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第15話:深淵の儀式と血の異常

村の東に広がる凍てつく松林は、雪に覆われた迷宮だった。三日間、詩織の前衛グループは膝まで埋まる雪をかき分け、動くものは何でも狩り続けた。


しかしその結果は、痛々しいほど期待外れだった。


翔太が広刃の剣を振るい、低レベルの角ウサギを雪の中から飛び出す前にきれい両断する。数ヤード先では、和良が凍って動きの鈍い青いスライムの中心に槍を突き刺し、それがわずかな銅貨と哀れなほどの経験値に溶けていくのを見ていた。


「完全に無駄だ」翔太が凍てつく空気の中で息を白く染めながら雪を蹴って不満を漏らす。「スライム? ウサギ? 迷い込んだ殺人蜂が数匹? 経験値バーがほとんど動かない。全然面白くない」


「彼の言う通りだ」和良が身を切る風から外套を引き寄せて同意する。「ランクAの悪魔司令官と戦わなければならないのに、文字通りの餌を狩っていては体力を無駄にするだけだ。強くなっているんじゃない、ただ凍傷になっているだけだ」


見晴らしの良い場所を確保するため、霜の降りた岩の上に立つ詩織は、眉をひそめた。学級委員長であり、グループの戦術的な要として、彼女は自分たちの生存に対する責任の重圧を感じていた。「忍耐よ」彼女は断固として命じた。「地形も分からないし、この地域でシステムがどう機能するかも分からない。基本を守るのよ」


突然、ゆあとめいが立ち止まった。


元素の親和性が土であるゆあは膝をつき、両手を凍った土に平らに押し付けた。風を使うめいは、きつく目を閉じ、顔を青ざめさせた。


「風が止まった」めいは声を震わせてささやいた。「完全に淀んでいる。まるで…何かが森から空気を吸い取ったみたい」


「地面が…」ゆあは息を呑み、その目は純粋なパニックで見開かれた。「何か巨大なものが地殻の下を動いている! 地震じゃない。集中している!」


聖女イヴリンの穏やかな表情は瞬時に消え去った。「隊形を組め! 皆、私のところに! 今すぐ!」


生徒たちは躊躇しなかった。散開していた列を放棄し、輝く聖女の元へ全力で走った。イヴリンは金色の杖を雪に打ち付けた。鮮やかで複層的な魔法陣が彼らの足元に現れ、聖魔法のそびえ立つ輝く天蓋を投影した。


地面が激しく揺れ始めた。震動は局所的で、完全に目の前の樹木線に集中していた。凍った地面は歪み、ひび割れ、深い亀裂が雪に蜘蛛の巣状に広がった。


詩織の黒い瞳は震える樹木線を走った。彼女の高位の【知覚】能力が松の木々の影を貫いた。激しく圧縮された魔力の巨大な集中した球体が、森の中を彼らに向かって一直線に疾走し、古木を根こそぎ引き裂いていた。


それは魔法の大砲だった。


「イヴリンの盾は持たない!」詩織は叫んだ。彼女の戦術的な頭脳が、迫り来る一撃の密度を計算していた。「それは高密度の投射物よ! 純粋な光の障壁は粉々になる!」


許可を待たずに、詩織はイヴリンの金色の天蓋の最も端に足を踏み出した。両手を前に突き出し、彼女は召喚以来秘密にしてきた二次的な隠された能力樹を利用した。鋭い深紅のルーン文字が刻まれた漆黒の魔法陣が、彼女の前で燃え上がった。


「【虚空の神盾】!」


闇魔法の渦巻く渦が物質化し、イヴリンの聖なる天蓋の外側に重なった。


一瞬後、砲弾が着弾した。


音は耳をつんざくものだった――衝撃的な轟音がグループ全員の耳を一時的に聞こえなくした。砲弾は詩織の闇の障壁に隕石の力で衝突した。苦痛の二秒間、虚空の魔法は運動エネルギーを吸収し飲み込み、ついに黒いガラスのように粉々に砕けた。残った衝撃波がイヴリンの聖なる天蓋に激突し、ひび割れさせたが、金色の障壁は持ちこたえた。


揺れは突然止んだ。塵と粉々になった雪がゆっくりと晴れ始めた。


壊れて粉々になった松の木々の残骸から、一人の男が気軽に歩み出た。


彼は非常に背が高く、七フィートを超え、グロテスクで深い傷跡のある顔と、死んだくぼんだ目をしていた。重く暗い鉄の鎧をまとい、完全に人間に見えたが、その存在は深く異様に感じられた。


