりと回した。骨の鎌はトマスを腰で引っかけ、彼の重い鎖帷子を難なく切り裂き、その背骨を一つの流れるような動きで切断した。トマスは地面に倒れ、その下に即座に血が溜まり、彼はゆっくりと苦痛に満ちた死の過程を始めた。


スカーレットは死にかけの男を見下ろし、その深紅の目が突然暗くなった。彼女は実際に口をとがらせ、深い憂鬱の表情が彼女の美しく恐ろしい顔を横切った。


「弱い」スカーレットはため息をつき、トマスのぐったりした手を蹴った。「信じられないほど弱い。もっと強い誰かが欲しい。もっと欲しい」しかし、彼女の不満にもかかわらず、不気味な狂気の笑みがゆっくりと彼女の唇に戻っていった。


周辺から見守っていた詩織は歯を食いしばった。彼女は死神に対して【知覚】能力を起動した。


【称号:クリムゾン・スカーレット 教会最大の敵】


私たちでは彼女に勝てない、と詩織は冷たい確信で悟った。イヴリンの強化効果があっても、彼女はランクAの熟練者を弄んでいるのだ。


詩織はすぐに聖女イヴリンに念話の通路を開いた。[イヴリン! 今よ! 大技を発動して!]


[了解しました、詩織様!]詩織は前方に走り出し、シラス卿と致死性の接近戦を完全に開始した。リッチはギザギザの死霊の短剣を抜き、詩織の刀を受け流した。シラスは完全に黒髪の少女に集中し、残りの魔力を詩織の絶え間ない攻撃を防ぐことに注ぎ込んだ。


それはまさにイヴリンが必要としていた気晴らしだった。


安全な距離に立って、聖女は敬虔な祈りに手を合わせ、その聖なる力の波動が目がくらむような光の柱となって燃え上がった。


「創造の七柱よ、我が呼び声を聞け!」イヴリンの声は中庭に轟き、神の権威で反響した。「深淵を封印せよ、地獄の門を閉ざせ!」


シラスの残りのエメラルドの目が聖女に向けられた。「駄目だ!」リッチは金切り声を上げ、離脱しようとした。


「どこにも行かせない!」詩織は叫んだ。「影縛り!」太い黒い触手が土から噴出し、シラスの骨ばった足首に絡みつき、ちょうど十分な間、彼女をその場に麻痺させた。


「神の審判をこの邪悪な魂に一万年の間、押し付けよ! 暗い悪夢に沈み、二度と目覚めることなかれ! 大技:神の審判の封印!」


聖なる光で構成された巨大で複雑な金色の檻が空から落下し、シラス卿を完全に閉じ込めた。聖なる魔法はリッチの姿を焼き、その魔力回路を封鎖し、彼女を完全に動けなくした。詩織は後方に跳び、荒く息をしながら、防音の金色の牢獄の中でリッチが無声で叫ぶのを見つめた。


詩織とイヴリンは短い安堵の息を共有した。ヴェインは倒れた。シラスは封印された。


しかし彼らの安堵は、中庭の中心を見たときに絶望に変わった。教会の英雄たちは事実上全滅していた。クリムゾン・スカーレットは暗いメロディアスな曲を口ずさみ、その鎌を回転させ、ギデオン司令官とエリアスを虐殺しようとしていた。


突然、悪魔の要塞の上の息苦しい暗い雲が力強く裂けた。


純粋な白熱の金色の光の光線が暗闇を貫き、隕石の力で地面を打った。詩織、彼女のクラスメイト、そして生き残った教会の英雄たちは、目がくらむような塵と放射エネルギーから目を守った。


塵が静まると、一人の姿がクレーターの中心に立っていた。


彼は若者だった。完璧なプラチナブロンドの髪は、後光のように薄暗い光を受け反射していた。彼の鎧は印象的だった――複雑な金の細工で重厚に縁取られた磨かれた銀の継ぎ目のない一式。しかし、空間を支配していたのは彼の天空の青い瞳だった。それらは不気味なほど冷静で、怒り、恐怖、興奮の一片も宿していなかった。彼は死すべき戦士というより、神の審判の化身のように見えた。


「ルシウス」ギデオン司令官は息を呑み、純粋な畏敬の念で膝をついた。


彼は教会の選ばれし者だった。人類最大の英雄。


クリムゾン・スカーレットは口ずさむのを止めた。彼女は鎌を肩に担ぎ、その狂気の笑みは深い苛立ちの表情に消えていった。彼女は事実上、嘲るように鼻を鳴らした。


「来たわね」スカーレットは呟き、深紅の目を回した。「試合を壊す人よ。もっと強い誰かに会いたかったけど、あなたは違う。あなたと戦うのは信じられないほど退屈だ」


ルシウスはその挑発に応じなかった。彼の天空の青い瞳は戦場を一望し、全く無感情だった。彼は瀕死の教会の英雄たち、疲れ果てた前衛の生徒たち、意識を失ったヴェイン、そして封印されたリッチを見た。