「ちっ」背の高い男は深い失望で舌打ちし、巨大なギザギザの大剣を肩に担いだ。「聖なる魔力の集中を感じた。女神の大切な召喚された英雄たちを期待していたのに。この哀れな様子を見るに…俺が向き合っているのは、迷い込んだ過剰成長した冒険者の集まりか」


気温はさらに下がった。背の高い男の背後で影が歪み、二番目の影が空き地に滑り込んだ。


それは女性のリッチだった。その肌は半透明の壊死した灰色で、繊細な骨の上に張り詰め、ぼろぼろの優雅な腐った真夜中の絹のガウンをまとっていた。空虚な眼窩にはエメラルドの地獄の炎が燃えていた。


「目を欺かれるな、将軍」リッチはシューッと音を立て、その声は乾いた葉が石の上を擦れるように聞こえた。「彼らの魂を見よ。彼らこそ召喚された英雄たちだ。異邦の異常者だ」


背の高い男は瞬きし、残酷で醜い笑みがゆっくりと傷跡のある顔を割った。「本気か? この子供たちが上位界の前衛か?」


詩織の心臓は胸の中で激しく打った。彼女はすぐに二人の姿に【分析】を唱えた。


【対象1:人間の裏切り者 ヴェイン将軍】

【水準:100以上】


【対象2:不死の司令官 シラス卿(リッチ)】

【水準:100以上】


彼らは前衛グループの誰よりもはるかに高い水準だった。そしてさらに悪いことに、そのうちの一人は人間だった。


「武器を構えろ!」詩織は命令し、刃を抜いた。「彼らは悪魔の要塞の司令官たちよ! 私たちを待ち伏せしようとしている!」


ヴェインは剣を抜かなかった。代わりに、刃の先を凍った地面に打ち付けた。彼は両方の巨大な手を空に掲げ、息苦しい黒い瘴気が装甲された手甲から溢れ出し始めた。


彼は呪文を唱えていた。


「上位界の偽りの神々よ、お前たちの玩具はここでは無力だ」ヴェインの声が轟き、不自然な重層的な歪みで反響した。


「範囲弱体化魔法を唱えている! 詠唱を終わらせるな!」詩織は金切り声を上げた。


彼女は前に飛び出し、その刃は闇の魔力で覆われ、一方イヴリンは即座に高濃度の灼熱の聖光の光線を送り込んだ。


「運命の糸を切れ!」ヴェインは続け、彼らの攻撃を完全に無視した。


詩織とイヴリンの合わせた一撃が彼に届く前に、女性のリッチは骨ばった手を上げた。「【墓の壁】」


地面が噴き出した。硬化した岩の巨大な厚さ十フィートのバリケードが、死霊の魔力を帯びて、地面から勢いよく立ち上がった。イヴリンの光線は壁の中心を焦がし、詩織の刃は外層を砕いたが、防御は十分に長く持ちこたえた。


「神の絆を断て!」ヴェインは咆哮し、黒い瘴気は空に螺旋状に上がり、太陽を遮った。「光の祝福を、冥界の重みで無に朽ちさせよ! 深淵の儀式:聖なる追放!」


暗い雲が爆発的に広がり、インクの津波のように空き地全体を洗い流した。


瘴気が触れた瞬間、前衛グループは崩れ落ちた。翔太は膝をつき、突然千ポンドの重さになったかのように剣を落とした。ゆあとめいは胸を押さえ、息を求めてあえいだ。詩織でさえ足がくらつくのを感じた。空気中の周囲の魔力、召喚の際にシステムが彼らに与えた神の祝福――それら全てが突然押しつぶされ、抑圧的で押しつぶすような重みの下で息を止められた。


【警告:「聖なる追放」作動中】

【全ての神の祝福が無効化されました。全能力値が50%減少します】


石の壁が下がった。リッチは前に滑り、その目のエメラルドの炎がサディスティックな喜びで燃え上がった。「なんて壊れやすい小さな玩具たち。さあ、簡単に排除できるわ」


詩織は歯を食いしばり、必死に重い腕を上げて刀を構えようとした。彼らはまんまと罠に飛び込んでしまった。


◆


場所:100階層 魔王の玉座の間


海のはるか下、北の雪の戦場から離れて、まったく異なる種類の闘いが絶対的な静寂の中で繰り広げられていた。


草薙京也は黒曜石の床に完全に意識を失って横たわり、魔王の優しい念動力の力場に浮かんでいた。


京也の意識の暗く無限の広がりの中で、ノヴァは必死で恐ろしい速度で働いていた。AIは孤立し、宿主を呼び覚ますことができず、崩壊する内部システムを一人で管理していた。