その直後、人間の聖騎士たちの甲高いラッパの音が壁の突破口に反響した。主要な人間の軍隊がついに突破し、中庭を完全に包囲した。


スカーレットは深くため息をつき、圧倒的な数とルシウスの到着を見た。彼女は骨の鎌を一度振った。彼女の周りの空気は鏡のように粉々に砕け、深淵の死神は完全に消え去り、鉄と薔薇の香りだけを残した。


同時に、シラスを閉じ込めていた金色の檻が激しく内側に崩壊した。リッチは自らの物理的な器を強制的に粉砕し、緊急時の呪文を利用して魂の器を深淵に転送し、ヴェインを置き去りにした。


ルシウスがついに話した。その声はメロディアスだったが、ぞっとするほど温かみを欠いていた。


「残りは私に任せなさい」ルシウスは彼らを振り返らずに言った。「召喚された英雄たちよ。休んでいい」


詩織は彼の背中を見つめ、背筋に悪寒が走った。「イヴリン」彼女はささやいた。「彼は本当は誰なの? 歴史書には出ているけど…」


「彼の水準は異常です」イヴリンはささやき返した。その声は畏敬の念とわずかな恐怖を帯びていた。「彼はランクSの絶対的な頂点にいます。ランクSSSの閾値を公式に超えたことはありませんが、もっと高いとささやく者もいます。彼は女神の完璧な刃です」


詩織がもっと尋ねる前に、ルシウスは銀の籠手をはめた片方の手を悪魔の要塞のそびえ立つ中央の尖塔に向けて上げた。


彼は詠唱しなかった。努力しているようにさえ見えなかった。凝縮された聖なる白い光の微細な球体が彼の指先に物質化した。彼はそれを弾いた。


球体は要塞に命中した。一瞬、完全な沈黙があった。そして、純粋な聖なるエネルギーの大変動的な爆発が炸裂し、黒曜石の尖塔の上半分を即座に蒸発させ、衝撃波が何マイルも残っている悪魔の歩兵をなぎ倒した。戦いは終わった。


◆


場所:100階層 絶対深淵


爆発的な表面のはるか下で、魔王の玉座の間の雰囲気は緊張したものから奇妙なものへと変わっていた。


京也の体は、現在は哀れな広い濃い紫のスライムの水たまりにまで縮こまっていたが、突然震え始めた。


だらりと深紅のワインをすするっていたソフィア・ヴァイルブラッドは、手を止めた。彼女は鋭く知覚的な目を細めて、スライムが自律的に波打ち、押し寄せるのを見つめた。それは京也が動かしているのではなかった。スライムは自身の意志で、ゆっくりと不気味に黒曜石の床を這って魔王のブーツに直接向かっていた。


京也の心の中で、彼の内部システムは攻撃的な重大な赤で点滅していた。


【致命的エラー:強欲プロトコルが危険にさらされています】

【状態:【絶対強欲の万物】内で意識の重複を検知】


<宿主>ノヴァの声が響いた。それはいつもの落ち着いたデジタルな調子を完全に失っていた。緊張しているように聞こえた。<私は深刻なシステムの逆説に遭遇しています。スキル【絶対強欲】が私の管理的な制御を拒絶しています。不死者の標的に対して自律的な吸収シーケンスを実行しようとしています>


京也は口頭で応答できなかったが、彼の意識は欲求不満で叫んだ。止めろ! もしそれが強制的に彼女を攻撃したら、彼女は私たち両方を殺すぞ!


しかしソフィアは攻撃しなかった。彼女は武器を抜かず、闇魔法も呼び寄せなかった。彼女はただ座ったままで、ピクピクと動く貪欲な水たまりが彼女に近づくのを見つめた。


彼女の目は深い好奇心と恐ろしい知性で暗くなった。彼女はシステムが絶対的な法則であることを知っていた。スキルが自身の使用者を迂回し、これほど激しくグリッチするということは、京也の中のカミヤのプログラミングの基盤が積極的に壊れていることを意味していた。


ソフィアは身を乗り出し、顎を手のひらに乗せ、邪悪な笑みを唇に浮かべた。彼女はそれを止めるために何もしなかった。彼女は、その静かな瞬間に、この特定の予測不可能なシステムエラーが、彼ら二人の未来を決定するまさに鍵であるかもしれないと悟った。


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