「処理中…処理中…異常を検知」ノヴァは計算し、そのデータの流れは光速で動いていた。


彼女は処理能力のごく一部を外部の状況観測に割いた。京也の受動的な感覚能力を通して、彼女はソフィアを「見る」ことができた。血に染まった魔王は、ラスボスのようには振る舞っていなかった。彼女はルビーの玉座の階段に優雅に座り、顎を手のひらに乗せ、ただ京也が眠るのを深い恐ろしい忍耐の表情で見つめていた。


「歴史的矛盾を識別しました」ノヴァは冷静に記した。


京也が図書館で吸収した数百の古代の書物によれば、カスケディアの魔王はそびえ立つ怪物的な男性の存在――純粋無垢な虐殺の獣として記録されていた。歴史書は単に間違っているだけでなく、完全に作り上げられていた。真の魔王はこの優雅な不死の女性だった。


そしてさらに不気味なことに、ノヴァの高度な予測アルゴリズムはソフィアの意図を読み取ることができなかった。彼女は一切の敵意、一切の殺意、一切の防御姿勢を示さなかった。それは完全な行動の空白だった。


処理能力を集中し直して、ノヴァは京也の命を脅かす危機に注意を戻した:彼が吸収しようとしたソフィアの血の微小な一滴。


「外来生物物質の深層分析を開始」ノヴァはサブルーチンを実行した。


結果が出力されたとき、AIの論理コアはほぼ停止した。


「エラー。再計算中。エラー」


その血は100%悪魔的なものではなかった。実際、絶対的な闇魔力の恐ろしい外側の層の下には、血液の基礎的な遺伝子コードに、驚くべき濃度の純粋無垢な聖なる属性が含まれていた。それは生物学的な逆説だった。魔王は神の血を宿していた。


「この存在はシステムの基本法則に対する矛盾です」ノヴァは結論付けた。「仮説:女神カミヤと魔王は直接的な起源を共有している」


しかし今、伝承や歴史は重要ではなかった。京也の内部魔力回路は、たった一滴の血の純粋な密度によってまだ麻痺していた。この状態が続けば、彼の肉体はやがて全身的な機能不全に陥る。


「二次吸収試行の確率を計算中」ノヴァは始めた。


彼女は何百万ものシミュレーションを実行した。もし彼女が【吸収】スキルを再び強制的に起動させれば、システムは激しく抵抗するだろう。しかしシミュレーションは重要な抜け穴を明らかにした。血の神聖な性質のため、システムの拒絶機構は論理エラーとスキル中止のみを引き起こす。それは宿主に体力や魔力のダメージを与えない。


不利な点は無視できるものだった。絶対不死者のDNAを同化することの利点は、文字通り計り知れなかった。


「結論:許容可能なリスク。強制同化手順を開始」


京也の意識的な入力なしに、ノヴァはスライムの核となる能力の直接制御を引き継いだ。


「【吸収】起動」

【致命的エラー!】


「安全手順をバイパス。【吸収】起動」

【致命的エラー!】


「魔力の流れを再ルーティング。【吸収】起動」

【致命的エラー!】


冷たく青い光に照らされた玉座の間の静寂の中で、AIはシステムに対する静かな戦争を始めた。失敗。また失敗。また失敗。また失敗。


ノヴァは無限の知性と、欲求不満の能力を一切持っていなかった。彼女は必要ならその循環を十億回繰り返し、絶対的なコードがひび割れるまで現実の壁を打ち続けるだろう。


京也の麻痺した意識の中で、ノヴァは休まなかった。彼女には疲労の概念も、絶望の能力もなかった。


試行 4,892,104:失敗。システム拒絶。

試行 4,892,105:失敗。システム拒絶。

試行 4,892,106…防火壁の異常を検知。論理的制約をバイパス。


血に染まった魔王ソフィアは、ルビーの玉座の一番下の段に座り、顎を優雅に手のひらに乗せていた。彼女は意識のない少年を深く瞬きもせずに魅了されたように見つめていた。彼の周りの魔力が歪み、弾けるのが目に見えていた。まるで彼の存在そのものが世界の法則と激しく議論しているかのようだった。


なんて魅力的な異常者なのかしら、ソフィアは思った。珍しい、本物の笑みが彼女の青白い唇に触れた。


彼の苦闘を見ながら、ソフィアは自分の心が何世紀も昔へと漂い、擦り切れたぼやけた自分の過去の糸を掴もうとしているのを感じた。彼女が深淵の絶対的な君主になる前、暦が元年にリセットされる前、彼女は…誰か別の存在だった。記憶は闇魔力の層と、不死者の称号の押しつぶすような重みの下に押しつぶされていた。彼女は灰で窒息していない空を覚えていた。そして、天に対する永遠の憎しみを点火した、深く焼け付くような裏切りを覚えていた。しかし詳細は――彼女の元の名前、元の顔――消えていた。


突然、洞窟はまぶしい白熱の光に包まれた。


それは京也のスライムの力の暗く息苦しい紫ではなかった。それは純粋無垢な金だった。聖なる光。


ノヴァはついにコードを解読した。


ソフィアの血の一滴が京也の核に同化した。反応は壊滅的で、そして美しかった。一連のシステムウィンドウが彼の周りで激しくデジタルの塵に砕け散り、金色と黒のコードを滴らせる巨大なグリッチするインターフェースに取って代わられた。


【システム重大上書き】

【宿主データは絶対存在によって破損されました】

【状態表示板:エラー】

【体力:エラー】 【魔力:エラー】 【持久力:エラー】

【腕力:エラー】 【敏捷性:エラー】

【能力一覧:読み取り不能/超過】

【新しい称号を獲得:絶対強欲の万物】

【究極能力を解放:絶対水準誤差の終焉】

(説明:存在消去。対象は世界の運用システムから永久に削除される)


京也の目が見開かれた。


彼の物理的な姿は変わっていなかった――彼はまだ仕立ての良い暗い背広をまとい、ボサボサの黒い髪には紫の筋が混じっていた。しかし彼の目は違っていた。深く分析的な紫の虹彩は、今や鮮やかな捕食者のような金で縁取られていた。


彼はゆっくりと起き上がり、自分の手を見た。完全に無重力に感じられた。以前は魂の上に重く制限的な毛布のように感じられていたシステムは、消えていた。彼は今やその枠組みの外側に存在していた。


ソフィアは立ち上がり、深紅のマントを後ろに流した。「さあ」彼女は優しく言い、その声は広大な部屋に反響した。「ようやく起きたわね。それに見た目もずっと良くなったわ」


京也はたじろがなかった。彼はゆっくりと立ち上がり、襟元の架空の埃をはらった。彼は惑星上で最も危険な存在の視線を受け止め、彼女の血を吸収してから初めての言葉を発した。


「俺は女神カミヤを殺す」


ソフィアの紫の瞳がわずかに見開かれ、そして彼女は頭を後ろに投げ出し、メロディアスでぞっとするような笑い声が洞窟に反響した。


「率直ね」京也は続けた。その声には恐怖が欠けていた。「あなたも彼女を憎んでいる。俺はあなたの血と一緒にあなたの記憶の一部も吸収した。あなたは上位界を軽蔑している。システムと同じくらいにな」


ソフィアは笑うのを止め、その表情は絶対的で恐ろしい捕食者の優雅さへと研ぎ澄まされた。「あなたは傲慢ね、小さな異常者。でもそれを裏付ける力は持っているわ」


京也は彼女の状態を一瞥した。彼と同じように、彼女の状態板全体は【エラー】のグリッチする混乱で、彼女の究極能力――【不死】――だけが見えていた。


「どうやら私は次の行動のために、ようやく対等な仲間を得たようだ」ソフィアは呟き、彼の顔から数センチのところまで近づいた。「でも教えて、絶対強欲者よ…物理的に到達できない領域に住む神を、具体的にどうやって殺すつもり?」


京也の金色に縁取られた瞳が細められた。「彼女の領域を支える柱を引き倒す。まずは彼女のゲームを壊すことから始める」


◆


場所:北部フロンティエラの森


雪の空き地は、絶対的な絶望の領域だった。


ヴェインの深淵の儀式:聖なる追放の押しつぶすような重みの下で、前衛グループは重力が三倍になったように感じた。彼らを「英雄」たらしめている神の祝福は、完全に抑圧されていた。


「【大いなる十字】!」翔太は咆哮し、広刃の剣を掲げた。彼は自分の魔力を究極能力に注ぎ込もうとしたが、刃は哀れに火花を散らしただけで消え去った。


「無駄だ!」ゆあは叫び、その膝は震えていた。「高位能力は完全に閉ざされている! 基本的な元素の力しか出せない!」


和良は重い塔盾を握りしめ、陣形の前に押し出した。「俺の後ろに! 俺の基本耐久力が一番高い! 前線を守る!」


そびえ立つ人間の裏切り者、ヴェイン将軍は響き渡る笑い声を上げた。「前線を守る? 坊や、前線がどこにあるかも分かっていないようだな」


ヴェインは動いた。能力を使ったわけではない。純粋な、恐ろしい身体能力だった。和良にとって、その巨体の装甲男は蒸気に変わったように見え、凍てつく空気を押しのけた。


和良が足を踏ん張る間もなく、ヴェインは彼の防御の内側に直接現れた。


「遅すぎる」ヴェインはささやいた。


大剣を使う代わりに、ヴェインはただ壊滅的な左フックを放った。鉄の籠手は重い盾を完全に迂回し、和良の肋骨に直接打ち込まれた。


骨の砕ける音が木々に響いた。和良は壊れた人形のように後方に打ち飛ばされ、その重い鎧は生の運動エネルギーに対して全くの無力だった。彼は凍った松の木を突き破り、大量の血を白い雪の上に吐き出した。


「和良!」佳志が叫んだ。


詩織の目は和良の転がる体を追った。彼女の分析的な頭脳は加速し、パニックに近かった。


生きている、と詩織は推測した、でもどの程度かは分からない! それが聖なる追放の真の恐怖だった。それは彼らの能力値を奪うだけでなく、彼らを盲目にした。彼らは何ヶ月もシステムの表示に完全に依存してきた。頭上に浮かぶ緑と青のバーが見えたからこそ、いつ攻めていつ回復すべきか分かっていた。今、表示を奪われて、彼らは自分の体力、魔力、体力の値を知ることができなかった。彼らは盲目的に戦い、純粋な人間の本能に頼らざるを得なかった――この十代の若者たちの誰も本当には持っていないものだ。


それにヴェイン、と詩織は刀を握りしめながら思った。なぜ人間が悪魔の要塞を指揮しているのか? 彼は深淵の魔法を使うが、その生理機能は人間だ。王国は彼に何をして裏切らせたのか?


彼女の戦術的な分析は激しく中断された。


焼け付くようなエメラルドの青い地獄の炎の一条が、彼女の顔に向かって走った。詩織は横に身を投げ、雪の中を転がったが、炎の端が彼女の頬をかすめた。肉は焼ける音を立て、血の線が即座に彼女の肌の上で凍った。


「集中力を失うな、小さな英雄」骸骨のリッチ、シラスがシューッと言った。彼女は地面から数フィート浮き、その骨ばった手に闇の魔力が集まっていた。「あなたの相手は私よ。あなたの可愛い顔から皮を剥ぐのを楽しみにするわ」


詩織は体を起こし、頬の血を拭った。彼女は深呼吸し、恐怖を仕分けした。彼女は学級委員長だった。彼女が率いなければならなかった。


「聞いて!」詩織は遠吠えする風の上から叫んだ。「隊形を変える!」


翔太、佳志、ゆあ、めいが彼女を見た。その顔は恐怖で青ざめていた。


「敵意を分散させる! 翔太、佳志、ゆあ、めい――あなたたち四人でヴェイン将軍を受け持つ! 接近戦は仕掛けるな! 低い能力を使って彼を撹乱し、動き続けさせろ! 目的は彼を倒すことではない! 目的は純粋に生き残ることよ!」


「正気か⁈」翔太は叫び、迷い込んだ氷の塊をそらした。「あいつに皆殺しにされるぞ!」


「彼は強打者だが、傲慢だ!」詩織は命じた。「距離を保て! イヴリン、和良のところへ! 高位の広範囲回復を使わずに、何としてでも手動で彼を治療して! 私はリッチを相手にする!」


シラスは擦れるような乾いた笑いを漏らした。「あなたが? Necropolis の達人を相手にかつての糸が? 笑わせる」


「高位魔法なんて必要ない。あなたを切り捨てるにはそれで十分だ」詩織は言い、その黒い目は冷たく計算高い怒りで輝いた。彼女は刀の刃を薄く高圧縮された虚空の魔法の層で覆った――低い魔力で使える能力だが、信じられないほど密度が高かった。


空き地の反対側で、翔太と佳志は咆哮し、絶望的な連携のない挟撃を巨大な将軍に仕掛けた。ヴェインはただ嘲笑し、気軽に大剣を振って翔太の一撃をそらし、同時に佳志の槍を蹴り飛ばした。


空き地は完全な混沌に陥った。前衛はもはや勝つために戦っているのではなかった。彼らはただもう一分、息を吸い続けるために戦っていた。詩織は走り出し、そのブーツは雪の雲を巻き上げ、リッチの青い炎の嵐に真っ先に飛び込んだ。


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